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ボディーブロー

 ボディーブローのように物価上昇が家計をえぐり始めている。これまでも再三に渡って物価が上がって家計が厳しいと言っていたと思うが、このまま行くと、いよいよダメージの蓄積が顕著に表面化してくるはずだ。

 ともすると値上げに慣れてしまって、また値上げね、と受け流す癖がつき始めているのではないだろうか。そうだとしたらコワイ。
 日常の食料品や日用品でも、ちょっとした買い物をすればすぐ五千円札が消えていくのはザラで、ともすれば万札すら必要になる。現金派でない人はもしかするとあまり分からないうちに口座残高が減って驚くみたいになるのだろうか。特にクレジットカード決済を多用すると、数カ月後の引き落としの時になって焦るみたいなことが起きるから気をつけなければならない。

 物価上昇とともに賃金を上げようという狼煙を上げた政府だが、掛け声だけで賃金が上がるのであれば世話ない。まずは大企業からというのも分からなくないが、そこは企業任せなのか。中小企業の場合、売上が増える見込みになったからすぐに賃金を上げましょうということにはならない。そもそもカツカツでやっているのだから、多少の売上増では余裕資金など出来るはずもない。一度上げた給与を下げるのは難しいから、体力の無い企業では慎重にならざるを得ない。そして、日本の企業のうち99%以上が中小企業なのだ。

 賃金を上げようというスローガンではなくて、実質的な家計収入が増える施策を今すぐに打つべきではないだろうか。そして、国民はそのことをもっと声高に訴えても良いはずだ。
 実質収入を上げる方法は様々あるだろう。この先何年か継続的で安定的なインフレ傾向を目指すなら、家計のサポートも一過性のものでは物足りない。だから、個人向けの減税は欠かせない。特に消費税は一旦リセットしてはどうか。消費税が上がる度に儲かる業界があるから、そうした企業には申し訳無いが、全体の利益を追求する上では致し方ない。

 消費税を無くしたら社会保障費はどうするのだという話が浮上すると思われる。しかし消費税が社会保障費に使うことになっているのが事実だとしても、消費税収が無くなったからと言って社会保障費が無くなったり減ったりする訳では無い。そもそも国民生活において大切な社会保障費を消費税に大きく頼る仕組みがおかしいとも言える。

 戦後からこれまでの間、日本では多くの国民が同時に同じ理由で困窮する事態に陥ったことは無いだろう。近い将来、家計が押しなべて赤字になり、収入が増える見込みも無い中で食糧危機による高騰が起きれば、日本国民の生活は詰んでしまう。そうなれば人々はもっと独善的になるだろう。少ない食料をご近所で分け合う姿は、少なくとも都会では想像しにくい。
 それでもいつか給料があがると信じて働き続ける人々は偉いというか、何とやら。

おわり

 

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