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白い天井

                                
昨夜は、ひどく酔っ払った。大好きな人たちに囲まれて、行きつけのBARで飲んでいたはずが、目が覚めると見慣れない部屋の白い天井が視界に入ってきた。ああ、ついにやってしまった。

「酔った勢いとかなんとかいう理由で、知らない人について行く女になってしまった」と落胆していると、ベッドの下から聞き慣れた声が聞こえた。「昨日のこと、ちゃんと覚えてる?」ああそうだ。この人と一緒に飲んでいて、楽しくなっちゃって記憶がストップしてる。たぶん、あのあと店からタクシーでここまで乗せて来てくれたんだと思う。

寝ぼけているわたしに「ほら、ちゃんと昨日のこと反省して」とスマホの画面を向けてくる。酔っ払って笑い上戸になった自分がいる。「お金はいくらでも払うから許して」と謎に懺悔するわたしもいる。ところどころ途切れていた記憶が、一瞬にして舞戻ってきた。彼女とは、十年以上の仲だ。安心して、ついつい酔うのが早くなる。これは、もう四年以上前の出来事だけど、今でも不思議と覚えてる。

あんなに飲むことはなくなったけど、その代わりにジムに行くようになった。プロテインを注文する仲にもなった。健康的で、これからのためにストイックに動けるって最強だなと思う。数年前のわたしじゃ、考えられらない。わたしだけじゃ、こんな未来想像すらできなかった。誰かとがんばることの、強さを教えてくれた。

本当に数え切れないくらい、彼女には何度も救ってもらってきた。恋愛でうまくいっていないとき、赤からで鉄鍋をつつきながら「恋愛って、楽しんだもん勝ちじゃん。だから、楽しもう。」と背中を押してくれた日。仕事を辞めて先が真っ暗だったとき、一緒になって未来のことを話してきた。恋人とうまくいかなくて、自暴自棄になりかけたとき「電話しようや、すこしだけ」と翌朝の仕事がどれだけ早くてもわたしの気が済むまではなしをきいてくれた。数え切れないほどの、思い出がある。

知り合った当初の思い出や、十年間で変わってきた信頼関係。広島にいたときのこと。糸島で事故にあった日のこと。地元に帰ってきたときのこと。最近のこと。書きはじめたらキリがない。いつだって味方でいてくれた。わたしも同じ気持ちでいる。大切だからこそ、一つ一つのエピソードは大事に大事にとっておきたい。そんな気分になったので、今日はここまで。

名前を出さずに紹介する、わたしの友人メモリアル。いつもありがとう。
2020/07/15

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