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光を見ることは 泣くべきことだった 光が明るいことに気づいたのではなく 闇が暗いことに気づ…
私が生きようとしないから 桜が咲く 桜の樹が生きる 桜の枝が生き切る 花が咲く 花が散る …
北へ渡る白鳥が 今年も確かなまなこで 湖に帰ってくる そのさすらいは 一点を向き 命を…
その人はしゃべり続けた 私は話すことができなかった その人が話し終えた後 三秒間の沈黙の声…
何を見ようとしているのか がらんどうの空間に 何を感じようとしているのか がらんどうの部屋…
さらさら、と良い音を立てて流れる人がいる 三月下旬には たくさんのさよならが舞い 疲れと…
秋も深まると 段々抵抗できなくなります 通りすがりのように 言葉が落ちてきて 今朝も言葉を一枚重ねて着て 生地も徐々に厚手になってゆきます 自然にそうなるのがいいのでしょうか 段々力が抜けてゆきます ノートの言葉たちは活発になって 活発になるからお腹をすかせて 何か食べさせるために 外を舞う 赤い言の葉を見るのです (詩誌『everclear』第6号 収録)
部屋はたしかにそこに存在するが なにも話さない 窓から初夏の柔らかい風がそっと入ってくる …
不思議 ひとりでにつくってゆく リズム 青い波 緑の波 さざ波 おだやかに 寄せて返す …
僕は走り始めた 彼は言った 慌てるな 慌てずに走れ 撃つという選択肢もあれば 撃たないとい…
きっと長らく出かけていたのです とっ散らかしたまま すべて中途半端で投げ出して ずいぶん …
若者は去った そしてまた新たな若者が来た 今度の訪問者は一瞬開きかけた口を閉じた 店先に…
渡せなかった わずかな時間 きれいな小石 丸い石 川原で見つけた あの真夏 薄目を開け…
去年のクリスマス・イブ わたしは はしっこを握っていた 新学期の日 午後4時 春 あなたが駅の反対側にいた頃 ちょうどわたしはこちら側にいた 夕暮時 空が変わる頃 あなたとわたしの間にある 灰色の歩道は 迷わせるように 何度も曲がりくねっていて あいだには多くの雑踏があった 黄色い月には初めて現れた日があるらしい 何億年も前 月の生 月の死 などと学校帰りに考える アポロ計画は17号までだったっけ 月もまた出て沈む しかしあなたがその間何をしているか 未来にわたしが何