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【読書記録】3つのステップで成功させるデータビジネス 「データで稼げる」新規事業をつくる_前編

参考になった書籍についてまとめました。個人的な抜粋と感想です。
興味を持たれた方は書籍全体をお読みください。

EYストラテジー・アンド・コンサルティング社が出したデータビジネス立ち上げに関してのエッセンスをまとめた本です。

これからビジネスを立ち上げる方や私のように企業でDSとして働いていてDSが出せる価値について考える機会が多い方におすすめです。

さすがコンサル会社という感じですっきりとまとめられています。

第1部から第5部までは、データビジネスを考える上での重要なポイントがまとめられています。第6部では、具体的な事例が市場ごとに紹介されています。

参考になったポイントを中心にあくまで個人的な備忘録としてまとめています。

第6部については実際にご自身で読まれることをお勧めしますが、第17章「医薬・医療」、第19章「スポーツ」、第22章「公共」について取り上げたいと思います。

では、早速まとめていきます。


データをカネに換える”データビジネス”とは何か

なぜ今データビジネスが必要なのか

一部の大手プラットフォーマーやスタートアップの”専売特許”のように考えられていたデータビジネスの「第一幕」は、2018年頃から大きく潮目が変わる。

2000年初頭から始まったインターネットの商用利用は、大手プラットフォーマーを中心に、データビジネス(企業が収集・蓄積したデータを資産として活用し、収益を上げるビジネスモデル)を生み出しました。このビジネスモデルは、今やどの企業にとっても無視できないものとなっています。

データビジネスというとまだ関係ないかなって方もいるかもしれませんが、データの活用というとどうでしょうか?

データの活用は、収益性向上や競争力の強化を目指すほぼ全ての企業が推進している重要な戦略になっていますよね。実際に欧米では、企業の投資が有形資産2~3割、無形資産7~8割と報告されています(通商白書2022)。日本では、有形資産7割、無形資産3割とのことです・・・。

企業は競争を優位に進め、企業価値を高めていく上で、無形資産への投資が重要であるとされているわけだ。

データビジネスを真剣に考えている背景には「攻め」と「守り」の双方の面があるそうです。

「攻め」とは、フロー型ビジネスからストック型ビジネスへの転換。
SNSなどに代表されるように現代の情報の流れは非常に早いです。そのため、”バズり”のような一過性の売り上げだけでなく、リカーリングやサブスクリプションのような継続的な長期収益が見込めるビジネスモデルへの転換が企業成長のために求められています。

ただ、難しい。

・利用者のデータを活かしたアップセルやクロスセルがあって初めて期待した収益が上がる

・データを活かしたアップセル、クロスセルが競合企業へのユーザーの離反も防ぎ、離反対策のためのコストも低減され、利益が上がる

ってことで、リカーリングやサブスクリプションはまさにデータビジネスであるという認識が必要になってきます。

「守り」とは、新興プレーヤーへの抵抗。デジタル・ボルテックスっちゅうのが加速されているそうで、さまざまな業界の勢力図が塗り替えられると予想されています。つまり、デジタル化の波はデータ活用できない企業を淘汰していく。そういうことだそうです。

データビジネスの現在地

日本企業のデータ活用の現状の説明です。データの「種類」と「範囲」に着目しています。

令和2年 情報通信白書

いろんな種類のデータが使われていますね。

令和2年 情報通信白書

活用できている領域や企業には偏りがあるみたいです。

データの活用は「データによる業務レベルアップ」と「データマネタイズ」の2つに分類されます。

データによる業務レベルアップとは、データを活用することで業務上の課題を解消し、効率化や省力化を図り、ミスやエラーを減らすなど業務品質を向上し、それによって現場の生産性向上や人員の削減、無駄なコストの削減につなげることを指す。

これは結構やってそうですね。DX化の目的はまずこの業務へ向けられたものという印象があります。

データマネタイズとは、”データ”と”マネタイズ(事業による収益化)”を組み合わせた言葉だ。企業が所有するデータを活用した新事業や新サービス(=データビジネス)を立ち上げ、収益につなげることを指す。

これやりたいですね・・・。

著者らが実施したアンケートでより現状がまとめられていました。

A. 社内に蓄積されたデータを活かした収益向上の取り組み状況
B. データビジネスに取り組む企業の状況
C. データビジネスへの取り組みの結果

ポイントだけまとめます。詳細は本書を読んでください。

  • 社内データの活用に関する問題意識が高まり、多くの企業が収益向上および競争力強化へのデータ活用の検討を進めている。これらの企業は、データを利用したビジネスモデルへの移行段階にある。

  • 2018年から2022年にかけて、多くの企業がデータビジネスへの取り組みを始めており、これらは特定の部署に限らず全社的な努力であり、トップダウン的に推進されている。多くがアイデア検討フェーズにあるが、実際にプロジェクトを立ち上げている企業も存在する。

  • 多くの取り組みが成否の判断段階にないものの、目標を達成している例もある。主な課題は、利益を生むビジネスモデルの構築、差別化戦略の策定、データを活用した問題解決、及び顧客価値の特定。

データビジネスの思考法

前章では、データ活用は社会の動向に沿って積極的に推進されていますが、実際にビジネスとして成立している例はまだ少ないということが理解できました。

この章では、データビジネスに関する知識が体系的に整理されています。

データビジネスには3つの段階がある

データによる業務レベルアップ
・第0段階=既存事業の効率化・高度化

データマネタイズ
・第1段階=既存サービスの新機能・サービス追加
・第2段階=データを用いた他事業者サービスのクロスセル
・第3段階=データを用いた新規事業の展開

本書を参考に編集しました。

既存事業との距離で段階を分けているが、連続して進化していくような関係ではないということです。そのため、それぞれの段階で異なるノウハウがあるそうです。

第1段階=既存サービスの新機能・サービス追加

・新たな機能やサービスの対価(利用料)を得る
・新たな機能やサービスを提供することで既存サービスの魅力を高め、顧客層そのものを拡大させたり、解約を防止する

すでに顧客へのタッチポイントや既存事業のアドバンテージがあるので、そこから顧客課題を抽出し、解消できる機能を追加しやすいです。実現可能性が高い、一方で、付加価値に対して対価を得ることになるので収益の見込みは、他の段階と比べて劣ります。
さらに、落とし穴としては、実現可能性が高いだけにそれなりの形でローンチできる。

「データ活用ありき」でなく、「顧客が抱える課題や不便なこと」を起点に新機能や新サービスを検討することが大前提になる。

上記の大前提がないと…新機能のプレス出てたけど、あれってどうなったん?ってのはよくある話ですね。

考慮すべき項目は、
・価値の可視化(不利益の定量化、便益の定量化etc)
・現状維持バイアスの解消(金銭的、物理的、心理的なスイッチングコストの解消)

第2段階=データを用いた他事業者サービスのクロスセル

・他社のサービスをあらかじめ仕入れて、自社サービスとセットで販売する
・バナー広告や販促のメールを自社の顧客に配信し、広告料を得る
・他社業者に顧客を送客し、販売手数料や紹介料を得る

第1段階との違いは、自社サービスか他社サービスかという点に留まりません。むしろ、第2段階では課題を抽象化し、汎用化させるような深い理解が求められるとのことです。

・「他社にできないこと」をどう実現するか

保有データやユーザーとのタッチポイント、サービスなどの違いを活かし、価値を認められるかが勝負。

・「マクロな視点」と「ミクロな視点」の仮説を立てる

ニーズ、タイミング、提案内容で価値を高めるということだそうです。そのために必要な視点が、マクロとミクロ。あとはパートナー企業との座組の構築が重要とのこと。

第3段階=データを用いた新規事業の展開

・データを活用し、既存既存事業とは異なる新たな事業を展開
・データを活かした手法で、すでに存在する事業者よりも優位なサービスを実現し、異業種に新規参入

この第3段階には、「大きな先行投資」と「不確実性が高いリターン」という二つの壁があるということです。

これはそうですね。自社保有データがそのままサービスに活用できるということはほとんどないと思います。追加や補強が必要であるということです。加えて、販路や新規プロダクト開発など0→1にかかる費用は当然かかってくるという説明でした。

さらに、いくつかの有名企業の例をあげ、黒字化までの期間はそれなりにかかるという点、そもそも持続性の高いビジネスモデルへの成長が難しい点を挙げていました。

まぁそんなに甘くないですね。ただ、第1段階や第2段階と比べるとリターンは大きく戦略があれば投資する価値は十分にあると筆者は伝えています。

私もそう思います。(いらない感想。)

データビジネスの3つのステップ

第3段階の事業を成功させるために

① データビジネスのアイデアをつくる(広げる)
・社内で保有するデータを棚卸しし、データビジネスにつながるデータの使い道についてアイデア出しする際に生じる課題

② データビジネスを事業化する(形にする)
・自社データを活用したビジネスのアイデアを、実際に事業として収益の上がる(儲かる)ビジネスにする際の課題

③ 事業として儲けを出す(マネタイズする)
・実際にデータビジネスを立ち上げ、新たな収益の柱となるように、持続的かつ継続的に収益を生むようにする際の課題

本書を参考に編集しました。

ちょっと長くなってきたので、続きは別の記事でまとめます。

感想

データビジネス、データを価値に変えることについては常に意識していました。ただ、こうやって背景から方法までをすっきりまとめてもらえると頭が整理されて自社の現在地や自分のキャリアについて深く考えることができます。

少し時間がかかりますが、読んでまとめて発信してというnote活動は趣味として続けたいと思いました。

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