見出し画像

酪酸菌を増やす方法【完全解説】

乳酸菌やビフィズス菌と並ぶ善玉菌に酪酸菌があります。
酪酸菌が体にもたらすよい影響は、腸内環境に留まらず、あらゆる病気の予防にまで及びます。

間違いなく、酪酸菌は今もっとも注目の善玉菌、最強の善玉菌です。 

この記事では、
酪酸菌の特徴
酪酸菌10の健康効果
酪酸菌を増やす2つの栄養素
酪酸菌のサプリ
酪酸菌を増やす(減らす)生活習慣

以上5点について完全解説します。

(記事の文末に動画を貼付しています)

酪酸菌の特徴

酪酸菌は水溶性食物繊維を分解して、短鎖脂肪酸の一つ酪酸を産出するのに働きます。
このあと説明する10の効果は、正確には酪酸の働きによるものです。 

水溶性食物繊維は単独でもさまざまな健康効果を発揮しますが、水溶性食物繊維を最大限に生かすのであれば、そこに酪酸菌が必要です。

水溶性食物繊維と酪酸菌の作用で酪酸を大量に生産してこそ、水溶性食物繊維も酪酸菌も100%生かされます。

一つ一つの酪酸菌は、芽胞というカプセルのようなものに包まれています。
酪酸菌の生命力は強く、胃酸だけではなく、熱にも抗生物質にも負けません。
確実に腸まで届き、腸内及び全身で仕事をします。    

酪酸菌10の健康効果

①大腸上皮細胞のエネルギー源 

大腸の蠕動運動に必要なエネルギーの8割が、酪酸でまかなわれています。
酪酸が少な過ぎると、便秘の一因にもなります。

②腸内細菌バランスを整える 

腸内で、乳酸菌やビフィズス菌が生育しやすい環境をつくります。
逆に、悪玉菌が生育しにくい環境をつくります。

結果的に、善玉菌優位な望ましい腸内細菌バランスに近づけます。

③免疫の強化および免疫の調整 

酪酸菌は、腸管の粘膜を覆う粘液の産生を促して、病原菌やウイルスによる感染を防ぎます。
その一方で、免疫の暴走を抑えて、自己免疫疾患やアレルギーの予防に働きます。

④腸管バリアの強化 

これも、アレルギーの予防に働きます。
腸管バリアとは、腸管を形成する一つ一つの上皮細胞を結び付ける働きのことです。

これが弱くなると、上皮細胞同士の間(タイトジャンクション)に隙間ができます。
この隙間から異物が混入すると、アレルギーの原因になります。

酪酸菌は、腸管バリアを強化して、異物や病原菌が血中に入ることを防ぎます。  

⑤筋力アップ 

運動をした時に筋力量を増やすのを助けます。
高齢者のサルコペニア予防に働きます。

⑥脂肪燃焼 

酪酸菌は、細胞内のミトコンドリアという器官に働きかけて、脂肪燃焼を促進させます。 

合わせて、酪酸菌は
⑦食欲抑制
に働きます。

YouTube検索で「酪酸菌」と入力すると、検索候補として「ダイエット」が出てきます。
酪酸菌は、筋力アップ、脂肪燃焼、食欲抑制の3つ効果でダイエットにも強力に働きます。  

残りの3つは、まとめてお伝えします。

⑧抗炎症作用 
⑨抗がん作用 
⑩糖尿病の予防
 

酪酸菌を増やす2つの方法

酪酸菌が含まれる食べ物は、糠漬けです。
糠漬け以外、ほぼ見当たりません。

皆さん、糠漬け食べますか?
作りますか?
糠床ありますか?

ほとんどの人は、糠漬けとは縁遠い生活だと思います。
そこで、酪酸菌のエサとなり酪酸菌を増やす栄養素が2つの登場です。

①フラクトオリゴ糖

フラクトオリゴ糖は、数あるオリゴ糖の中の一つです。
そして、酪酸菌を増やすのに必要なフラクトオリゴ糖の量は、1日10g以上。

フラクトオリゴ糖は、ゴボウや玉ねぎなど自然の食べ物にも含まれていますが、10g摂るにはゴボウだと1本、玉ねぎだと1個半必要です。
かなり難しいです。

そこで、まとまった量を摂るためには、フラクトオリゴ糖食品を用いるのが現実的です。
フラクトオリゴ糖食品は液体と粉末、数種類の商品が販売されています。

私が使っているのは、日本オリゴ•フラクトオリゴ糖。

鹿児島、沖縄のサトウキビのみが原料です。
これを朝食のトーストに塗って食べています。

②水溶性食物繊維

グラフをご覧ください。 

健康長寿で知られる京都府京丹後市の65歳以上の高齢者の腸内フローラを、京都市内の高齢者と比較したデータです。

その結果、京丹後市の高齢者は、[フォーミキューテス門]という種類の菌が京都市よりも約10%も高く、
その中でも、図にある4つの菌が[酪酸産生菌]、酪酸を作ることで知られている菌です。

つまり、京丹後市の健康長寿に、酪酸菌が関わっている可能性があります。

京丹後市の高齢者に酪酸菌が多い理由として、海藻類から多くの水溶性食物繊維を摂っていることが考えられます。
実際に京丹後市の高齢者の食生活を見ると、水溶性食物繊維が多いことが分かっています。

京丹後市と京都市に在住する高齢者を対象にした食事アンケート調査です。

顕著な違いがあるのは、水溶性食物繊維が圧倒的に多い海藻類。
それ以外にも、全粒穀物(とくに大麦)、根菜類、豆類、果実類。

水溶性食物繊維が多い食品で、京丹後市の摂取割合が京都市を大きく凌いでいます。
このことから、水溶性食物繊維が多い食事が酪酸菌を増やし、酪酸菌が多いことが京丹後市の健康長寿に大きく寄与していることが推測できます。

酪酸菌のサプリ(医薬部外品)

酪酸菌サプリの2強商品と言われているのが、
ミヤリサン製薬の強ミヤリサン錠
アリナミン製薬のビオスリーです。

強ミヤリサン錠から。

パッケージを見ると、酪酸菌(宮入菌)と書いてあります。
1933年、ミヤリサン製薬初代社長の宮入博士が発見した腸内細菌を宮入菌と名付け、それが一般にいう酪酸菌です。 

酪酸菌の本家本元の商品であり、酪酸菌に特化したサプリ(医薬部外品)です。免疫力強化や腸管バリアの強化、抗がん作用や抗炎症作用など、酪酸菌特有の健康効果を強く望むのであれば、強ミヤリサン錠一択かもしれません。

アリナミン製薬のビオスリーは商品名の通り、3つの善玉菌が配合されていて、その3つはそれぞれ働く場所が異なります。

1つ目の酪酸菌は大腸で働きます。
2つ目のラクトミンという乳酸菌は、小腸から大腸で働きます。 
3つ目の糖化菌という善玉菌は小腸で働きます。    

糖化菌は乳酸菌(ラクトミン)とビフィズス菌を増やし、
そのラクトミンは酪酸菌を増やします。   

ビオスリーは、小腸から大腸で働く善玉菌をミックスして、協調して酪酸菌だけではなく、ビフィズス菌や乳酸菌を増やすサプリです。

酪酸菌に特化したサプリというよりは、総合的な整腸剤と言えます。
このことからビオスリーは、便秘、軟便、腹部膨満感など、整腸作用のニーズが高いケースに向いているかもしれません。      

強ミヤリサン錠とビオスリー、どちらが向いているかは人それぞれです。
両方を1回ずつ試してみてはいかがでしょうか。 

酪酸菌を増やす(減らす)生活習慣

酪酸菌を増やす生活習慣は、運動をすることです。

運動の内容は、やや強度の高い30〜60分くらいの運動です。
歩幅を大きくして、テンポも速めのウォーキングが最適です。

この運動を、週に3回、6週間続ければ、酪酸菌が増えることが報告されています。

中でも、普通の体重、または痩せ気味の人でより顕著に増えたということです。肥満の方はダイエットからです。 

逆に、酪酸菌を減らす悪しき習慣は、運動不足。
ほとんど歩かない、長時間座っていることが多い(デスクワーク中心)、
そういう人は要注意です。

それ以外では
①毎日似通ったメニューばかりの食事
②アルコールの飲み過ぎ
③昼夜逆転など不規則な生活リズム
④睡眠不足
⑤ストレス
⑥抗生物質や胃酸分泌抑制剤を漫然と飲む続ける

これらの習慣は酪酸菌を(たぶん他の善玉菌も)減らしますので、改善されることをお薦めします。

まとめ

酪酸菌は水溶性食物繊維を分解して、短鎖脂肪酸の一つ酪酸を産出するのに働きます。 

酪酸菌の生命力は強く、胃酸にも熱にも抗生物質にも負けずに確実に腸まで届きます。

酪酸菌が生み出した酪酸10の効果は、
①大腸上皮細胞のエネルギー源
②腸内細菌バランスを整える
③免疫の強化および免疫の調整 
④腸管バリアの強化 
⑤筋力アップ 
⑥脂肪燃焼 
⑦食欲抑制
⑧抗炎症作用
⑨抗がん作用 
⑩糖尿病予防

酪酸菌を増やす2つの栄養素は
①フラクトオリゴ糖
②水溶性食物繊維    

酪酸菌のサプリ(医薬部外品)は
①酪酸菌に特化した強ミヤリサン錠
②酪酸菌を含む3つの善玉菌を配合したビオスリー   

酪酸菌を増やす生活習慣は、
やや強度の高い30〜60分くらいの運動。

逆に、酪酸菌を減らす生活習慣は、
運動不足、ほとんど歩かない
座りっぱなし、などです。

この記事の内容については動画もアップしています。
合わせてご覧ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?