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訪問介護の基本報酬引き下げ 厚労省「加算拡充を含めた改定全体で評価してほしい」・・・という記事の紹介です。

ヘルパーの団体が基本報酬の引き下げについて抗議しましたが、国・厚労省からのアンサーがこちらの記事ですね。

内容をざっと見た感じ、当初出ていた情報から目新しい情報はなさそうですが見ていきましょう。

来年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が下がることについて、ホームヘルパーの団体が国へ抗議文を出すなど波紋が広がっている。

厚生労働省はどんな考えを持っているのか。これまでの取材で得られた当局の説明をまとめていく。【Joint編集部】

JOINT

国や厚労省としては、このハードルで何とか超えてくれ、という事だとは思いますので、今更くつがえるような事はないとは思いますが、業界団体として声を上げる事は必要な事ですし、次の改正や本当に恐れているような訪問介護の倒産が相次いで介護難民が増えるような事態に陥った時の布石にはしておくのがいいと思います。

「基本報酬だけでなく、ぜひ改定全体をみてもらいたい」

厚労省の担当者はこう強調する。国として政策的な思いを込める加算の見直し、新設にも工夫を凝らしており、それも含めたトータルで評価してほしいという。

JOINT

もともと基本報酬減の報道が出た時点から、処遇改善加算の比率を高く設定しているというのは一貫した根拠の説明でした。

加算の見直しの中でインパクトが最も大きいのは、今回の改定で一本化・拡充される新たな「処遇改善加算」だ。訪問介護には他のサービスより高い加算率(*)が設定された。

最上位の「加算I」は24.5%。最下位の「加算IV」でも14.5%と、特養や老健、通所介護などの最上位より高くなっている。生産性向上や職場環境の改善、キャリアアップの支援など、より多くの要件を満たす事業所が高い区分に入れる仕組みだ。

JOINT

もともと有資格者しか配置できない訪問介護は、そもそも処遇改善加算の割合は他事業よりも多めに配分されていましたが、今回は更に手厚く配分したという事です。

JOINT
たしかに他の事業に比べるとかなり手厚く配分されています。

利益率が他と比べて高い水準だったので、そこをカットして人材不足が深刻なヘルパーの賃金に直結する部分の処遇改善加算については手厚くすることで職員の処遇は改善できるが、あとは経営努力でなんとかしろ、というメッセージと思います。

ただ、企業努力で利益率を高めても、こうして努力しただけ法改正毎に同じように経営していたら儲からないような仕組みになっていくのであれば、これはもう民間の営利企業では難しいでしょう。
NPOとか社会福祉法人のみが参入できるような仕組みに変えた方がいいんじゃないかなぁ、そうなるとウチは廃業ですけど・・・。

厚労省はこのほか、訪問介護の事業所に質の高いサービスの提供などを促すインセンティブも強化する。

JOINT

これ、加算とればいいやん、と単純に思うかもですが、こういった加算を取ると利用者さんの利用料もそれだけ増えるんですよ。
微々たるものかもしれませんが、1日パン一個で生活している利用者さんを実際に見てきた身としては、利用料金が値上がりするような事はできれば避けたいですし、そもそも気軽に算定できるような内容でもないんですよね。いずれにしても小さい事業所には難しいかなぁという印象です。

厚労省は「処遇改善加算」の拡充で、ヘルパーの賃上げを具体化することができると見込む。他の加算も併せて取得すれば、事業所の収入が大きく減ってしまう事態も避けられる、あるいは事業所の収入を増やせると目算している。多くの事業所に加算を取ってもらうことを通じ、生産性向上や自立支援・重度化防止などの取り組みを介護現場へもっと普及させていきたい、という政策的な思いも強い。

JOINT

国や厚労省がこう考えているのは前々から重々承知していますが、実態はどうでしょうね。
人口減少が明らかで介護職不足が確実な事も10年以上前からわかってきての現状ですから、国や厚労省が想定している事が現実にはどうなのか、という部分は今後明らかになっていくとは思います。

いずれにしても体力のある大企業が生き残っていくのだろうとは思いますが、過疎高齢化が進む地方の在宅介護について、もうちょっと心配してみてもらいたいですね。

とりわけ重要度の高い「処遇改善加算」については、未対応の事業所をなくしつつ上位区分への移行を後押しする「取得促進事業」に力を入れる方針。小規模な事業所などが取り残されないよう、相談員による助言・指導などのサポートをより積極的に展開していく計画だ。

JOINT

そんな事をしなくて算定できる工夫とか考えて欲しいなぁ。
そもそもですけど、サポートセンターに電話するのも結構な手間と勇気がいりそうですけど・・・。

大前提として、議論の背景には今の厳しい財政事情がある。給付費の膨張を抑制し、現役世代の保険料負担などが重くなりすぎないようにするため、メリハリをつけた報酬改定にしなければならない。

JOINT

実際、今の国策は社会保障費用の削減です、これはずっと変わってないです。
なので、そもそもですけど介護報酬を引き上げたいのであれば、そう考える介護職は現与党に投票していては意味がありません。
政治の舵取りの方向性を変えない限りは、社会保障に財源を振り分けるような判断はまずありえませんから。

ですので、完全に政治の話なんですよね。
財源の取り合いです。

そう考えると、少しでも全体でプラス改定になった事は凄い事なのかもです。

僕自身は、裏金問題や統一教会の問題など含めて、こんなに好き勝手していて正直ではない、何でも記憶にないと言えばいい、みたいなノリで国の舵取りをしている政治家が、次の選挙で全員落選しない限りは政治は変わらないし、社会保障を拡充させる方向にもいかないし、介護報酬だって上がりようがないと思っています。
要は国民が真剣に自分たちの生活と政治を結び付けて考えているかどうか、というのが今の結果に繋がっていると思います。

訪問介護の基本報酬を引き下げる判断の材料として、厚労省は特に2つを明示的にあげている。

1つは経営状況だ。主に直近の「
経営実態調査」の結果を考慮した。訪問介護の利益率は、2022年度決算で7.8%。全サービス平均の2.4%を大きく上回っていた。

また、同一建物減算を算定している事業所とそうでない事業所とを分けて訪問介護の
利益率をみると、「算定あり」が9.9%、「算定なし」が6.7%。いずれも全サービス平均より大幅に高かった。

JOINT

単独型でも利益率は6.7%あったんですねぇ。
200万円の収益で利益は134000円という感じですね。

これで高いのかなぁ・・・。
ちょっと疑問なんですけど、単純に他が低すぎるという考えにはならんのでしょうか。

少なくとも2040年頃までは介護ニーズは増える流れで介護職不足が深刻で、介護離職やケアラー問題で約9兆円の損失が予想されている現状で、ここで介護事業で儲かる構造にして活性化させた方が良かったんじゃないかなぁ。

ここで絞るタイミングなんだろうか・・・。

ちょっと気になったので中小企業全体のだいたいの平均の利益率はどんなもんだろうと思って調べてみました。

令和4年中小企業実態基本調査速報(要旨) (令和3年度決算実績)/ 中小企業庁

20230330006.pdf (meti.go.jp) ← 上記資料への直リンクです

180098000円の売り上げで、利益が8707000円との事(令和3年度)。
・・・うーんと、4.83%くらいでしたね。

そっか、そう考えると6.7%でも高いのか・・・。
しかし、売上高の規模も違うもんなぁ、やはり大規模法人が有利という事なんでしょうねぇ。

それに、従業員数みたらだいぶ少ない気がします。
こんな少ない人数でこれだけの売り上げ、介護事業では無理だろうなぁ。

もう1つの判断材料は、介護職員以外の職種の処遇改善を進める必要があることだ。

政府は昨年末、来年度の改定で介護報酬を全体として1.59%引き上げ、うち0.98%を「処遇改善加算」の拡充に充てる方針を決めた。

ただ、「処遇改善加算」は基本的に介護職員の賃上げを目的とした仕組みだ。例えばケアマネジャーや看護職、リハ職、栄養士、事務職らは、主な対象として想定されていない。このため政府は、残りの0.61%を使って多職種の処遇改善を実現する考えを打ち出していた。

訪問介護は利益率が高く、介護職員以外の職種もほとんどいない − 。

厚労省はこれを、基本報酬引き下げの大きな理由として説明した。逆に、利益率が低く多くの多職種が働いている特養や老健の基本報酬は今回、大幅に引き上げている。

JOINT

まぁどこかに配分すればどこかを下げないといけないので、利益率が高い訪問介護が狙われるのは当然でしたね。

しかし、他職種の処遇改善も進めるとなると訪問介護以外の事業は結構厳しいんじゃないかなぁ、物価高騰の影響も大きいだろうし、それに加えて介護職の処遇改善以外に他職種への処遇改善は加算外からの持ち出しをしないと無理だろうし、それこそ人材獲得競争で忙しくもなりそうですね。

もっとも、介護現場の関係者の間では「どうしても納得できない」といった不満が今も渦巻いている。厚労省は今後、今回の改定の影響をきめ細かく把握して更に必要となる施策を検討していく構えだ。

JOINT

意外とモニタリングしてくれそうな感じですね。
改定の影響については、今後どうなっていくかは僕自身も興味がありますし、それに対してどう国や厚労省が対策を打つのかも楽しみです。

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