「エッセイ・二段のギア」

ギアは勝手に二段おりた
宿主を生き永らえさせるために

 一段、詩のことはほぼ頭から消える
  一段、生の意識はほぼ頭から消える

   ただの生だけが残る

        *

頭が空になりそうな
かなりの月日がたち
白衣は告げた

「慣らすために、ね」

つまり“慣れ”を失くさなければならなかった
あの日
勝手に力が抜ける脚
横倒しになる躰
コンクリート上でバウンドした頭

“慣れ”に未練があり
この文章をエッセイと名付けた

(詩誌『詩の伝言板』第352号 収録)

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