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絹絵画家グエン・ファン・チャンの作品展が金沢で開催

この4月28日から5月19日まで石川県・金沢21世紀美術館にてベトナム絹絵画家グエン・ファン・チャン 絵画保存修復プロジェクト展「愛を語る人 画家のまなざしをつなぐ人々の物語」が開催される。

この美術展は金沢市でのみ開催されるので、多くの方にご覧いただけないのは残念だ。

ベトナム人画家、グエン・ファン・チャンは1892年現在のハティン省に生まれ、1925年にはハノイのインドシナ美術学校の第1期生として絵画を学び、その中で近代絹絵の技法を確立し、フランスでの評価も高く、世界中で彼の作品の展覧会も行われた。第一次インドシナ戦争に勝利したのちは、インドシナ美術学校の教師となり、晩年までハノイのグエン・タイ・ホック通りの小さなアパートで暮らし、多くの作品を残した。

2020年には彼の1930年の作品である、Les Couturières(お針子たち)は香港クリスティーズのオークションで1093万香港ドル、約139万米ドルで落札されたことで、話題となった。

なぜ、その作品が16点も日本で展示されるのか?それは、映像製作者の中村勤さんが2007年、仕事で訪れたベトナムにはじまる。

ある企業のプロモーションビデオ撮影を頼まれたが、そのホーチミン支店の従業員の机の上に置かれたカレンダーの絵。その絵に見せられてしまった中村さんは、作品をもとめ、ベトナム中を訪ね、最終的にはすでに高齢だった画家の娘に出会い、彼女が保管する画家の絵を「修復して日本で保管してほしい」と託されたのだ。中村さんはその約束を果たすため、スポンサーを探しだし、著名な修復家に頼み込み、そして16点の作品はすべて修復が終了して、今回の展示会でファン・チャンの作品が公開される。

修復の様子はテレビ番組にもなり、画家ファン・チャンの足跡をたどった映画も制作された。中村さんがひとめぼれした画家ファン・チャンの熱に感染した日本人は実に多い。中村さんの熱意は本物だからだろう。

日本ベトナム友好協会機関紙「日本とベトナム」2023年5月号掲載

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