チケットノルマ制度とは

前回告知した無名ミュージシャンの苦悩のお話に入る前に、まず私の音楽活動体験談からお話ししつつ、徐々に厳しい音楽活動の現状に入っていきたいと思います。

私が本格的な音楽活動というものをし始めたのは大学生2年生の頃です。

当時の私は、

「ドラムを叩いて飯が食えるようになりたい!」

という夢を抱いていたので、

「その為にはまずは経験!バンド活動だ!」

という安直な考えで高校の同級生を誘い、当時盛り上がっていたSNS、mixiでボーカルを募集しめでたくバンド結成をしました。

そして音楽活動をしていくわけですが、活動を進めるにあたり大きな壁にぶち当たりました。

それは、ライブをする為に必要なチケットノルマ制度です。

当時は残念ながら知識も想像力も皆無だったので、バンドでライブするためにはライブハウスにチケットノルマを払う事が必須だと信じて疑わなかった為に、ノルマを払いながらどんどんライブ出演をしていくわけですが、実績もないバンドで集客もなく、また気軽にライブに呼べる人脈も形成されていない状態でチケットなど売れるはずもなく。。
また、学生でたいしてアルバイトもしているわけでもなかったので、お金がどんどん減っていきました。

それは、ほかのメンバーも同じでした。

ではここで、チケットノルマ制度とは何かご説明いたします。


チケットノルマ制度とは

チケットノルマ制度というのは、多くのライブハウスが採用している出演条件で、ライブ出演に際しチケット販売のノルマが課せられます。

ではここで、とあるバンド《ScrApple》(私がかつて組んでいた実際のバンドですw)がライブハウス[架空ハウスA]というライブハウスでライブをするとします。

[架空ハウスA]に出演する方法は、

・《ScrApple》が直接[架空ハウスA]に問い合わせて出演交渉する場合。

・[架空ハウスA]側から《ScrApple》に「〇月×日にライブに出演しませんか?」という連絡が来る場合。(”ブッキングライブ”と言います)

の大きく分けて2パターンありますが、いずれにしてもチケットノルマが課せられることがほとんどです。

ここで、昔にバンド活動をしていた際にやり取りしていたメールの内容の一部を下に載せます。
(一部内容を変更しております。)


ScrApple様

お世話になっております***です。
今年は大変お世話になりました。
来年も何卒よろしくお願い致します。
主催イベントのご案内を送らせていただきますので何卒ご検討の程よろしくお願い致します。
前回とても能力が高いバンドさんなのにトップバッターを任せてしまったこともあり、
次回に関し、ノルマと順番を優遇させていただきます。

【カラオケ配信権争奪イベント】
1日の出演バンドのお客様の投票の上位2組バンドにカラオケ
でオリジナル曲を1曲配信できる権利を贈呈する企画イベントです。
イベントに出演して自分達の楽曲をカラオケ配信しちゃいましょう!
音源発表の時期などに併せてプロモーションとして配信オススメです!
●1月19日(木)[架空ハウスA]
「カラオケ配信権争奪Vol.3」
2000円×10枚+機材費3000円(通常17枚 特別割引)

[架空ハウスA]ブッキング
●1月17日(火) 残り1枠
2000円×8枚+機材費2100円 (通常15枚 特別割引)
この日はライブハウスシーンならではの歌を大事にしつつも楽器隊のパワーや勢いを
特長とした正統派歌モノロック・ギターロックバンド中心でブッキングしております。

【全日程共通】
※持ち時間転換別25分~30分(転換10分)
※ノルマ以上50%BACKとなります。
※オープン 17時前後(土日)、17時30分(平日)
尚、イベント当日から一ヶ月以内のキャンセルにつきましてはノルマ分の
キャンセル代をいただきますので予めご了承ください。


以上何卒ご検討いただけましたら幸いです。
ご不明な点やご質問等ございましたらお気軽にメッセージにてお問い合わせ下さい。
ご検討の程何卒宜しくお願い致します。

このメールは出演2パターンのうちの後者、ブッキングライブに当たりますが、内容をご覧頂くとお分かりの様に、出演に際し2000円×8枚+機材費2100円というようにチケットノルマが課せられているのが分かると思います。

この例では割引扱いで多少ノルマが減らされていますが、それでもどちらも2万円前後の金額が課せられます。

ちなみに、ノルマが2万前後のライブは結構安いほうです。

ジリ貧になりながらも、他に活動方法を見出せず、この調子でライブを続けていった結果、このScrAppleは約1年でフェードアウトしていきました…(;'∀')

学校卒業後も新しくバンドを組んでは音楽活動をしていったのですが、大きく活動内容は変わらず、チケットノルマを支払いながらライブを続けていくというスタイルを続けてしまいました。

そして、ここから私の地獄の音楽生活が始まります。笑

頂戴したお金は、ミュージシャンがより良い音楽活動ができるようなロールモデルとなる為に必要な活動資金など、有効活用させていただきます。