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ベトナムのファッション・トレンドはレトロ、エコ、モノトーン

 私は生まれてからこの方、自分が着る衣類については、母親と妻に頼りきりである。なにを来たら自分で似合うのかどうか、さっぱりわからないからである。母親や妻から文句の出ない衣類を身につけていれば、諍いもない。結局、母、妻が購入してきたものを喜んで着用することになる。
 そんな人間がベトナムのファッション・トレンドを語るなど、ちゃんちゃらおかしいのだが、しかし、長くベトナムと関わっていると気がつくこともある。
 ここ最近のカフェは、ゴージャスなカフェより、「コンカフェ(Cộng Cafe)」をはじめとする「レトロ」カフェに人気が集まっている。壁や家具を軍隊の迷彩色のようにオリーブグリーンに塗り、プロパガンダアートをあしらい、レトロな花柄のクッションなど、ドイモイ政策以前の懐かしいバオカップ(配給制度)時代をイメージしたというカフェだ。スタッフもオリーブグリーンの軍服のような服を着ている。そんな地味なカフェにベトナムの若者たちでいっぱいだ。
 もう一つのトレンドはずばり「エコ」だ。海洋汚染原因国として名指しされたベトナムの若者たちは最近とくにプラスチックの使用に敏感だ。多くのカフェやレストランなどで、プラスチック製のストローを廃止、ストローの提供をやめたり、紙製や草でできたストローを提供する店が増えてきている。マイバッグやマイストロー、マイカップを持ち歩く若者もいるほどだ。
 ファッションとなると、黒一色の「モノトーン」が大流行り。日本でも以前、黒のモノトーンが流行った。当時、ベトナム人はそれをみて、「なぜ日本の女性は黒しか着ないの?」といぶかられたことがあるが、そのトレンドが今ベトナムに来ている。これまで色は原色、ボディコンシャスなお洋服がベトナムの若い女性の心を捉えていたが、これからはレトロで、エコロジカル、そして自分に癒しをあたえてくれるような肩肘張らない「ゆるふわ」ファッションが流行する予感だ。

日本ベトナム友好協会機関紙「日本とベトナム」2019年10月号掲載

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