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アメトーークのツッコミ芸人が選ぶ「このツッコミがすごい!!」の芸人をカテゴライズしてみた。

2019年9月26日(木)放送のアメトーークが個人的に神回すぎて、アメトーークの新しい境地をみた感じで新鮮だった。

普段、お笑いをみていると、漫才やコントなどのネタや、アメトーークのようなバラエティ番組でのトークで芸人さんのボケやツッコミを見て、私たちに笑いを届けてくれている。

今回の番組企画は、トークの中に、ネタの特性やテクニックといった芸人自らがその裏側を紹介するという内容で、そのパターンが十人十色で多様性に富んでいておもしろかった...。

表面的でその場限りことより、本質的で考える要素が多いことの方が好きなタイプの人間で、そこに多様性とユーモアがあって、ふとカテゴライズしてみたくなってnoteを書きました。

<番組にゲスト出演したツッコミ芸人が紹介した芸人は以下の10名> ※以下、敬称略

1.サンドウィッチマン 伊達(紹介:中川家礼二)

『無駄のないツッコミ』
※反対に、中川家のスタイルは無駄の多いツッコミ
・声質
・手の位置や動き
・ツッコミが残り、ボケが消えていく
・無駄のない短いワードの切れたツッコミは実はスベるリスクもあり恐い

※紹介されていたネタの「トイプードル→ホイコーロー」のくだりがツボすぎて思い出すだけで...笑ってしまう。サンドウィッチマンのネタは本当にどれもクオリティが高すぎて笑えます。

2.ナイツ 土屋(紹介:博多 大吉)

『まるで精密機械』
・淡々としたビートのボケに対して正確なリズムでのツッコミ
・まるでバスケットのスリーポイントのよう
・間をうまく調整する能力が高い

※ナイツのお二人の人間性から、感情面を表現するのが得意でないため、小ボケ→訂正のパターンになったらしい。自分たちの特性を理解したからできあがったネタというクレバーさが好きです。

3.フットボールアワー 後藤(紹介:バイきんぐ 小峠)

『伝統芸能(ハゲとるやないか)』
・たとえツッコミは何度見ても面白い
・首筋を立てるテクニック(大きな声出しているようでそんなに大きな声を出していない)

※どのようにボケて、ツッコミするか、わかっていて笑ってしまうというのは、たしかにもはや伝統芸能の位置にある。後藤の凄さは、バリエーションの多さと、毎回のたとえツッコミが必ず視聴者の期待を超えるところ。だから、笑ってしまうんだろうなと思います。

4.和牛 川西(紹介:かまいたち 濱家)

『圧縮したブームのような声』『心地よいリズム』『ノータイムツッコミ』
・自身のキャラではなく、ネタの流れを重視している
・役に入る、なりきるスタイル(粗品は自分のキャラを優先するタイプ)

※ボケなんだけど、ノンスタイルの石田はこのタイプに似ている。というか、ノンスタイルはもはやどっちがボケでツッコミかわからない感じがおもしろい。ごめんなさい、和牛のネタはあまり知らないのが正直なところです...。

5.千鳥 ノブ(紹介:パンサー 向井)

『大○○』
・ツッコミではなくボケに近い
・シンプルで誰でも真似できる(中高生にも人気)
・オウム返しはツッコミとしてはタブーだけど、ノブのツッコミは人間味がはっきり出ていて、革新的なツッコミ

※ノブのツッコミは、「シンプルで真似できる」が本当にすごい。千鳥のキャラがあっての部分が大きいが、言葉のセンスやタイミングが絶妙で、人気がある理由は納得できる。「クセがすごい」はついつい使っちゃうもんなー。

6.霜降り明星 粗品(紹介:ナイツ 土屋)

『マンガの吹き出し、フリップ的芸』
・ボケへのリスペクト、自分のキャラを出しすぎない
・ボケを輝かせるツッコミ
・霜降りはお互いが持っていないものを持っている

※霜降り明星は補完関係という言葉が最も合うコンビ。ボケのキャラが強い場合は、この立ち位置や関係性がみている人を飽きさせないのだろうと思います。漫才のスタイルは全然違うけど、ハライチも補完関係という意味では似ている気がする。

7.ママタルト 檜原、ナミダバシ 太郎(紹介:霜降り明星 粗品)

『次の第7世代 』
・ボケの事実をわかりやすくお客さんにわかるまで説明してウケる

※番組の尺ではそんなに触れられていなかったが、わかりやすく伝えるを笑いに変えるのはテクニックとしては相当難しいと思う。おそらく、当たり前のことを当たり前に言えば言うほど、おもしろくなる感じはこのタイプだと思った。

8.四千頭身 後藤(紹介:博多 大吉)

『間が上手い』
・大吉先生が衝撃を受けた漫才
・トリオ漫才のデメリットである、目が散ってしまうを両端のボケと、スムーズにコンビになってツッコミを飽きせない

※四千頭身もネタをほとんどみたことがなかったが、後藤のツッコミとしてのセンスやポテンシャルはすごいと感じた。「間」というプロしかわからない領域はもっと踏み込んで聞いてみたい。

9.COWCOW 善し(紹介:中川家礼二)

『邪魔にならないでキャラが立っている』
・強弱の使い分けをしないと、見ている人が疲れてしまう

※COWCOWの漫才は記憶に残るものが多い。言葉だけでなく、動きのテクニックがすごい印象。『電車ある?JR!山手線。中央線!』これは神ネタだよ...。笑

10.銀シャリ 橋本(紹介:バイきんぐ 小峠)

『1つのボケに対してのツッコミの多さ』
・1ツッコミで4~5ワード入れる
・ツッコミ全部がおもしろい
・テンションが上がりすぎると勝手に言葉が出てくる(アドリブ)

※アドリブで漫才が成立するはすごい。『去年で28(歳)かな→じゃあ29やないか!!1足してこっちに納品せぇよ!!何でコッチで組み立てなあかんねん!!IKEAか!!』は天才すぎる!

その他(ボケ芸人ゲストによる紹介)

爆笑問題 田中(紹介:ナイツ 塙)
・ツッコミがストレート
・予測不能なボケへの完璧な対応
・進行→ツッコミ→戻しの3役をこなす
・お客さんをひきつける話術

ますだおかだ 岡田(紹介:ナイツ 塙)
・ノリツッコミのトップ芸人

東京03 飯塚(紹介:博多 華丸)
・「お父さん」「もとこ」の2ワードツッコミだけで展開
・東京03のネタの作り方は、これ(ツッコミ)にいくために展開(ボケ)を肉付けしていく

●まとめ:カテゴライズ
総勢13名の芸人が紹介されました。
あまりにもその内容がおもしろすぎて、カテゴライズしてみました。

①キャラクター
②リレーションシップ
③ストラクチャー
④エクスプレッション
⑤センス

の5つのカテゴリーに区分してみました。

①キャラクター:人間性、性格など、その芸人の特性や強み。ネタをみていると大きく影響しているのがわかります。※一部、④の演じるなどになるとその一面が薄くなる印象。

②リレーションシップ:コンビ(トリオ)の関係性、ネタの中での関係性など。関係性は、①のキャラクターが大きく反映する部分でもある。ボケをリスペクトして際立たせる、ツッコミの強烈なワードで惹きつける、うまくバランスをみて補完するなど、芸人にとってタイプが異なる。

③ストラクチャー:ネタの構成、流れ、リズムなど。構成は、関係性の中である程度決まってくる感じですが、とても緻密に練られている。5つの中で最も興味があるカテゴリーの一つです。番組内でも中川家の礼二が東京03のネタ作りの際に話してましたが、上から順番にストーリーを作るのか、際立たせる・強烈なワードから肉付けしていくのか、はネタの流れを重要視しているか、印象を重要視しているかで違いがあると感じました。
論理と感覚の両方のテクニックを感じることができる構成は、お笑いだけでなく、仕事における企画やコミュニケーションにも応用できるテクニックなのではないか。おそらく個人的にハマったポイントはここです。

④エクスプレッション:ワード、センテンス、動作、演じる、アドリブなど。表現は、直接的に笑いを起こすものであり、最も人の記憶に残すものであるので、芸人にとっても重要なカテゴリーだと思います。何を言うか、どう言うか、どうみせるか、は芸人としての腕の見せ所。
さらに、表現は説明する、訂正する、例える、加える、乗る、叩く、たたみかける、など分類がさらに分かれるので、その辺りを詳細にみていくとその芸人の特性がよくみえてくる。

⑤センス:タイミング、間、惹きつけ、強弱など。これは感覚的な部分であり、テクニック以外の要素が大きいと思います。一つ一つの細かい部分をみればみるほど、ここの凄さに気づきます。
もちろん、基本的には努力を重ねて、こういうセンスを磨いていることが前提で、知れば知るほど参考になることが多いし、今回のアメトーークはここにフォーカスしてくれた感が素晴らしかった。

そして、この整理を経て、個人的に
・『抽象化』が得意な人はツッコミ好き
・『具体化』が得意な人はボケ好き

という仮説ができました!!笑

僕は完全にツッコミタイプの人間で、自分にないものがボケだと思いました。「リスペクト」するはツッコミ人間で、「好き」なのはボケな気がする...。

そして、5つのカテゴリーの見方は、心理学的・哲学的であり、論理的・感覚的という、比較的抽象度の高いものかなと思います。

一方で、ボケのゲストだった、ナイツ塙や博多華丸の野球の例えでの具体化もおもしろかった。
・江川卓のストレートとカーブ
・ボケが打者でツッコミが野手→ツッコミは好プレー
とか、抽象化したものを具体化するのはボケだなと...笑

個人的には、こういう本質的な部分に踏み込んだバラエティのあり方、内容、番組がもっとあってもいいと思っています。「それ知っちゃうとさ・・」って部分がきっとあるんだろうけど、それでお笑いがつまらなくなるくらいならそれまでなんじゃないの、と思う。そんなレベルでやっている芸人さんは一線級では活躍できないですからね。

めちゃくちゃお笑い好きなように話してますが...笑

誰か特定のファンがいるということではなく、フラットにお笑いやバラエティ、もっと広く言うとテレビコンテンツがいまでも好きな人間です。その中でも表面的じゃなくて、1歩踏み込んで本質に迫っていく感じの番組が特に好きってことです!

この回は...あと10回は見るな、きっと。皆さんのご感想をぜひ聞かせてください。