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「承認せずとも禁止せず」ベトナムの同性婚とLGBT問題

 自民党の杉田水脈議員がLGBTは「生産性がない」と論じたことが、ネット上で批判され炎上、自民党本部には5千名を超える人々の抗議デモにまで発展した。

 ではベトナムではLGBTをめぐる問題はどのように扱われているだろうか。

 ベトナムの映画やお芝居では喜劇役者の女装し、オネエ言葉で笑いをとったりというのは以前からあった。タイニン省では旧正月(テト)ともなると町の広場で「おかまちゃんショー」が開催され、女装したニューハーフが芝居やコントが披露される。

 同性愛の男性カップルを主人公にした映画"Hot Boy nổi loạn"(2011)が製作され、ベトナムでも上映された。写真家Maika Elan(グエン・タイン・ハイ)はベトナムの同性愛者をテーマにした組写真「ピンクチョイス」でワールド・フォト・プレス2012の賞を受賞、その写真展はベトナムでも話題になった。

 6人兄弟の末っ子として生まれた「男性」が自らは女性であるとの性自認をもち家族・社会のなかで葛藤、タイで性転換手術を受けるまでを描いたドキュメンタリー映画"Finding Phong"もこの10月に上映された。

 「婚姻家族法」(2014)では同性婚を禁止する条項を削除する一方、国は同性婚を「承認しない」とした。同性愛者の結婚は禁止しないが法律的には守られないということだ。

 青年たちはSexup! Fairというイベントを行って、セックスについても臆さずに語りあい、避妊や性感染症への啓蒙や性の多様性の啓発活動も盛んだ。ベトナムでも性は人権であるとの認識が広まりつつある。

日本ベトナム友好協会東京都連ニュース「ハノイからの手紙」2018年11月号掲載

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