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白を創る

なんにも進まない一日だったら
空から降るうたを数えていたい
外からの喧騒に息が詰まるのなら
ワイヤレスイヤホンを貸してあげる

体は自由なんだろうけど
心は嫌いな場所から離れられない
潰れた指紋がスマホに這い回るから
君が教えてくれた秋を歌いたい

音楽のちからを借りなきゃ
泣けなくなってしまった御時世に
似せ者の名前で感情を仄めかすのは
現在創造中の異世界だけ

当たり前に笑っていられる夜を
明かりの亡霊を振り払う三日月を
余りなく割り切れる決意を
天に仰いで
ボクは今日も白を創る

絶対に見たくなかった未来は
炎の法則が連れてきちゃったな
内からの黒に詩が危機に瀕するなら
プライスレスな君を思い出したい

なまくら包丁で固い価値観を刻んで
古参の洗濯機で世界を回す
砕けたシャーペンの芯は机を奏でて
君の肖像を描いている

完成した大人の余裕に耐えかねて
歩けなくなってしまった御時世に
見せ物の姿で感情を綴れるのは
生の未成熟なボクらだけ

当たりか外れかの籤引きしか
教えてくれない風を爆破して
滞りなく感情を吐露できる時間を
海に臨んで
ボクは今日も白を歌う

光だろうと闇だろうと
彩度も明度も自分で決めるから
ボクは今日も白を創る
ボクは明日も白を創る



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