初めて福島で音楽を奏でた日

とても久しぶりの更新です。
更新が途絶えてしまった事を反省しつつ、いつも気にかけてくださった方々には心より感謝しております。

さて、一部の方はご存知かもしれませんが、私はかねてより福島での演奏活動を目指していました。
その小さな目標を2020/1/11に達成しました。

浪江町役場には「まち・なみ・まるしぇ」という4店舗が連なる仮設商店街があり、その一角にイベントスペースがあります。そのスペースで第二土曜、日曜の二日間、"まるしぇの日"というイベントが開催されます。その"まるしぇの日"に参加する形で、福島の地で演奏をすることができました。
また、この"まるしぇの日"ですが、出演者には2万円の謝金が支払われますが、私は辞退しました。その理由は後述いたします。

さて、私が福島の地で演奏したいと思ったきっかけは、ジャーナリストであり、私の音楽友達でもあり、私の知の先生ともいうべき方、烏賀陽弘道さんの書いた福島取材ルポでした。
そのルポは2018/09/27に投稿された、『何百年もかけて築いてきた歴史、文化や伝統が原発事故で水泡に 私たちには何の落ち度もないのに』
というタイトルのものです。

とてもごく簡単に要約しますと、
小高町民(現在は合併し南相馬市小高区となっている)が東京電力を相手に民事訴訟を起こし、一部の主張が認められるも、賠償請求額の10%のみの一人当たり月10万円。これではとても充分な補償とは言えず、訴訟で求めていた「ふるさとの返還」と「精神的な賠償」は叶わないまま、住民側の勝訴という形でマスコミに報道されることとなってしまった。インフラも、生活基盤であった企業や農業も、家族も住民も、事故以前の小高が戻ってこない現実に途方に暮れているといったような内容です。

この記事の中に、以下のような事が書かれていました。

ーーー以下引用ーーー
私達が求めたことは二つあったのです。「ふるさとを返せ」と「精神的な賠償」と。判決はふたつをひとつにしてあった。精神的な賠償一本にした。 現物賠償は認めなかった。
〜中略〜
精神的な賠償ってのは「精神的な苦痛への慰謝」のはずだった。しかし私たちの場合は、その精神的な苦痛への補償のはずのお金が生活費に消えてしまう。私達は農家だから、コメや野菜を自給自足していた。それを「買う」日が来るとは思わかなかった。10万円のうち「精神的な補償」に当てる分はいくらもないよ。
ーーー引用終わりーーー

この部分を読んだ時に、
「自分たちに”精神的な賠償”に当たる何かができないか。
破壊し尽くされてしまった街に未来も希望も見出せなくなってしまった方達を少しでも元気付けられないだろうか。」
と思い、福島での演奏をしようと決意しました。

ですが、人に怒られる程に小心者で卑屈な私は、
自分がやろうとしていることが果たして必要とされているのかとか、正しいのかとか、迷惑かもしれないとか、エゴかもしれないとか、一頻りそんなことを誰よりもずっと悩みました。
でも、どれほど考えても僕らミュージシャンには、音楽には人を元気付けて、勇気づける力があると信じて、見て聞いてくれる方の喜びを願うほかないという考えに行き着きました。
やはりそれしかできないのです、残念ながら。

そしてあれこれ悩んだ末に出した僕なりの結論が、福島へはボランティア演奏をしに行こうということです。
原発事故で、街も家族も心も体もボロボロになった方々に、エゴかもしれないが元気付けたいと思い演奏しに行って、そこでチケット売ったり、謝金を頂いて自らの生活にあてるなんてことは僕にはとてもできませんでした。
それは、身包み剥がされた被害者から、さらに金品を奪い取る行為と変わらないと僕は感じてしまいました。
なのでこの演奏活動はボランティアが大前提でした。それが、まるしぇの日で謝金を辞退した理由です。

ですが、ボランティアにもお金がかかります。
なのでここでこちらを読んでくださった皆さんにお願いがあります。
どうか力を貸していただけないでしょうか?

もう福島という土地は世界的にも”特別な”土地になってしまいました。はっきり言って僕たちが生きている間にはどうしようもない、取り返しのつかないことが起こってしまったと思っています。
でも、そんな絶望を抱えていたとしても、福島に思いを馳せ続けて、寄り添い続けたいから、僕は演奏しに行きたいのです。音楽の力を信じて、聞いてくれる方々を励ましたいのです。
多くの人にも同じ気持ちでいて欲しいと願いっていますし、被災地や困難に見舞われた地域への何かしらの貢献をしたいと思っている方は少なくないと思っています。
その気持ちを少しでも分けて欲しいのです。1000円でも、500円でも、100円でもいいんです。まずは、こういう取り組みに少しずつ力を貸してくれるだけで良いんです。実績を作って広がっていくことが大切だと信じています。
全く儲けようとは思っていませんが、たくさん集まればたくさんのことができます。
今回、僕を含めた二人の出演だけでもかかった費用は48557円です。たった二人でこれだけかかりました。しかも、相方のミュージシャンには色々負担をかけてしまい、節約もした上でこの値段です。全て僕個人の負担です。軽食代や自分への報酬も含まれていません。
これだけのお金が集まれば毎月定期的に福島で活動できます。さらに2万増えれば3人で演奏できます。
さらに資金が増えたら宿泊してさらに多くの場所で演奏できます。
さらに集まれば、余剰分を義援金などで貢献できるようになります。
一人の少しの気持ちが本当に大きいんです。ぜひこの取り組みに力を貸してくれないでしょうか?

そして僕が一番目指したいのは、被災や困難に見舞われた土地へのボランティア演奏にかかる費用(ミュージシャンへの報酬を含む)を、その被災地以外の地域からクラウドファンディングによって集めて活動するというものです。
そしてこの活動がうまくいけば、ミュージシャンの質も高まると考えています。
なぜなら、金銭的な理由で音楽活動を断念する人が減ることで、ミュージシャン同士の競争率が高まると考えられるからです。
僕が取り組むこのボランティア演奏は、ボランティアですが必ず報酬を支払います。今回のまるしぇの日に出演してくれた相方にも報酬を支払っています。そうでなければ、私としては意味がなくなってしまうからです。私は、ボランティアとミュージシャンの報酬が保障された現場を増やすことを両立したいのですから。

再度になりますが、この取り組みには皆さんの助けがなければ絶対に不可能です。
僕の自己資金が尽きた段階で終了となります。どうしてもそうはしたくないのです。
どうか、力を貸してください。心からお願い致します。


今回の経費

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頂戴したお金は、ミュージシャンがより良い音楽活動ができるようなロールモデルとなる為に必要な活動資金など、有効活用させていただきます。