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あなたは料理人ですか

 大の大人があんなに熱心に読んでいるのだから、新聞に書いてあることは真実なのだろうと子供の頃は疑わなかった。しかし、嘘か本当かギリギリのラインのものも沢山あって、新聞によって書いてあることが真逆だったりするのだから、真実など分からない。

 一次情報をコピペするだけではネットを超えられないから報道各社も悩ましいのだろう。とはいえ、SNSに上げられたネタを切り貼りしている番組はいただけないし、いわゆるコタツ記事が横行しているのも残念だ。
 既存の報道機関は半ば諦めてしまったのだろうか。

 思えば、世に広く知られている事を鵜呑みにすることが多過ぎないだろうか。みんなが知っている事を知らないことの恐怖心が強すぎるのか。
 ネットを見れば何でも分かると言われるそのネットだって真実を見極めるのは難しい。フェイクなんとかを持ち出すまでもなく、wikipediaが普及し始めた頃はあんなところに書かれた情報は疑わしいと言われたものだ。
 自分の外側にあるものは、判断するための材料に過ぎず、自分の中で咀嚼することが大切だという考え方はどうやら流行らないらしい。まず答えを欲しがる傾向は増している気がしている。

 で、結局どういうことなんですか、忙しいんだから答えだけ教えてくれればいいんですよ、と思ってるんだろうなぁこの人、と思うことが多い。その人の求めた「答え」は、生のママでそれを欲する人に投げられる。相手はそんな生モノを求めていないから拒否される。すると今度は、あの答えは間違っていましたと私に突っかかって来る。
 答えが間違っていたのではなく、料理せずに客に出したあなたが間違っていたのですよと分からせるのは、自分は料理人だとその人自身が知らない限り至難の業になる。
 スーパーでカット野菜や惣菜、弁当が売れまくる時代だから仕方がないのか。

 料理人が調理をせずに、買ってきた弁当を皿に盛るだけの店は早晩潰れるだろう。それと同じことがあちこちで起きている気がしてならない。
 解決するということは、どこかから答えを探してくることではない。他ではどこにも見つからない答えを、問題が起きている場所で即興で調理することだ。ありもので何か作ってと言われて出来ない板前はいない。

 仕事は問題があるところにある。仕事があるところには問題が生じる。それを現場の当事者が解決出来なければ仕事は進まない。
 優秀なシェフになって、出したものが美味しいと言われるようになりたいものだ。

おわり

 


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