第9回 転職ノススメ「外資伝説①『成果が出ないと、すぐにクビになる』は本当か?の続き」
前回の記事では、外資系でも「成果が出ないと即クビ」なんて、なかなかなるもんやないゆう話をした。
もちろん、業績悪化にともなう整理解雇の場合は話が違う。人数半分になるとか、もう部門ごとなくなるとか、会社ごと日本から撤退とかになる訳やから、まあ、しゃーない。これは、外資に限ったことやないやんか。
業界にもよるし、状況にもよるけども、こうゆう場合、ワイの知る限りやとパッケージ(退職金)が出ることも少なくない。
別の外資系企業の同職種への転職は比較的ハードルが低いとみてええと思う(部門ごととかの場合、同僚たちみんな受けとるみたいな状況もよくあるんやけど)。
さて、本題に戻すで、今日の話は「ほな、成果が出なかったらどないすんねん」ちゅう話や。
たぶん、このあたりの話って、ネット上にもほとんど情報ないやろw
成果が出なかったら起きること
「成果が起きなかったときに起きること」
それが、”Performance Improvement Program(改善プログラム)”、通称PIP(ピー・アイ・ピー)やねん。
大雑把にいえば、「設定した期間内に改善のための行動変化をマネージャと一緒に起こして、成果を出せるようにする」ことが目的や。
行動が変わって、成果が出せるようになればよし。
行動が変えられへんかったら、
① PIPを延長
② 異動
③ 社外で別の機会を見つけてもらう
ちゅう3つのうちのどれかになる。
くどいけど、これは辞めさせるためのプロセスやない。会社からしたら辞めさせて、新しく人雇うのはめっちゃコストがかかる上に、後任がより有能かどうかも分からへんちゅうリスクもから、可能な限り、辞めさせずに「出来る人材として成長させる」ほうがよっぽどええんや。
でも、そのためには「なんで成果が出てへんのか」ちゃんとマネージャも、本人も理解して、対策を考えて、行動せなあかんやろ。それがPIPやねん。
で、しやったら、まず「成果がでない」ってなんやねん?ってなるやん。
「成果が出てない」とは?
営業系やったら分かりやすい。営業やと会社に依るけど2~4四半期連続で予算大幅未達の場合はPIPと定められとることが多い。
条件はルールとして決められとるから、「なんか、モマエ、全然成果出せてへんやん。ワイの期待下回っとるやん。明日からPIIPや!」みたいな、ノリでPIPになることは、まともな企業であれば絶対にない。
でやな、問題はバックオフィス(総務、人事、経理、IT、調達、企画などなど)や、マーケ、エンジニア職やね。
基本、インセンティブ(予算連動給)をもってへん職種では、「成果が出てへん」ゆわれることはないんやけど、ごく稀に「成果が出てへん」ゆう話になることがある。
Job Descriptionに書かれとる業務やアウトプットと、実際の業務遂行能力の間に具体的(測定可能)かつ深刻なギャップがあるときやね。
「フランス語ペラペラです」ゆうてフランス語が必要な部署に配属されたのに、フランス語は片言も出来ひんかった、みたいなケースは、これにあたる。
仕事全然覚えんくて、事故起こしてばっかりみたいなケースも、それに当たるかもや。
まあ、営業でないところやと、PIPになるずっと前に、だいぶ具体的に問題点がメール等の文書で指摘されるのが普通や。しやから、営業と同様、ある日いきなり「成果出てへんやろ!PIPや!!」ってゆわれることはあらへん。
あとな、いずれにせよ「成果が出てへん」ゆうのは、本人のせいちゃうこともあるやんか。なんかの弾みで、大不況に突入とか、扱っとる商材に問題が見つかってリコールの嵐とか。関連部門が機能してへんくて、どうにも動かれへんかったとか。
しやから、もちろん、そうゆう事情も勘案されて、そもそもPIPにならへんゆうケースも珍しくないゆうことも、あわせてゆうとく。
PIPするのは、改善できる見込みがあるからこそやねんで。
「成果が出てへん」ゆうのは、だいたいこんな感じや。で、そうすると「PIPってなにやるの?」やろ。次に聞きたいのはw
PIPって何やるの?
PIPでは、上司(マネージャ)と相談して設定した指標(KPI)とその目標値を決められた期間で達成することが求められる。
期間は、通常1四半期(3か月)が多いと思うけども、場合によっては1か月というようなケースもある。営業の場合は3か月、非営業職の場合で短期で改善が見込めるような場合は1か月とか、まあ、その辺りは状況次第やね。
達成できた場合は、未達四半期はリセットされて、今までと同じように業務を続けていくことになるんや。
設定される指標は、結果指標だけやなくて、2~3の先行指標/行動指標、それぞれのターゲットを設定することが多い。
結果指標ゆうのは、営業でゆうと予算達成度。先行指標/行動指標ゆうのは、達成のための行動を表すもの。たとえば、顧客訪問回数や提案数とかやね。
これを週次で目標決めて、達成を見ていくことになんねん。
最悪、成果指標が未達でも、行動指標が達成できていればPIPを解除ゆうことも十分考えられる。
くどいけども、PIPはクビにするためのプロセスやない。しやから、マネージャは、「常識的に実現可能かつ、行動変化を追える指標と目標値」を設定せなアカンし、本人もちゃんと納得して、合意することが大切や。
PIP中、マネージャは週次とかで個別面談を行うよう規定されとることが多い。
マネージャは、その名の通り、マネージ(なんとかする)ことが求められ摂る訳やから、期間中なにもしいひんくて最後に「結果出なかったからアウト!」みたいなことをゆうことは、ゆるされへん。
マネージャの立場やったら、とにかく、ちゃんとPIPになった部下が、成果を出すために実行できて、かつ成果が計測可能な指標を設定して、その達成を全力でサポート、指導するゆうことが必要や。
もしPIPになったら
でな、もしPIPゆわれたどうするのか。もちろん、PIPにならんに越したことはあらへん。PIPになると、一定期間は昇進とか昇給とか、ボーナスに影響が出ることもあるから(PIPが終わったらPIPの記録抹消ゆうところもあるけども)。
ホンマに本人に帰属する問題なのかとかはちゃんと納得した方がええと思う。他責はアカンけども。
で、どうするかは正味な話、ケース・バイ・ケースやねん。もし会社に残ることを前提にするならば、マネージャとちゃんとPIPを実施する、が王道や。
成果が出てへんのは、どっかに問題があるから、その問題をマネージャとちゃんと把握して、改善のための施策を考えて、実行する。
もし、「この会社には残りたいけど、この職種は向かへんわ」ゆうときは、社内で異動の道を模索する。それなりの規模の外資やと、社内転職サイトみたいなのがあって、普通に全世界の空いとるポジションが募集されとるから、それに応募することになる。
まあ、PIPが始まってからやと、応募できひんみたいな規定があるケースもあるから、そこはチェックしておいた方がええけど、異動先の部門のディレクターがOKゆうたら、ええみたいなこともあるから、そこまで含めて要チェックや。
で、もしPIP抜けられる可能性低いとか、もう未練はないと思ったら、すぐに転職エージェントにコンタクトや。こうゆうのは、早ければ早いほどええ。
前回も書いたけど、外資の場合、会社が変わっても職種が同じならやることはそんなに変わらへん、ゆうことも少なくないから、転職ゆうても社内異動、担当変更みたいなもんやとゆうことも出来る。
いずれにしても、PIPになったとしても、別にキャリアの終わりでもなんでもないから、深刻にならず冷静にやるべきことをやっていくだけや。
部下をPIPにせなアカンくなった上司は、とにかく真摯に向かい合うこと、ちゃんと双方が納得できる指標、基準で評価することを心掛けるんやで。どことはゆわへんけども、アホなPIPやって訴えられとるケースもあるし、不適切なPIPやっとった場合、会社は守ってくれへんで。
むちゃくそ長くなってもうたけど、ようするにまともな外資系においては、「成果が出てへんから即解雇」とかはないし、成果をあげられるようになるための正当なプロセスは用意されてとる、ちゅう話やねん。
なんとなく、別の言い方すると、ノリと空気で無能扱いされたり、村八分になったり、窓際に追いやられて塩漬けにされたり、ちゅうことはないってことやねん。
多国籍企業、多様な文化の中で、みんなが活躍するためには、ちゃんとルールが定められとかんと組織として機能しいひんゆうことやね。
ご参考になれば、幸いや!
ちゅう訳で、次は、外資系における英語力の話するでー。
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