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桜とカニ

世間がハードルを上げすぎて、「なんだ、こんなもんか」と落胆することのいかに多いことか。

最近、毎日のように、桜が開花するだの、しないだの、今年は開花が遅いだのと騒いでいるが、黙って待っとけと思う。
桜の開花が数日くらい遅れたところで、何だと言うのか。そんなに驚くような、落胆するようなことか。

そもそも開花したって、ひとつの木に1、2輪の花が咲いているだけで、全く綺麗じゃない。
本当に待ち焦がれるべきは開花ではなく、満開のはずだ。それなのに、やたらと開花を待つこの風潮は何なのだろう。

こういう世間の桜への過剰な反応が桜への期待値を上げていて、かえって実物の桜を見た時の感動を損なっていることに気づいているのだろうか。

もし自分が転校する先の学校で、「転校生は超イケメンらしい」という噂が回ったら最悪だ。こんな噂が回ったら、皆の期待値が上がりに上がり、いざ僕が転校してきた際に「なぁんだ、言うほどだったね」とクスクス陰で笑われる。
笑われなくても、絶対にクラスからガッカリ感が漂ってくる。

桜も同じ気持ちなんじゃないか。
開花する前から「咲いたら綺麗だぞ〜」と意気込んで待ち望まれ、まだかまだかと騒がれて、もう咲くに咲けない状況に追い込まれてるんじゃないか。毎年毎年これをやられて、もうウンザリしてるんじゃないか。

世間がやたらとハードルを上げたせいで、実際に桜を見てみると、「まあ、綺麗だけどこんなもんか」くらいの感動しか抱かないのは僕だけか?

春は桜だが、冬はカニだ。
カニを食べることを目的としたツアーが存在するくらいカニはご馳走だとされているが、そこまで騒ぐほどのものか?

カニを食べるためだけに旅行に行くほど、美味しいですか?

桜みたいに、ハードルを上げすぎていざ食べる時に、殻を割るのが大変で食べづらいし、美味しい爪のとこは身がほんのちょっとしか入っていないし、食べ終わった後に振り返ってみると、真っ赤に茹で上がったカニが1匹丸ごとの姿で出てきた冒頭の登場シーンがピークだったなぁ、と思うのは僕だけか。

楽しみに待つのはいいが、もう少し静かに待った方が桜やカニも喜ぶと思う。

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