T. Kamba (神場知成)

テクノロジーと人間との未来に興味を持つ。メーカーを経て大学教員。専門はコンピュータ・ヒ…

T. Kamba (神場知成)

テクノロジーと人間との未来に興味を持つ。メーカーを経て大学教員。専門はコンピュータ・ヒューマン・インタラクション。 趣味は音楽全般。ピアノを中心にクラシック、ジャズ。バッハ、フィリップ・グラス、ブラームス、グレン・グールド、ビル・エヴァンス、ミシェル・ペトルチアーニ等。

最近の記事

DXの本質をなるべく簡単に語ってみる

最近、いろいろな企業とDXの話をすることが多いのだけれど、本音ベースになったときに結構「DX(デジタルトランスフォーメーション)が重要と言われてやらざるを得ないが、実はいまひとつ、ピンときてない」という方が多いんですよ。 それで、ちょっと僭越ながら「単純化して、こう考えたらどうでしょう?」という話をしますね。ちなみに僕は授業でDXの講義をしたり、とある地方自治体のDXアドバイザをやってたりしてて、一応、理屈としてのDXも現場のDXもそこそこわかってるつもり。 さて、突然で

    • パーソナライズから、ポジショニング・アウェアへ

      僕がいつも重要と思っている問題の一つとして、いわゆるフィルターバブル、エコーチェンバーがあります。そんなむずかしい言葉を使わなくても、要するに「twitterとかSNSばかり見ていると、はいってくる情報が自分の興味あることや自分が正しいと思う意見ばかりに偏って、いつの間にか世の中の人たちがみんなそういう考えだと思ってしまう」という現象のことです。 どれくらい重要かといえば、そういうことから発生する問題が民主主義を破壊する可能性もあるし、世界を分断するかもしれない、というくら

      • ジャズな勉強法

        これは「ジャズ」の話ではなく「勉強法」の話である。 ぼくは子どもの頃からずっとクラシックピアノを習って、大学でもピアノサークルで学園祭のときはいつもキャンパスでやる演奏会に出ていたからそれなりにちゃんとやった方なのだけど、その後、数十年を経て、むかしから聴くだけは好きだったジャズピアノをちゃんとやってみようと思ってレッスンに通いはじめて、結構衝撃をうけた。 料理に例えると、クラシックピアノの標準的な教育法は「チャーハンをつくるには、ごはん200gに長ネギ5cm、鶏ガラスー

        • ターゲティング広告技術とプライバシーの新展開に思う

          言うまでもなくインターネット広告、特にターゲティング広告は今や世界のメガビジネスで、それが直面している最大の課題はプライバシー問題だ。これに関する最近の動向を見ていて、自分の昔の研究経緯を整理しておくと、関係者の参考になると思ったので簡単に整理しておく。すべて書くとあまりに話は長いので、とりあえず主なものだけとし、その他の詳細はそのうち少しずつ別稿を書こうと思う(なお、これは自分がつい先日、自分のサーバ上で書いたブログを少しだけ追記して再掲するものである)。 あらかじめ書い

        DXの本質をなるべく簡単に語ってみる

          声のリアリティ

          なんでこんなタイトルにしたかと言うと、メタバースだ。 メタバースは、コミュニティの形成のされ方とか(DAOとか)、価値の発生のしかたとその交換方法とか(NFTとか)いろいろと本質的なテーマがあるわけだけれど、その辺は他の人がいろいろ語っているのでさておくと、 冬休みにしばらくOculus Quest 2をかぶってVR chatに入りこんでいたら、一番の衝撃は「声のリアリティ」だったわけです。 ふつう、メタバースをマスコミが取り上げるとき、「HMD(ヘッドマウントディスプレ

          個人に必要なスキルの範囲が少しだけ変わってきていて、それは長期的にわりと大きい影響があるかも知れない

          コロナ禍で、企業人やアーティストなどあらゆる分野に共通して重要度があがったと思うスキルはいくつかあるけど、 ・少し広い意味での「ITリテラシー」 ・少し広い意味での「つながるチカラ」 は割と典型的と思う。 ITリテラシーについて言えば、今まではたとえば「エクセルやネット検索を効果的に使える」とかで良かったのだけど、今回、「自宅のPCの通信が遅いのをなんとかする」「Webカメラの映りが悪いのをなんとかする」といったところも必要になってしまった。そもそも何をする必要があるかを判

          個人に必要なスキルの範囲が少しだけ変わってきていて、それは長期的にわりと大きい影響があるかも知れない

          (まともな)会議や授業にちょっとだけ遅れるのはとても損だとおもう話

          もうタイトルどおりとしか言いようがないんだけど、いちおう説明しますね。僕自身は企業にいたことがあって、今は教員をやっているので両方とも経験があるのだけど、たまに「会議にいつもちょっと遅れてくる人(ここではとりあえず、リーダー以外の話です)」とか「授業にいつもちょっと遅れてくる学生さん」っていうのがいて、もったいなと思うんですよ。ちょっとと言うのは1、2分のことで、要するに「少し意識すれば時間通りに来れるはず」というのを指してます。30分遅刻とかは話が別ですね。それぞれ事情があ

          (まともな)会議や授業にちょっとだけ遅れるのはとても損だとおもう話

          すべての予定を前倒しする話

          唐突ですが、仮に、カレンダーの締め切りをすべて頭の中で一週間、前倒ししたとしますね。「2週間後の火曜日が締め切りの宿題は、一週間後の火曜日が締め切りとする。9月20日のお金の振り込みは9月13日と考える」みたいな感じで。さて、これをやると、トータルの作業量はどうなるでしょう? まあこまごました条件を除いて考えると、時計を10分進めても一日が24時間なのは変わらないのと同じで、作業量は変わらないですね。「そんなの現実的には無理でしょ」と思う人が多いかもしれないけど、そうでもな

          すべての予定を前倒しする話

          布石は遠くに、行動は半歩先に

          あらかじめ白状しておくと、なんでこんなタイトルのブログを書いているかというと、「検索したら見つからなかったから」なのです。なんと「布石は遠くに」でさえも出てこないんですよ。「それならとりあえず、僕が言ったというつもりで書いちゃえ!」というノリで。 実は僕自身は、20代のころから、これを座右の銘としてたんですね。 「布石」というのは、ご存知の人が多いと思いますが、囲碁用語です(と言っても、僕は将棋好きだけど囲碁はまったくできないのだけど)。囲碁で、「将来、この辺の陣地をとろ

          布石は遠くに、行動は半歩先に

          なんでみんなそんなに絶対音感が気になるんだろう

          僕は音楽が好きなので、いろいろ音楽に関する世間の話題を見ていると、「なんでみんなそんなに絶対音感が気になるんだろう」と思うことが多いです。もうね、個別に挙げないけれど、本は出るわ論文は出るわ、話題になれば議論百出だわ、という感じで。 僕自身はどう思ってるかというと、 世の中には、お肉を持っただけで「これは1kg」とか「132g」とかわかるお肉屋さんもいるだろうし(絶対重量感)、「手を 1.1メートルに開いて」と言われて正確にできる大工さんもいるだろうし(絶対長感)、触った

          なんでみんなそんなに絶対音感が気になるんだろう

          会議後の1分間くらいの話

          今は会社員ではないので、いわゆる「会議」という感じのものは会社員のころよりも圧倒的に減ったのだけど、会社員時代は本当に多かった。最近は「無駄な会議を減らせ」というのが徹底しているので、以前よりは減ってるのだろうけど。 ところで当時のことを思い出すと、会議の中身はさておき、僕が割と大事にしていたなと思うのは、会議後の1, 2分間くらいだ。終了してみんなが自室に戻ったり、次の会議に行ったりする途中の廊下だ。キーとなる人をつかまえて、ひと言だけ話をする。 問題のない会議の場合は

          会議後の1分間くらいの話

          ディベートの授業なんてやめた方がいいと思うんだよね

          対面にせよSNSにせよ、たまたま誰かと話をしはじめて、最初の一瞬で「これは早めに逃げなきゃ」と思うことがある。というか、twitterでよく目にする議論なんて、ほとんどそうだ。 理系文系とかいうのを持ち出すのはあまり好きではないのだけど、一般に理系的な学問で、Aと思ってる専門家とBと思ってる専門家同士が話をするときって、お互いが、「正しい、あるいは、より正解に近い」Cを探すために協力してる」という心理的な前提条件があるわけよ。たとえば何かの設計案の話で意見が割れたのであれば

          ディベートの授業なんてやめた方がいいと思うんだよね

          オープンイノベーションっていうけどさ

          この業界、バズワードを使いすててばかりいるので、「オープンイノベーション」っていうのもそろそろ流行ってないかも知れないのかも知れないけどさ、とりあえず僕なりの考え方の例として。 この手の言葉を、専門家がもっともらしく説明してくれるけど、全然わからないわけ。ウィキペディアの「オープンイノベーション」って、これだからね。 そこで、僕がいつもこういうのを自分なりにかみ砕くときに使っている方法だけど、それは、例の「世界がもし100人の村だったら」的な方法です。身近なことに置き換え

          オープンイノベーションっていうけどさ

          note始めてみます

          いくつかの場所に書いてみて、どこにどういう話が向いているかの比較をしている最中なので、とりあえずnoteは初投稿。 だいたい、友人が読むくらいでいいかなと思ってfacebookに書いていたのだけど、どうもfacebookって、食べ物とか旅行とか、身近なできごとが多くて、堅めの話には向いてなさそう。僕は、食べ物の写真をシェアするとか見るとか興味ないからなぁ。そうは言っても、「このジャズミュージシャンの演奏いいよ」とかいうのは興味あるから、人それぞれですね。 ということで、t

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