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【介護報酬改定】厚労省、訪問+通所の新サービスの具体像を提案 包括報酬でケアマネは居宅 ヘルパー資格必須か・・・という記事の紹介です。

さて、いよいよ通所+訪問の新しいサービスについて具体的な内容が出てきました。

これまでも関連する記事は書いてきましたが、ヘルパー不足を少しでもデイサービスの職員を投入する事で解消したいのであれば、新しいサービスを作るのではなく既存のデイサービスから訪問できる・しやすくなるような仕組みづくりが必要と考えていましたし、もし新しいサービスが小規模多機能の宿泊機能がないような感じの事業であれば、あまり意味がないんじゃないかと考えていましたが・・・。

厚労省案の概要は下記の通り。ポイントは包括報酬の地域密着型サービスであること、既存の訪問介護・通所介護で求められる運営基準が踏襲されること、ケアマネジメントを居宅介護支援のケアマネジャーが担う(内包しない)ことなどだ。

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包括報酬で地域密着型となると、やはり新たな事業として具体化していきそうですね。

これ、どういう意図で作るんだろう・・・。

ヘルパー不足を解消するって目的だったと思いますが、これでは意味がない気がしますし、下手をすると小規模多機能や地域密着型デイサービスがこちらの事業に切り替えるだけという事になりかねないと思いました。

特に包括報酬で地域密着型で・・・となると、小規模多機能のように定員を定めると思いますので幅広く地域のニーズに対応できるような事業にはなりそうにないな、というのが正直な所です。

それに、新しい事業をつくるとなると、既存事業が新規事業に参入するのであればまぁよいとしても、新規事業で立ち上げる場合、新たにそこに職員が必要になるわけで、そういう対策で本当にいいのですか?と思いました。

また、訪問サービスの担い手の資格要件も大きな焦点となる。厚労省の担当者は会合後、「引き続き議論していくが、初任者研修の修了などホームヘルパーの資格を要件として定める方向で検討していきたい、と現時点では考えている」と明らかにした。

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この内容だと、訪問できる職員は現状の訪問介護事業と同じなので、デイサービスや小規模多機能で勤めている無資格の職員は訪問サービスには入れない事になるので、そういう意味では、既存の小規模多機能のサービスよりも柔軟性がないというか、職員の資格要件の縛りがつくので職員確保も難しくなりそうですし、既存の小規模多機能からこの新規事業に移行する場合、訪問に従事できる職員を確保するために初任者研修を修了していない職員には修了させる手間が増えるわけで、どういう意図でこういう新規事業をつくるのだろうと更にわからなくなってきました。

■ 新たな複合型サービス|厚労省案

=基本設計=
◯ 類型:地域密着型サービス
◯ 定員:29人以下
◯ 報酬:要介護度別の包括払い

=運営基準=
◯ 考え方:既存サービスの組み合わせであるため、訪問介護、通所介護で必要とされている人員・設備・運営の基準と基本的に同様とする
◯ 管理者:常勤1名
◯ 生活相談員:専従で1名以上
◯ 通所の介護職員:専従で利用者数が15名まで1名以上、15名を超す場合は1名増すごとに0.2名を加えた数以上
◯ 看護職員:専従で1名以上
◯ 機能訓練指導員:1名以上
◯ 訪問介護員:常勤換算で2.5名以上
◯ サービス提供責任者:利用者40名に対して1名以上
◯ 設備:既存の訪問介護、通所介護で必要なものを全て共有して使用する

※ 限られた人材を有効に活用する観点から、訪問介護事業所の指定を併せて受けて新たな複合型サービスと一体的に運営している場合は、双方の訪問介護員の基準を満たすこととする

=その他=
◯ 6ヵ月に1回以上、運営推進会議を開催する
◯ 居宅介護支援事業所のケアマネジャーが作成したケアプランに基づきサービスを提供する
◯ ケアマネジャーとの連携のもと、個別サービス計画で利用日時などを決定する

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定員は29名という事なので、既存の地域密着型デイサービスがこちらの事業に参入する場合は、契約している利用者の数を29名まで絞らないといけないので、見方によると地域密着型デイサービスの利用者が切り捨てられてしまう可能性もありますが、そこまでして参入するメリットはなさそうな気がしますし、そもそも訪問の職員が確保できるのであれば、地域でのヘルパー不足って深刻になってない気もします。

新たな複合型サービスの創設は、人材確保がますます難しくなる今後も地域で必要な介護体制を維持していく方策の1つ。貴重な既存資源をより有効に活用していく狙いがある。

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どの内容がどういう狙いになっているのかイマイチわかりません。

既存のデイサービスやヘルパー事業所は、その事業所単体で80~100名くらい(規模によってはもっと多い)の利用者を確保しているんですけど、この新規事業では定員が29名なので、これだけの人員を配置して、それだけの利用者にしか対応できないのはどうなんだろうと思いました・・・。

定員29人だから、1日の収容人数が29人なんでしょうか・・・。
いや、そうなると地域密着型デイサービスの定員18名との差が多き過ぎるので、小規模多機能の定員の考え方と同じと思っていいと思います。

例えば、通所介護の事業所が利用者のニーズに応じて訪問サービスも提供できるようにすることで、現場がより柔軟に支援を展開できる環境を作り出す。厚労省は今回の審議会で、「訪問介護と通所介護を一体的に提供し、利用者の状態に応じたきめ細かいサービスを効果的・効率的に行う」と説明した。

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完全に小規模多機能の宿泊機能なしの事業ですね。

既存の小規模多機能事業で、ケアマネ確保や夜勤職員の確保が難しい事業所は、この新規事業に参入すると経営的には良くなるかもしれません。

ただ、そうなると地域でも貴重な宿泊できる在宅サービスの社会資源が減少する事になるのですが、そういう事も考えた上での提案なんでしょうかね。

運営基準や報酬単価などの詳細はこれから詰めていく。年内にも新たな複合型サービスの大枠を固める構えだ。

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ケアマネを配置しなくていい事、夜勤者の配置も不要な事を考えると、基準は小規模多機能の報酬単価になると思いますが、それぞれの人件費を減らしたくらいの報酬単価になりそうですね。
それでも夜勤配置をしなくてよいというのはシフト調整もやりやすいですし、デイサービスとヘルパーで同じ職員がサービス提供できるのは、それなりに面白いサービスなので介護職としては面白い現場になりそうです。

僕自身、デイサービスの管理者とかしていた時は、能力が高い介護福祉士にはデイサービスとヘルパーを出来るだけ兼務してもらっていました。
当時(約10年くらい前)は、将来かならずヘルパー不足になるので、デイサービスの職員が訪問もできなくてどうする、介護福祉士なら出来て当然だ、という事で説得して兼務してもらっていましたが、まさか自分で訪問介護事業所を立ち上げてるなんて思ってもなかったですね。

デイサービスの職員がデイサービスの利用者さんの自宅にヘルパーとして入る事は、職員にも利用者さんにもメリットがあったので良かったです。
勤務形態一覧表とか勤務の管理は面倒でしたけど。

「新サービスの創設は制度を複雑化させ、既存サービスの発展を阻害し得る」「既存サービスの規制緩和を検討した方が良いのではないか」「地密なので市町村をまたぐとサービスを提供できない」「訪問サービスの頻度が下がるなど、利用者の利便性はむしろ低下するのではないか」

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議論の場でちゃんとまっとうな意見が出ていて安心しました。
実際、これらの意見は本当にそうなると思います。

この時期に新しいモノを作るのではなく、既存のサービスの基準緩和など、既存のサービスで横断的にサービス提供できるような工夫の方が良いと思いますけどね。

今後、更に検討をすすめるとの事ですので、まだこれで確定という事ではなさそうですが、あまり良い案とは思えませんでした。


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