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学生時代の経験は忘れた頃に効いてくる〜部活編〜|とべちゃんのレシピ

甘く見ていたけど、「学生時代の経験て、仕事の姿勢にめちゃくちゃ影響を与えているじゃないか!」と思ったことを「部活編」と「生徒会編」で書き残す。

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私は中学時代、ソフトボール部に所属していた。当時は「テニスの王子様」が人気をはくした初期の頃だったので、私はテニス部に入部してテニプリみたいなキラキラ中学生活をおくりたかった。しかし人口5000人をきる村のような町の中学校に、部活のバリエーションはない。文系は美術部。運動系はバスケ部かソフトボール部だけ。

兄や兄の友人と草野球をして遊んでいた私は、なんとなくできそうなソフトボール部に入部した。入部初期に「肩が強い」とわかり、草野球の成果でスイングができたことで1年生の中でも唯一試合に出られるようになった。(人数が少ないこともありチャンスが多かったのも多いにある)どんどん日焼けして、どんどんごつい体になって、憧れたキラキラ中学生活とは違ったけど、部活はやりがいがあった。

そんな部活で、顧問の先生に言われたいくつかの言葉を、大人になって思い出すことがある。

01 「やる前から、嫌だ嫌だ言うんじゃない」

努力しなくてもそこそこできた私は地域の選抜チームに入ることができた。(各校の学生数、ソフトボール部人口が少なかったからというカラクリもある)”選抜”に選ばれるのは誇らしかった。

学生不足とはいえ、選抜チームと名がつくからには同じ地域の強豪校のエースが集まっていた。選抜チームにおける私は補欠の補欠くらいの存在で、各校から選出しなきゃいけない枠を埋めるための要員にすぎなかった。

練習メニューも甘くない。自分の学校のゆるい練習メニューしか経験していなかった私は、どの練習にもついていけなかった。そうした現実を目の当たりにした私の口から出るようになったのが「あー、嫌だなぁ」だった。できないこと、しんどいことをやると思うと憂鬱で無意識に「嫌だ」を連発していた。次第にこれからやることに対して大体「嫌だなぁ」と言うようになっていた(のだと思う)。

そんな私の態度を見かねた先生がこう一喝した。

「やる前から、嫌だ嫌だ言うんじゃない」

そう言われてハッとした。と言うのも、当時の私は自分が「嫌だ」を連発していることに気付いていなかったから。真剣にそう言われて急に自分が恥ずかしくなった。自分はやる前から気持ちで負けていたことに気がついた。

その後、私が態度をどう改めたかは正直覚えていない(笑)でも、あのときのハッとした気持ちとシーンは今でもよく覚えている。今の私は、何か未知のことに挑戦するときにやる前から気持ちで負けることはない。

02 「空振り三振はよし、見逃し三振は許さない」

バッターボックスに立つからには必ず出塁してチャンスを作りたい。自分がアウトにはなりたくない。それでも三振でベンチで戻ることもある。そんなときによくみんなが言われていた言葉。

バットを振らなきゃ出塁できない。だから「これだ!」という球に、思いきりバットを振った三振はそのチャレンジを称賛される。でもバットを振らずに見逃すということは自ら勝負を放棄したことになる。だから同じ三振でも見逃し三振は許されない、という教え。これは非常にわかりやすく、納得感のある教えだった。

仕事では「打席に立つ回数が重要」と言われるけど、それと同時にバットを振る回数も重要だと思う。豪速球にビビってバットを振らずにベンチに戻っているくせに、「打席に立った」と満足していないか注意したい。

03 「頭50%、足50%で走れ!」

ランナーで出塁したときの話。いつも言われていたのが「状況判断」という言葉。ピッチャーの手からボールが離れたら、バッターが打ったら、無条件で次のベースを目指せばいいかと言えば、そうではない。進むべきときもあれば戻るべきときもある。誰かの指示を待てば手遅れになる。常にボールの動きを視野に入れて、自分で状況を判断して動かなくてはならない。だから頭(思考)50%、足50%でどちらも動いていなくてはいけない。

仕事でも同じことが言える。じっくり検討することもやってみることも大切。状況を見ながらバランスを変えたり、やり方を変えたりする必要がある。だから仕事をしているとランナーになって出塁したときのことを思い出す。

04 「黙って立ってるんじゃない。球を呼び込め!」

いろんなポジションを転々とした私は、ファーストを守っていた時期があった。正確に球を投げることに苦手意識のあった私は、どんな球でも受けることでバリューを発揮できるファーストがお気に入りだった。大体のシーンで打球をキャッチした内野手はファーストに球を送る。待っていても必ず球は送られてくる。そんな環境にいたので私は球が送られてくることが当たり前だと思って黙っていた。しかし、それでは済まないシーンもある。ランナーがいるときの内野ゴロや絶妙なバントに対処するとき。そんなシーンの守備練習で言われたのがこのセリフ。

「黙って立ってるんじゃない。球を呼び込め!」

守備においても状況判断は重要。それもキャッチャーやキャプテンといった特定の誰かの判断ではなく、全体が見えていて判断できる人が声を上げること。球を受けるべき自分の判断が重要。

フィールドの全体、状況を見ながら、チームが勝利するために自分が球を受けるべきであれば声を上げること。誰かが気付いてくれるのを待つのではなくて、自ら名乗り出て呼び込むこと、これって仕事でも同じだ。

05 「自分の球じゃないと思うな。守備範囲は半径5メートル以上!」

いろんなポジションを転々とした私は、ショートを守っていた時期もあった。センターとショートの間、レフトとショートの間、サードとショートの間…いろいろなポジションとの「どっちの球?問題」が生じる悩ましいポジションである。自分より上手い先輩が守っていると、すぐに譲りたくなってしまう。打球の初動を見て無意識に見送ることを決めてしまっていることも多々あった。

もちろん、そうした消極的なプレーを先生を見逃すはずがない。そこですかさず飛んでくるのがこの言葉。

「自分の球じゃないと思うな。守備範囲は半径5メートル以上!」

現実的には、さすがにそこは私じゃないでしょ?という場所も含むけれど、それくらいの気持ちで取り組め!ということだったのだと思う。

当事者意識が求められる場面で最初から「それ私の球(仕事)じゃないですよね?」と1ミリもそぶりを見せないシーンに出くわすと、先生の教えが痛いほどよくわかり、説きたくなる私がいる。

06 「地面に足がくっついる。いつでも動ける準備しておけ!」

守備においては、一瞬の間に物凄い速度の打球が飛んでくる。半径5メートル以上を守るとなれば、物凄い速度の球が自分の両サイド、頭の上に飛んでくる場合も瞬時に対応しなくてはならない。そのために重要なのが、すぐに動ける体制を作っておくことであり、常に足を動かしておくことである。

長い間地面に足をくっつけて立っていると、まるで足が地面と一体化したかのようになり、初動が何テンポも遅れる。だから常に足を動かして、いつでも対応できる状態を作る必要がある。

仕事においても初動は重要である。何か新たなタスクや業務が生じたときに、ためらいなく最初に動ける人はそうでない人に比べて周囲に気持ちいい印象を与える。これは才能の差ではなく、「いつでもやる」という心がけや準備の差ではないかと感じる。だから初動が遅れたと感じるときは、その仕事に対して腰の引けていた自分を情けなく思う。

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当時は、「先生に注意されるからやる」くらいにしか思えていなかったことも多い。でも大人になって、仕事をして、振り返ってみると、先生が教えてくれたことは、ソフトボールとか、部活の域を超えた仕事のエッセンスだったと感じる。 卒業して15年の月日が流れてこんなことを思うなんて想像もできなかった。

人生何事も学びになるんだなぁ〜

おしまい。