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家の修理やメンテナンスがお安くできますよ、にご注意

 個人にとって、家は車の次に大きな買い物だろう。都心では一戸建てなんて夢にすら無り得ず、マンションを購入するのにも超長期の住宅ローンが必要。それでも、ステキなマイホームを諦めきれないという人は多い。

 そんな人の需要に答える為か、都心周辺では元々の土地を分割して複数の戸建てとして建売りされるのが主流になった。それまで一軒の古い家が建っていた土地が、その家が取り壊されたかと思ったらいつの間にか四、五軒の新しい家になっていたなんてことはザラにある。雑草が生い茂っていた傾斜地の空き地も、いつの間にか造成されて数軒が立ち並んでいることもある。
 建売りとはいえ、建築中であれば内装の壁紙などはある程度選ぶ余地があるし、何より財布と夢を天秤に掛ければ家を持てるだけでラッキーと言うことだろう、飛ぶように売れていく。

 何でもそうだが、手に入れるまでが一番楽しいのは家も同じ。住み始めると家を買うまでの熱狂は嘘のように何処かに消えてしまうものだ。中にはインテリアが好きでずっと手を加えている人もいるが、大半の人は家に必要なメンテナンスもせずに気がついたら二十年経っていたなんていう事が多い。
 そもそもどんな頻度でどんなメンテナンスが必要か知らない人が多い。マンションやハウスメーカーであれば計画的にメンテナンスが行われ、そのための積立が行われたりするが、建売りの場合は家主任せになることが多いようだ。
 建物などの建造物をメンテナンスする責任は所有者にあるのは誰でも知っているだろう。それでも、購入して何年か経ち家に対する興味を失えば、メンテにお金を掛けるなんて事を思いつかなくなるのが人間だ。車の車検の様な法的な強制も無い。

 そんな頃に、住宅街を周る営業部隊がやって来る。そろそろ外壁や屋根の塗装をされた方がいいですよ、見積もりだけでもどうですかと。
 家にどんなメンテナンスが必要か知らなかったあなたは、営業マンの説明に驚き、雨漏りしては大変だと言うことで工事契約をすることになる。
 建売りの人も教えてくれなかった大切なことを懇切丁寧に教えてくれた営業マンは親切だし我が家にとっては有り難い人と思えるだろう。
 とはいえ、工事費はそれなりに高額だから、何処か他の業者に相見積もりを取るかも知れない。

 テレビでも度々取り上げられているが、いま気をつけなければならないのは、そうした家のメンテナンス業者の中に、詐欺まがいの業者が多くいる事だ。過去に私の実家もやられた事があった。
 家のメンテナンスについてネットで調べると、想像以上の情報がヒットすると思う。その中に、「保険金」や「無料」と言うワードがあったらやめておいたほうが良い。最悪の場合、工事業者だけでなくあなた自身が保険金詐欺の首謀者として逮捕される可能性がある。そうした業者は、今では全国の住宅地を毎日営業して回っている。もちろん、あなたから見れば大切なことを教えてくれる親切な営業マンと思えるだろう。

 これからの台風シーズンや、地震が起きた後などは営業マン達の活動が活発化する。
 隣のお宅で修理していたらあなたの家の屋根が壊れているのが見えたのでついでに修理してあげますよ、というのは私の実家が引っ掛かった手口。後で隣のうちの人に聞いたら、そのお宅でも同じことを言われたという。
 その業者は、ちょっと確認しましょうと言って我が家の屋根に登ると写真を撮って降りてきて、ほら壊れてましたと母に見せたという。これも後で分かったが、写真は偽物だった。
 実家の場合は、お願いしますと言うやいなやその場で直ぐに工事が始まり、数時間の工事後に高額請求されたという顛末。保険嫌いの父が保険を使うのを嫌がった為、後日用意して現金で支払ったという。

 こうした「おいしい」修理話は都会であろうと地方であろと関係なく普及している。業者の住所が地元だからと安心してはいけない。お盆で実家に帰った際などに話題にされてはどうだろうか。
 どうか皆さんも、お気をつけあれ。

おわり

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