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だから、もう眠らせてほしい

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僕はある夏、安楽死を願った二人の若い患者と過ごし、そして別れた。 ひとりはスイスに行く手続きを進めながら、それが叶わないなら緩和ケア病棟で薬を使って眠りたいと望んだ30代の女性… もっと読む
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今夜NHK出ます!新年ご挨拶

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ほぼ毎朝6:30に15分くらい考えるラジオ。 内容は、緩和ケア・暮らしの保健室・社会的処方・コ…

夏の感想文『だから、もう眠らせてほしい』受賞作品発表! 天地人の席

 いよいよ、「天の席・地の席・人の席」の発表です!  ちなみに「天・地・人」の3つに特に…

夏の感想文『だから、もう眠らせてほしい』受賞作品発表! 入選~特選

 本当にみなさんありがとう。  最初に感謝の言葉を言っておきます。  Yくんと吉田ユカ、そ…

【賞金あり】夏の感想文:『だから、もう眠らせてほしい』2つのテーマを追って

 2020年1月からnoteで連載を続けていた『だから、もう眠らせてほしい』が、7/14に書籍版とし…

【20万PV達成】本になります。

 1月から連載を続けてきた、『だから、もう眠らせてほしい~安楽死と緩和ケアを巡る、私たち…

エピローグ(Kushiro-side)

(エピローグ:Kawasaki-sideから続く) 釧路の海に 海の向こうには死者の国がある、という…

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エピローグ(Kawasaki-side)

 吉田ユカは、鎮静を始めて1週間後に亡くなった。  実は、鎮静薬の投与を始めた後、ユカは中々眠れずに僕らが試行錯誤することになった。ユカが不安に思っていた通り、薬の効果が出にくかったのだ。ハロペリドールでは眠れないだろうことは予測していたが、その次に使ったミダゾラムも効きが悪く、最終的にはフェノバルビタールという薬剤を使用して、ようやく眠ることができた。  結果的に、ユカにとってはつらい時間をさらにもう少し延ばしてしまうことになってしまった。 「思うように眠れなくて、つら

有料
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10-2:10日間の涙(後編)

(前編から続く) ラインを引く カンファレンスが終わってすぐ、担当する看護師と一緒に、吉…

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10-1:10日間の涙(前編)

 日曜日の朝、自宅マンションでYくんは亡くなった。  奥さんが、朝に様子を見に行った時、…

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9:少し先の未来がつむぐもの

 Yくんの具合が少しずつ悪くなっていったとき、吉田ユカもまた、体調を崩してきていた。  …

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8:もし未来がわかったなら

 Yくんは、キャンプから無事に帰ってきた。  キャンプから2週間後、外来に現れたYくんは…

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7:いのちではなく、希望を守りたい

 前回の外来から1か月半。これまで時々流れてきていた、Yくんのツイッターの更新頻度が減っ…

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6-2:安楽死の議論はやめたほうがいい ~宮下洋一に会う (後編)

(前編から続く) 流れ作業化する安楽死  僕は、吉田ユカがスイスに受け入れを断られた件に…

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6-1:安楽死の議論はやめたほうがいい ~宮下洋一に会う (前編)

 幡野広志に会った後、僕にはもう一人どうしても会っておきたい人がいた。  それが、高願寺で安楽死について対談した、在欧州ジャーナリストの宮下洋一だ。  宮下は、吉田ユカがエントリーしようとして断られたスイスの自殺幇助団体・ライフサークルをはじめ、ヨーロッパやアメリカの安楽死事情を取材して『安楽死を遂げるまで』(小学館)という本にまとめて日本に紹介した方。最近は、神経難病を患った日本人がライフサークルで安楽死を遂げるまでを密着取材し、『安楽死を遂げた日本人』(小学館)という本を