元採用部長から就活生へー8、自分の未来は自分で決められる

「私にはスタートだったの、あなたにはゴールでも。」
J-Walkという方たちの”何も言えなくて夏”という曲の歌詞の一部です。
かなり古い曲ですが、私たちの世代では、ほとんどの人が知っているであろう曲だと思います。
夏というなにもかもがエネルギッシュな季節にあって、メロウな感じは際立っていて印象的です。

長く大変だった就職活動も、内定をもらい入社する企業が決まればひと段落です。皆さんは、残りの学生生活をどのように過ごすのかを考えているころだと思います。

就職活動は、人生の中でも大きな分岐点の一つです。
それを超えられたことは非常に喜ばしいことです。

心から、おめでとうございます。

皆さんは、来春にはその志望した企業で社会人としての歩みを始めます。
多くの希望と不安があるとは思いますが、是非充実した日々を過ごしていただきたいと思います。

そして入社してしばらくすると、おそらく、いや確実に、いろいろな疑問がでてくるでしょう。

・仕事が難しい
・教えてもらえない
・困っているのに助けてくれない
・就職活動で説明を受けたていた内容と違う
・だれでもできる仕事でつまらない
・人間関係が大変

などなど、挙げていけばきりがないかもしれません。
こうした疑問等は、ある時期に一度に湧き上ることが多いようです。

私自身もそうでした。
生意気だった私は、お酒の席でこうした疑問を先輩社員たちにぶつけたり、会議の場でつかかったり、ちょっとひどい時期がありました。
その時も、先輩たちは穏やかに私の話を聞いてくださって、そうした疑問は間違ってはいないが意味のないことであることを何度となく説明してくださいました。おそらくその先輩たちも、同じような時期を過ごし、自分なりの答えを見つけて、いまそこにいるのだと、後になって気が付きました。
(私は、本当に人に恵まれたと思っています。)

こうした様々な疑問は、皆さんを一定期間苦しめることになります。
出口のないトンネルをさまよう感じです。
手に触れるものさえ信用できなくなってしまいます。

社会人になることについての不安を煽っているように思われるかもしれませんが、私の本意はそうではありません。

誰でもそうなのだ、ということをわかっていただきたいのです。
皆さんだけがそういう悩みを持つわけではなく、同じ時期に誰もが少なからず直面します。
多くの方たちが、そして皆さんもきっと、自分で努力し、いろいろな人たちの手を借りて、こうした疑問に自分の答えを見つけ乗り越えていくのです。

ですから、何も心配はありません。

それでも、様々な事情でどうしてもその企業で勤め続けることが難しいという答えに行き着くこともあると思います。
私自身は、できれば、3年は働いてみてほしいという思いはありますが、一日でも早くやめたほうが良い場合も必ずあることも理解しています。

やむなく会社の退職を考えるとき、様々な葛藤が生まれます。

入社したばかりでやめるなんてみっともない
苦労してやっとこの会社を選んだのに、やめてもよいのか
退職した後に、きちんと新しい会社を見つけることがでいるのか
同僚に迷惑をかけてしまうことにならないか
翌年の就職活動をしている後輩への影響があるのではないか

人は誰でも自分の幸せのために行動する権利を持っています。
(他の人を不幸にしないことが前提ですが。)
幸せの形はひとによってことなりますから、当然そのための行動は人によって異なります。入社後の早期退職ということであっても、それが自分の幸せのために必要なら行動を起こすべきです。

新しいチャレンジのためのエネルギーが残っているうちに。

自分の未来は自分で選択することができます。
誰のためでもなく自分の幸せのために、考え、行動してください。
しかし、くれぐれもよく考えて行動をしてください。
会社や社会や親のせいにするのは簡単ですが、それらは解決できるものではありませんし、それらは前提条件としてあるだけであって、その会社に入社することを決めたのは自分自身です。
若いときの失敗は何度でもできますが、そこから学ぶものがなければ、同じ失敗を繰り返すことになり、幸せには近づきません。
自分の幸せのために、よく考え行動してください。
周りの方々が必ず助けてくださいます。

就職はゴールではありません。
選んだ就職先がどのようなものであっても、皆さんが自分の人生を作り歩む、そのスタートなのです。スタートしてからは、自分で決断し、その結果に責任を負うことになります。最初の決断が、早期の退職であっても、それが自分の幸せのために必要なら決断すべきです。

皆さんの将来を決めるのは、皆さん自身です。
就職した会社で決まるわけではありません。

皆さんには、いつも多くの選択肢があることを忘れないでください。
そしてその選択肢は、年を重ねるごとに狭まり少なくなることを知っておいてください。

皆様のご健闘をお祈りいたします。

<あとがきに代えて>
私自身は大学卒業後、一貫して人事のキャリアを歩んできました。
そのうち後半の15年は、ほぼ採用のみをやってきています。
私は特殊なキャリアでして、人事しかやっていないというのもそうですが、その転職回数の多さが際立っているのです。
入社した会社の数は8社、会社を辞めた回数は9回、現在は事情があって自営でビジネスをすることになりました。
転職はエネルギーを使うのにこんなに変わったら大変、と思われるかもしれません。しかし、私はそう思ったことはなく、前任者の引継ぎも必要ないことがほとんどでした。結局のところ、仕事の目的さえつかめれば、あとはやり方の問題なのでなんとでもなると思っているからです。

日系、外資系、金融、IT、小売り、サービス、本当に多くの企業で働かせていただきました。前半は自分の可能性を試すための転職、後半は自分の価値を発揮するための転職です。これだけ転職を繰り返しているのに、その転職回数にかかわらず、それぞれの企業が私のことを必要としてくださいました。特に特別なスキルや最先端のことをしていたわけではありません。
ただ、意識していたことはいくつかあります。

‐ 与えられた環境で努力する(ないものねだりはしない)
‐ 結果をだす
‐ 好かれなくてもよいので、嫌われない
- 一緒に仕事をする人は、すべてパートナー(上下関係は意識しない)
‐ 人の言いなりではなく、自分で考える(結果は同じでも)
- 世の中を見る(自分の思い込みを疑う)

これらは誰かに言われたわけではなく、仕事をしているうちに少しづつ自分の中に出来上がったもので、何かを決断したり行動したりするときのよりどころとしていました。
(これらについては、機会があれば書いてみようと思っています。)

これがうまくいったかどうかはわかりませんが、これだけ転職回数が多いにも拘わらず、自営となった今でもいくつかの会社からお誘いはあります。
おそらく、私という人間がどのように仕事をするのか、ということについて一定の評価をしていただいている結果だと思っています。

今回、事情があって自営の道を選びましたが、同じ環境でも自営を選択しない人はいると思います。そいういう意味では、間違いなく私のこの選択は誰のせいでもなく、私の責任において行い、実行したものです。
どうなるかわあかりませんが、頑張ってみようと思っています。
不安も大きいですが、ワクワクしているのも確かです。

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