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つなぎめ

大したことなくていいから
美しいものに触れたい
夏の神社とか
遊ぶ子どもたちだとか

大したことなくていいから
この薄い胸を埋めたい
君のもっていた優しさを
ぼくに分けて

割れてしまった過去と戦うのなら
ぼくはきっと こぼれたままだ
心のすべてを解き放つほど
強くはないけど
君だけが真実を知ってくれたら

夏を愛した 君の背中
陽炎のなかに消えた 最後の言葉
想像の世界で生きると逝った
君は ぼくを嘲笑うか

頭の混沌と まなこの浸潤と
わずかな光明と しずかな彷徨を
なんど くりかえすのか
熱に浮かされた季節は過ぎ去り
鉄を喰んだような味が残る

時間が止まったあの日から
いくつ節目を迎えても
蝉の鳴き声と 川のせせらぎが
ぼくを駆り立てる

月と太陽の交代劇を
おいかけて おいかけて
君を探している
今日も ふつうが終わっていく
ぼくは どこにいるのか
ぼくは どこに向かうのか

大したことなくていいから
この薄い胸を埋めたい
君のもっていた優しさを
ぼくに分けて



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