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レポ67:門埼灯台(2020/10/19)

全国的な玉ねぎの名産地である兵庫県淡路島(あわじしま)の南あわじ市。鳴門の渦潮と玉ねぎ尽くしの道の駅にそっと紛れる灯台を訪れました。

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年々その数を減らしている灯台を護るため、灯台病の記者が灯台訪問の魅力などをお伝えする『全国の灯台巡礼レポ』。灯台マニアの方のみならず、灯台のある風景を通じて地域の魅力を再発掘したり、自身の原風景を護りたいと願う地元の方々にも参考にして頂ければ幸いです。

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◼️レポ67:門埼灯台(2020/10/19)

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兵庫県淡路島南部の南あわじ市。全国的な玉ねぎの名産地で「淡路島玉ねぎ」は柔らかく甘いため一流レストランのシェフが指名買いするほど有名です。

一般的な玉ねぎの糖度が5%程度に対し、淡路島玉ねぎは糖度10%以上にもなるとのこと。

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何故、淡路島の玉ねぎが甘くて美味しいかというと、それにはいくつか理由があります。

淡路島は1年を通して温暖な気候で、日照時間も長く、降水量も少ないため、玉ねぎの生育に適した気候なのです。
さらに「淡路島玉ねぎ」は温暖な気候を生かして秋に植えることで、6~8ヶ月という長い期間をかけ生育し、たっぷり成熟することで甘くて、柔らかい「淡路島玉ねぎ」として育ちます。

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と、玉ねぎの話ばかりになりましたが、あくまで灯台の話です。
今回、訪問したのは淡路島と四国の徳島県を結ぶ、鳴門大橋のたもとにある灯台。

鳴門の渦潮で有名ですが、橋のそばには「道の駅うずしお」がありますので、クルマであれば到達は非常に容易です。

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道の駅ショップの先からは鳴門海峡の渦潮が間近で見られる観光スポットにもなっています。

「鳴門の渦潮」の大きさは直径約15〜30mにもなり、世界最大級ともいわれています。

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そんな鳴門の渦潮が発生するメカニズムは、約6時間おきに変わる太平洋と瀬戸内海の潮流の干満差によるもの。

満潮で紀伊水道から流れ込む潮流が淡路島北部の江埼灯台のある明石海峡をぐるっと回って鳴門に戻ってくるのですが、その5〜6時間の間に紀伊水道は干潮となり、鳴門の南北で大きな干満差が生まれます。

更に鳴門海峡の水深は中央部が深く本流は速くなり、両岸部が浅く潮流は緩やかになることで、本流は両岸の波を巻き込むように流れ渦潮となります。

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と、今度は渦潮の話ばかりになってしまいました。

門崎(とさき)は淡路島の南西端にある細長い2km弱の岬です。別名、鳴門崎とも呼ばれる和泉砂岩の地域。先端には道の駅があります。

そんな道の駅に自然に溶け込んでいるのが門埼灯台です。名産である淡路島玉ねぎのベンチの後ろに立っています。

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外観は道の駅に併設されており、一見無骨な感じで、観光で訪れる方々は誰も灯台ということには気づいていない様子でした。

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夕陽は直接見えませんが、朱に染まる灯台。
塔頂部は道路側が遮られており非常に灯器が見えにくいです。恐らく、灯火が橋を通るクルマの邪魔になるんでしょうね。

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すぐそばには鳴門御崎神社があります。御祭神は玉依姫命(たまよりひめのみこと)と鴨健角身命(かもたけつのみのみこと)と、漁業・観光業・厄払いに関わる神様です。

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門埼灯台は対岸の徳島県にある孫埼灯台と対になっています。孫埼灯台に比べ若干影が薄いようにも思えますが、鳴門大橋にとっては重要な両翼です。
※写真は翌朝のもので、孫埼灯台は点灯中

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しかし、門埼灯台は明け方よりも夕暮れの方が良いですね。日の出刻では殆ど朝日見えませんでした。
灯台の背が高く、夕陽と一緒に撮影は中々難しいですが、夕暮れ時の鳴門海峡は絶景です。「南淡自然八景」の一つです。


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しかし、門埼灯台には初点灯記念日のプレートが見つかりません。取り外されたのか、過去写真についていた場所にはありませんでした。

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立地的にあまり沢山のアングルから灯台を眺めることは出来ませんでしたが、かつては門崎に鳴門要塞が築かれ砲台も設置されていたほどの海上交通の要衝地。

現在では、高さのある灯台がしっかりと鳴門海峡の安全を見守っているんだな、ということを実感しました。

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村上 記

年々その数を減らしている灯台を護るため、灯台を訪れる魅力などをお伝えするプロジェクト。灯台マニアの方のみならず、灯台のある風景を通じて地域の魅力を再発掘したり、地元の原風景を護りたいと願う方々の想いを大事にしていきたいです。