モズラーの名刺と硬貨 解説

激論があったで自分の考えを整理する為に書きます。
本筋は硬貨だと思うので硬貨メインでいきます。

まず、私が考えるToken Monetary Theoryでは、
モズラーの名刺、硬貨は資産です。

そして、発行された紙切れや金属片を仮想的な資産となる信用を与えているのは誰なのか?と考えます。

モズラーの家に住ませてもらえる納税や行政サービスで使える
この約束が紙切れや金属片に物質の価値以上の物を与え、これを与えるのはモズラーや国ですね。

つまり、発行者の負債となり単純な話になります。
以下が議論の本題

硬貨を会計的に見る

議論では日銀券は信用貨幣だが硬貨は資産だという話になります。

私から見ると同じに見えるが会計的にみると違うという話です。

日銀券は発行前は紙切れとして日銀の手元にあり、
発行時に発行銀行券を見合いの負債として発行され発行額が記録され、日銀券が手元に戻ると発行銀行券の負債は相殺され信用貨幣が消える。
非常にわかりやすい形になります。

硬貨は発行された時から日銀の資産にあり、その後も資産として扱われる。

たしかに、この点をみると資産との主張も納得できます。

硬貨の発行から考える

硬貨の発行は、
政府が硬貨製造→日銀に販売→日銀が流通させる
と、なっている様です。
(詳しく調べてないので詳しい方いたら教えてください)

今回は簡略化の為、製造費は無視して考えていきます。

製造された額面100万の硬貨を日銀に販売
    資産       負債
政府 政府預金100万
日銀 硬貨100万    政府預金100万

統合政府では政府預金は相殺され、硬貨100万円が資産としてそのまま発生しています。
会計の表面を見ると資産として発行されている事がわかる。

硬貨の価値

ここで日銀券との違いが明確になる。
日銀券は、見合い負債として発行銀行券があり
硬貨は、見合い負債がない

日銀券の場合、紙切れが額面のお金として通用するのは、日銀が額面で受け取るからで、日銀が日銀券を額面ではなく紙の値段として受取り始めると日銀券の価値は暴落する。
そもそも日銀が額面金額で受け取る約束をしていない紙切れは受け取りませんよね。
その約束を会計的に表現したのが発行銀行券という負債になる。

硬貨の場合、この見合いの負債が存在しない、
政府や日銀に硬貨を持ち込んだ時に素材価格ではなく額面価格で受け取る約束が会計上に存在しないことになる。
つまり、本来は発行者である政府はこの受取る約束という負債を会計上にも書けば破綻の無い信用貨幣の発行が出来上がる。
    資産      負債
政府 政府預金100万 硬貨発行額100万
日銀 硬貨100万   政府預金100万
これで統合政府の硬貨発行時にバランスする。

政府は100万円の硬貨が納税されると金属片ではなくて100万円として受取りますからね。

これが抜けているので表記されたバランスシートだけを見ると資産として発行されているように見える。

モズラーの名刺

これも硬貨の場合と似ている
       資産      負債
モズラー         名刺発行n数
子ども   名刺n枚
名刺を渡した時に名刺を受け取った時の約束を負債として考えると、名刺は保有者の資産で発行者の負債となり信用貨幣

モズラーの約束の負債が存在しないと考えれば
       資産      負債
モズラー         
子ども   名刺n枚
名刺をモズラーが受取った時の約束を負債として書かなければただの資産

後者の問題は、
名刺が名刺その物の価値なのか、
モズラーの約束込みの価値なのか、
この区別が会計上でわからないことにある。

この会計を外部貨幣の金額で換算した場合
前者は名刺は家賃くらいの価値を持ち、
後者は名刺その物の価値しか持たないかもしれない、
後者の会計は現実を表現できていない事になる。

まとめ

結論としては、
硬貨は会計上は資産だが、発生する負債を書いていないだけなので実体的には信用貨幣であるとなりました。

本来は政府の会計に硬貨発行額を負債として書く
もしくは、
日銀が硬貨を受け取り、日銀券と発行銀行券の様に、硬貨と発行硬貨という負債を見合いとして発行すれば会計的にも破綻がなくなる。

こうすると会計上も実体も問題なく信用貨幣と考えられ論争も起こらないと考えられる。

オマケ

ちなみに資金循環統計では、日本銀行の負債を「日本銀行の財務諸表から日本銀行券の発行高を、「通貨流通高」から貨幣の市中流通総額を求め、これらを合算する」とあるので流通している貨幣(硬貨)が統合政府の負債である事は認識しているようです。

この時点で合算するという事は政府の会計に通貨流通高が入っていない事もおそらく事実だろう。

日銀は政府からの購入なので別途の負債を作るとおかしくなるので、
政府が日銀に売った時に発行額を負債として入れるのが最もわかりやすいが、この場合は通貨発行益が会計上消えてしまうのも面白い。

統合政府の負債こそが民間に供給されたマネーだという貨幣の仕組みがわかば全く問題ない事でもありますが、硬貨の発行残高を政府の負債とした場合は硬貨を発行する度に経費分だけ会計上の発行損となっていく事になる。

修正ついでに追加したらオマケが長くなってしまいました。

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