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詩|三秒間の沈黙

その人はしゃべり続けた
私は話すことができなかった

その人が話し終えた後
三秒間の沈黙の声を聞いてしまったので

声ではない 身振りではない
その人が聞こえ過ぎてしまった

ありとあらゆる話をした
そのあとで私が出そうとした声は
その沈黙の音だった
その人の声だった

ゆえに私は何も話すことができなくなった
その人も恐らく そのことを知っていたので
なにも私に言わなかった

ただ 両者は同じ愛と体を見つめていた


(詩集『水は器に合わせ形を変えるでしょう いつか思いもよらぬときに』 所収)


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