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美しい空白を知る~映画『ソナチネ』~

京都の博物館で、俵屋宗達「風神雷神図屏風」を見たときのことを思い出した。
初めて見る「風神雷神図屏風」は、まず"無"が目に入った。その"無"を、大学生の僕はのめり込むように見た。
僕が「風神雷神図屏風」にのめり込んだのではなく、そこにある"無"に飲み込まれる感覚だった。

あのインパクトの大きい風神と雷神よりも、印象的な空間。なぜ風神と雷神ではなく、何も無い空間に目が釘付けになったのか、その時はよく分からなかった。

映画「ソナチネ」は、北野武監督作品で、1993年に公開された映画だ。
組長からの命令で沖縄に抗争の助太刀に行ったら、どんどん抗争に巻き込まれていくという話だ。

ただ、このあらすじからは想像できないほど、この映画には美しい空白が広がっている。
その美しい空白に、突如として衝撃的な暴力が描かれる。

やくざ映画にも関わらず、1番心に残ったのは、青空、海、坂道、ワンピースを着た女性だった。

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