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#9 母性の発掘

3人産んで気付いた。わたしは子供が苦手だ。

おそらく年子3人のワンオペ育児が相当、堪えたのだろう。
死なせないように世話をする『命の現場監督の期間』が長すぎた。心身ともに疲れ果てた経験からくるものだと予想する。

0・2・3歳だった3匹の怪獣たちと過ごした日々が、子どもへの苦手意識を高めたのか。いや、そもそも苦手だったのかも。そこは謎だけど。

現在、小学生になった子どもたちは、だいぶ手がかからなくなった。

昔ほど「ワーーー」と発狂するような大変さはなくなり、なんなら私の家事の手伝いまでしてくれている。

しかし、未満児の育児に疲れ果てている世の中のママに、絶対に言わない言葉がある。

「今だけよ、こんなにママ、ママ言って、甘えるのは〜」

これは、ぜっっっったいに言わない。

あの頃を「大変だったけど可愛かったな」なんて思う日は来ないと思う。

だって、きついものはキツイ。

「子どもは好きなほう」と自分では思っていたのに、いざ産んでみると苦手と感じる意識は、趣味を仕事にしたときの感覚と同じような気がする。
好きだという理由で、いざその仕事をしてみたら「なんか、違う」となる感覚だ。

ここで心に負荷がかかるのは、「仕事は辞められるが、子育ては18年間辞められない」という点。

その縛りを「愛おしい」と誰もが思えるかというと、それは違う。
少なくとも私は、仕事を中心に自由に生きてきたので、違う。

育児=縛り と感じてしまうことも、しばしば。
何度もいう、きついものはキツイ。

*

私はほぼ毎日、子どもの顔を両手で掴み、引き寄せて、『すんすん』と頭の匂いを嗅ぐ。

子どもたちが自分でシャンプーするようになった頃「頭洗えている?」の確認から始まった儀式。

それが今も続いていて、コミュニケーションの1つになった。

宿題を見せに来た、小4の長男の頭を『すんすん』

「アトピーの薬を背中に塗ってー」とお願いしにきた、小3の長女の頭を『すんすん』

寝ている、小1の次女の頭を『すんすん』

あら、お風呂上がりなのに汗くさいな。そして「汗くさいな」と言ったあとに、また『すんすん』

他人なら、絶対嫌なのに。やってしまう、すんすん。

仕事のことしか考えられなくなる性分な私。
少しだけ自分の母性を発掘する瞬間は、今のところコレしかない。



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