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TVCMでお馴染みのEPA/DHAサプリメントは本当に必要でしょうか?

EPA/DHAは、体に多くのよい影響を与える大切な油です。
そのためTVCM、 TV通販等でEPA/DHAサプリメントの宣伝をよく見かけます。

しかし、EPA/DHAサプリメントは本当に飲むべきなのか、食事からでは十分に摂取できない油なのかを解説します。
(記事の文末に動画を貼っています)

1日2gは高いハードルなのか

EPA/DHAを合わせた、1日当たりの必要摂取量から話を始めます。

厚生労働省が示す日本人の食事摂取基準2020年版では、成人男性が2,0〜2,2g、成人女性が1,6〜2,0gです。
が、ここはザックリと成人は約2gと憶えて下さい。

では、どの魚にEPA/DHAがどのくらい含まれるのでしょうか。
まずは、下の5つの魚を覚えてください。

サバ、サンマ、ブリ、マグロ、イワシです。
このうちのどれかを食べるだけで、EPA/DHA 2g前後をクリアできます。

5つの魚以外では、

最初の図になかった魚は、マダイ、サケ、アジ、です。

「魚を料理するのが億劫だ」
「骨を取るのが面倒くさい」
という人は、魚介類の缶詰を食べる、という奥の手もあります。

こうやって、缶詰まで含めて、魚介類を意識して食べることによって、EPA/DHA1日2gは概ね摂取できると思うのですが・・・

TVCM、TV通販のトリック

EPA/DHAサプリメントの宣伝を見ると、
「食事からだけでは、まず摂れない」
と言っています。
本当にそうなのでしょうか。

EPA/DHAのTVCM、TV通販をご覧になったことがある方は、こんなふうなフレーズを聞いた記憶がないでしょうか。

「こんなに食べられますか!」

それを聞いて多くの人が購入するようですが、ちょっと待って下さい。

マグロやカツオの刺身は赤身です。
赤身というのは、そもそも油がほとんどない部位です。

もう一度、先ほどの図をご覧ください。

マグロでEPA/DHAが豊富なのは一番上のトロであって、赤身は一番下です。

マグロの刺身をいくら食べても、EPA/DHAは摂れません。
これをアピールして、
「食事からでは十分EPA/DHAは摂れません」
というのは、一種のトリックです。  

サプリメントを薦めない理由

まずはサプリに頼ることなく、魚介類からEPA/DHAを摂取していただきたいと考えています。

EPA/DHAはきわめて酸化しやすく、EPA/DHAサプリメントもその多くは酸化していることが理由だからです。
半分以上は酸化しているとも、8割は酸化しているとも言われます。

少し詳しい方は、こう言うかもしれません。
「ほとんどの商品には、酸化防止剤としてビタミンEが添加されているではないか」。

けれども、酸化するタイミングは、
・製造前 
・製造過程 
・製造後(保管、運送時)

の3つです。

製造前というのは大きく分けて2つあって、

①魚から油(魚油)を搾る工程

魚油= EPA/DHAではありません。
EPA/DHA以外にも、魚にはいろんな油が含まれています。
実際に魚油中のEPA/DHA含有率は10〜20%です。

そこで必要になるのが、

②搾った魚油からEPA/DHAを分離する工程

EPA/DHAは、いずれの工程(搾る、分離)においても高度な製法を用いないと酸化してしまいます。

ビタミンEの酸化防止剤を添加しても、製造前、または製造時でも添加前に酸化してしまえば、酸化防止剤は意味を為しません。

EPA/DHAは大切な油だと分かってはいても、私が積極的にサプリメントを薦めない理由がここにもあります。

EPA/DHAの効率的な摂取方法

お魚に戻って、魚に含まれるEPA/DHAの効率的な摂取方法です。

お魚を煮たり焼いたりすると、EPA/DHAが約20%失われます。
揚げ物にすると約半分が失われます。

EPA/DHAを無駄なく摂取するには、
①刺身など生で食べる
②煮物にして煮汁まで飲む

のがお薦めです。

魚介類の消費量は、年々減少しています。

それと反比例するように、肉類の消費量は増えています。

肉と魚のバランスを、どちらかと言うと魚の方にシフトするだけで、(タンパク質+)EPA/DHAを摂取することができます。

スーパーに行ったら鮮魚売場を素通りしないで、旬のものを中心に何かお魚を手に取ってみてください。

まとめ

EPA/DHAを合わせた1日当たりの必要摂取量。
厚生労働省示す日本人の食事摂取基準2020年版では、成人は1日約2gです。

サバ、サンマ、ブリ、マグロ、イワシ、このうちのどれかを100g食べるだけで、EPA/DHA 2gをクリアできます。
5つの魚以外では、マダイ、サケ、アジ、などにEPA/DHAが豊富です。

また、魚介類の缶詰からでも、これだけのEPA/DHAが摂取できます。
缶詰まで含めて、魚介類を意識して食べることで、EPA/DHA1日2gは概ね摂取できると私は考えます。

EPA/DHAサプリメントの宣伝を見ると
「食事からだけでは、まず摂れない」
と言っています。

そのような宣伝の多くは、マグロやカツオの刺身(赤身)など、そもそも油がほとんどない部位を例に持ち出しています。
それで「EPA/DHAは食事からでは摂れない」と言っているに過ぎません。

EPA/DHAは食事から摂取できます。

私が、魚介類からのEPA/DHA摂取を推奨しています。
EPA/DHAはきわめて酸化しやすく、EPA/DHAサプリメントも、その多くは酸化していることが理由だからです。

多くの商品には、酸化防止剤としてビタミンEが添加されています。
しかし、製造前や製造時でも添加前に酸化してしまえば、酸化防止剤は意味を為しません。

EPA/DHAを無駄なく摂取するには、刺身など生で食べるか、煮物にして煮汁まで飲むのがお薦めです。

この記事の内容については動画もアップしています。
合わせてご覧ください。


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