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カオダイ教の祭壇画はまるで神様オールスターズだ!

 夏休みを妻の実家があるタイニン省で過ごした。タイニン省にはカオダイ教の総本山がある。省の住人の多くはカオダイ教徒だ。義父母ももちろん教徒だ。妻の人民証明書の宗教の欄には「カオダイ教」と記されている。

 妻との結婚の際にカオダイ教への改宗を求められるのであれば、自分は進んでそうしようと思っていた。しかし結婚を前にして義父に信仰について尋ねられたが、まさか「無宗教」だと答えることもできず、苦し紛れに「仏教徒」だと答えたら、「ああそうか」といって特に改宗を求めるでもなく、そのまま結婚して今にいたっている。

 義父母は特に日常的に跪拝をすることはないが、月のうちの10日は肉食を断ち、旧正月などの祭日には義父が白いアオザイを着て祭壇に祈りを捧げる程度だ。その娘、息子たちは戒律である月の10日の菜食の日すらも守っていない。

 祭壇には絵が飾られている。神の神ともいうべき天帝を表す一つ目の「天眼」の下に道子、釈迦、孔子、その次には観音菩薩、李白、関帝(関羽)、次にはキリスト、一番下位には周の戦略家・呂尚(太公望)が描かれている。

 カオダイ教は道教、仏教、儒教の三教にキリスト教が混合した宗教だと説明されている。しかし関羽や李白、呂尚といった中国の詩人や武将、戦略家が聖人として祀られているのはどういうことか、妻に聞いても両親にきいてもその由来を知らない。誠にもって緩やかかつ得体のしれない宗教ではある。

日本ベトナム友好協会東京都連ニュース「ハノイからの手紙」2021年7月号掲載


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