詩|【夏の終わり】
夏の終わりと少女
いつしか夏よ終わるなと思ったとき
わたしが鏡をよく見るようになったとき
それと分からぬように
さりげなく
麦わら帽子は風で
秋の方へ飛んでゆく
水たまりのように
真夏に わたしを残したまま
*
ひろびろ
夏の胸は
素直になれば
全て受け止めてくれるよ
私の胸は
素直じゃないから
全て受け止めようとするんだよ
*
FIRE
遠くに上がる!
色とりどりの花火
でも、離れた所にいても
音は遅れて聞こえるだろう?
前髪が邪魔だ
導火線とライターは
いつもポケットにある
火をつければ 海の中でも
全速力で走ってゆく
*
八月
「 」
余白が必要です
あつさが 続くので
戸惑いが 続くので
夏がもう一日あれば
宿題を終えられそうで
大人になった 今も
*
むぎわらぼうし
たちどまる
きこえる
しずかに なつのかぜは やみ
あと ひとあしで のぼりきれる かいだん
目をとじ みみをすませば きこえる
あのぼうしは おちている
ほら、あかるいところに
*
こころのこり
時々顔を上げることが 無性に悲しくなるのは
目はどうしようもなく 前を向き
聞こえる声は 後ろにあり
歩くごとに 離れてゆきそうだから
*
光
光は 角度が変わっても ぼうしをかけかえて すすむ
(未発表)
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