見出し画像

卒後に臨床栄養について学ぶならLLLという選択肢もある

ESPENのLLLプログラムを知っていますか?


この記事の目的

ESPENのLLLプログラムについて知りたいと思ってネットで情報を探しても、学会や公式のWebサイトの情報中心で、なかなか口コミのような情報には出会えません。

たとえばTwitterで検索しても本当にごく僅かに参加者がいた痕跡がわかるだけで、LLLについてはやはりわかることはほとんどありません。取得者や参加者が少ないこともあって、ワイとか草とか書くような人はそういない。

といって、それがなんであるかよくわからない状態というのは不安になるので、口コミのような感想ってとても大事だと思うんですよね。

まがりなりにもLLLのプログラムに取り組んできた身ではあるので、当時考えていたことや経験を共有して、参加の後押しができたらなぁと思っています。

それがこの記事の目的です。

さて、そもそもESPENのLLLプログラムとはなんでしょうか
(冒頭の雑な書き出しに戻ります)

ESPENのLLL (Life Long Learning) プログラム

1. ESPENとは?
ESPEN(European Society for Clinical Nutrition and Metabolism)は、臨床栄養および代謝に関するヨーロッパの専門家組織です。その主な目的は、栄養および代謝の分野における研究、教育、および臨床実践の進展を促進することです。

2. LLLプログラムの目的
LLLプログラムは、臨床栄養と代謝の専門家のための継続的な教育プログラムとして設計されています。このプログラムを通じて、参加者は最新の科学的知識と臨床技術を習得し、その知識と技術を日常の臨床実践に適用する能力を高めることができます。

3. プログラムの内容
LLLプログラムは、オンラインコースとライブコースの2つの部分で構成されています。オンラインコースは、様々なトピックに関するモジュールで構成され、自宅での学習が可能です。ライブコースは、実際の会場での講義やワークショップが行われる部分で、専門家との直接的な交流が可能です。

4. 認定
プログラムを完了すると、参加者はESPENから認定を受けることができます。この認定は、臨床栄養および代謝の分野での専門的な知識と技能を持っていることを証明するものです。

GPT-4.0

とGPT-4.0に簡単にまとめてもらったのだが、もう付け足すことがない。

あえて一言で言えば、ESPENという臨床栄養を専門とした学会が提供している、e-Learningを中心とした生涯学習コースがLLLです。直前で付け足すことがないとか言っておきながら付け足す。

 自己紹介

今更だけど、LLLについてなにかしら共有・発信しようとしている以上、私自身について少しだけ自己紹介をさせてください。

現在はエンジニアとして活動していますが、以前はこども病院で病院管理栄養士として勤めていました。直営であったこともあり、給食管理にも携わっていました。

そんなわけで、以前はこんな記事も書いていました。

管理栄養士として勤めたのは5年間、病院栄養士としては比較的短い年数でしたが、その間に上司や同僚、環境にたくさん助けていただいて、ESPENのLLLプログラムに取り組むことができました。

足掛け3年かけて取り組んで、2019年にポーランドで開かれたESPEN Congress(いわゆる学会)で最終試験を受ける機会を得ることができました。試験も通って、晴れてdiploma holderとなりました。

と経過だけ書くとやるやん感出てくるわけだけど、ここに書いていないポンコツエピソードは本当にたくさんあって、全く優秀とは言えない学習者でした。それでもdiplomaをどうにか取得した身ではあるので、語れることもあるのではっ!?と思い書いています。

忙しいとかお金がないとか、能力がない等々やらない理由はいくらでも見つけられるけれど、やりたい理由は探してもそう見つけられるものではないと思います。だから誰かに言われたわけではなくて自分の中に少しでもやってみたいという気持ちがあるのであれば大事にするのがいいのじゃないかなぁと思っています。

LLLを知ったきっかけ

LLLを知ったのは、勤め先の病院の先生からの紹介でした。大学卒業して病院栄養士1年目の夏に、このe-learningを教えてもらったのをはっきりと覚えています。

ただ、自身で取り組んでみようと思えるかはやっぱり学習に魅力を感じるかどうかによります。私自身は、取り組むことで失う時間や苦労より、ずっとずっと得られるものの方が大きいと感じていました。というか、管理栄養士としてスタートするのが周りより遅かったので、苦労は買ってでもしなければという認識でいたのも大きかったです。

この記事を読んでくださっている方はきっとなにかしら取り組むメリット、惹かれる部分があって調べているのだと思っています。だから、まず私がLLLのどういったところに惹かれたのかについて共有しようと思います。

LLLのなにが良いのか

🗓️ 学習の質が担保されている🧑‍🏫👩‍🏫

間違いなく、第一に求められるのがこの質です。質の悪いものであれば、無料で学んでも仕方がない。その点LLLは、臨床栄養の各種ガイドラインを国際的に出している学会による学習プログラムであり、著名な先生方が教材を作っているので一定の質が担保されています。

各教材に詳細な参考文献が明記されていて、深掘りしようと思えば論文にアクセスできます。この点、医学書籍の中には文献明記しないものも少なくない印象で、本当によろしくない。

実際に取り組んでみればわかるけれど、決してただ教材読ませて終わりではないです。Webサイト上で理解度を評価し、成績を与えるためのGrading Quizが設けられていて、どこに向かって学んでいくかが明確だから迷子にならない。そうした答えのある問われ方は表面的な理解でも対応できてしまう場合が多々あるものの、学習する上でアウトプットできる機会があるかないかで学習のしやすさはずいぶん変わると思ってる。

🆓 無料で受講できる!

なにがすごいって、この学習プログラムが無料で提供されているということ。LLLになぜ取り組むのかといったら、個人的にはこれが全てだといっても過言ではない。給料低いのに医学書籍もセミナーも高いから、LLLしか勝たんみたいな感じ。

もっとも、e-learningで終わらせずに最終試験まで受けようと思えば、お金は間違いなくかかる。国内での試験も都合よく近場で行われるわけではないので、移動費もかかる。

でも、その価値はあると思っている。資格ではないので、失効という概念もない。だから、エンジニアとして働いている今もこうしてLLLについて偉そうに書くことができるわけだ。

👶 実務年数によらない!🍼

上記二つの理由が全てだけれど、e-leaningに取り組むのも試験を受験するもの実務年数は全く関係しない。なにをするにしても、この前提があるからこそ、取り組もうと思えるわけです。学会加入2年後とか実務5年とかになると、学ぶ価値はあるだろうけど今ではないとなりがち。

LLLは全文英語なので、苦手な人にとっては楽ではない(マジで楽ではない)。当たり前だけれど、日本語の医学書籍で書かれていることと内容が大きく異なっているということもないし、自分が専門としている領域であればすでに理解しているということも多いと思います。

でも、英語がやっぱり壁になるんですね。一方で若手はほどそのハードルは低いと思うし、その英語の壁のおかげで取り組む人が少ないことも相まって、若手だと実力以上に評価されやすい、というのはあると思っています。(もっとも私の周りにいた若手はびっくりするくらい優秀だった、、、)

資格があっても実力が伴わなければいけないというのは管理栄養士として働いていたら痛感するところだと思います。でも実力以上に評価されるというのは必ずしも悪いことではなくて、それまで得られなかった機会も巡ってきやすくなります。

ちなみに、このあたりの考え方は取り組んでいた当時読んでいた下記の本を参考にしたような覚えがある。レビューに見るとどうなんだろという気持ちになりますが、自分はわりと面白く読んだ覚えがあるので紹介しておきます。

🛫 英語を必須とする環境に投じることができる!

LLLは基本的に教材の言語としては英語です。人から薦められて受けるという姿勢だと壁に映るけれど、英語をもっと学びたいという人からは登ってみたい山に映るのではないかなぁと思います。

社会人になったら意識的に学ぶ環境を作らなければ間違いなく身に付かなくて、その点LLLを受けると決めたら必然的に英語を読まざるを得なくなるわけで、もう言うことなしです。

めちゃくちゃ素敵じゃないですか?(あとの苦しさを考えずに)

ちなみに、英語に関しては徹底的に読むスピード早くする必要があると思っていて、その辺りのちょこっと下記で触れています。

 🏃‍♂️🏃‍♀️臨床栄養を学び続けることができる

栄養を専門にしているのが管理栄養士であるからこそ、どういった分野でも栄養に関して振られたら答えられるようになりたい、そうした気持ちは働いていると芽生えてくるものだと思います。そして、自分はわからないことばかりだと痛感します。

どこかでもっと広く臨床栄養を学びたいと思ったとき、LLLというのはこれしかない思える選択肢です。そしてそれは取り組んだ今も大きく変わっていません。LLLはLife Long Learning、日本語では生涯学習です。

LLLは数年おきに教材がアップデートされるので、その時点での国際的にスタンダードな臨床栄養を押さえておくことができます。一度土台を作れば学習の継続はずっと楽になるし、最終試験を受けるまでにこなせなかった範囲も手を伸ばせるようになります。

また、LLLの醍醐味は共に学習し合える環境があることです。一つには公式のライブコースの存在で、LLLをオフラインで学ぶことができる機会です。ライブコースはGradeの試験とセットとなっており、最終試験を受けようと思えば避けては通れません。

こちらは公式ですが、一方で自分達自身でそうした学習環境を整えることもできます。もっとも、そうした環境は一朝一夕で整えられるものではなく、個々人で習熟度が異なるし、どこまで理解しようと深掘りするかによってもその方向性は大きく異なります。単に試験を乗り切るというだけであれば、独学で済んでしまいます。私自身長いことその感覚で取り組んでいました。

最終試験を受ける直前になって、熱量の高い人たちの学習の場に参加させていただく機会をいただけて、独学だと気づけなかった深い学びがありました。LLLの醍醐味と言えるほどの気持ちはありませんでした。でも、どんな学習もそうですが、どうしても自分一人では自分自身の理解の範疇を超えません。こればかりは共に学習し合う環境の中でしか見出せないことだったと思います。

この一点が、取り組んでから気づけたLLLの魅力だったなと思っています。

案内

実際に取り組んでみたいと思ったら、JSPENのLLLについてまとめられたページを確認するのが一番わかりやすいと思います。登録の手順から、LLLプログラムの構成までとても丁寧に書かれていて非常にわかりやすいです。

最後に

人からやってみたいかと聞かれたら気持ちがそれほど乗っていなくてもやってみたいと答えてしまいがちだし、周りが誰もやっていなければ気持ちがあっても少し躊躇してしまいがちです。でも最後はやっぱり自分がトライしてみたいと思えるかどうかで、自分でそれとわかるようなものだと思います。

再三になったしまうけれど、忙しいとかお金がないとか、能力がないとかやらない理由なんていくらでも見つけられる。けれど、やりたい理由は探してもそうすぐに見つけられるものではないとと思うので、やってみたいと思う気持ちがあれば、ぜひトライしてみてもらえると嬉しいです。

いつもありがとうございます。これからも役に立つnoteにしていきます。