断水

最近よく断水する。ほんとによく断水する。10分程度のときから数時間に及ぶ時もある。責任者の首を絞めたくなってくる。

けっこう怒り狂ってる。

というのも、セントビンセントは割とそういうインフラはしっかりしてると言われていたからだ。

セントルシアでは雨が降れば地方は断水（復旧までに3日とかかかる）という極めて脆弱なインフラで、つまり毎週のように断水していて出る方が珍しいような雰囲気だったんだけれど、たしかにこっちでは少なくとも最初の1カ月は断水も停電もなかった。

というのもあって、ぼくは割とこの国を信用している…いや信用していたというのが正しいかもしれない。

ここ2週間ほどでそんな信用もすっかり剥がれ落ちた。

何が困るって断水なんてないという前提でいるから、水なんてわざわざ溜めてないわけ。

シャワー浴びようと真っ裸になってシャワーひねると出ないの、止まってるの。さっき洗い物してたときは出てたのに。

いや、ぼくもう裸なんですけど。やる気まんまんなんですけどって呆然と立ち尽くすわけ。

10分はシャワーみつめながらそのまま待った（ほんとは3分くらい）。

この感じ伝わるかなぁ。当然事が始まると思って服脱いだのに始まらなかったから、何事もなかったかのように同じ服を着るわけ。

虚しくないかい？

俺は一体1人で何をやってるんだと思うわけ。

停電

ー 停電は稀、あって数十分くらいで復旧するよ、安定してる。

だれかがそう言った。たしかにその通りだった。こっちに来てからおよそ2か月、観測できた停電は1回。30分以内には復旧していた。

約束通りだ。

ところが今日、キングスタウン市内全域と周辺タウンも含めてお昼前から3時間ほど停電した。

絶望した。

インターネットの接続をWi-Fiに頼りきっているぼくのような人間にとって、停電 → Wi-Fiルーターストップ→ 無力。圧倒的に無力。

今日の大規模な停電で他の隊員は午前で仕事が終わったりしたようだけど、ぼくはそんなことはない。だって、視覚障害者協会で全盲の人たちばかりだから、そもそも電気ついてようがついてまいが関係ないのだ。（だからぼくの最初の仕事は職場に電気をつけることとWi-Fiを引っ張ってくることから始まった。）

彼らにとって停電とはラジオが聴けないのとお湯が沸かせないのが困るくらいにしか思っていない。

それにぼくにしたって新商品のハンドクラフトの提案用サンプルを作るという仕事がある。目が見えない彼らに提案するというのは、うっとりさせるような表現力と語彙力を伴った話術か、実物を触ってもらうしかないのだ。

爆音

ちょうど停電が終わり5歳時のようにキャッキャウフフしながらインターネットを楽しんでいたころ、ファビーナ（秘書）が

ー YUKI！パレードが始まったよ！

とオフィスを出るように促す。

そこには真っ赤に着飾った集団がわいわいガヤガヤ爆音で音楽をならしながら踊り歩いていた。

これは一体何千人いるんだ、なんのパレードなんだと思った。

これ、実はセントビンセントの与党ULP（統一労働党）の結党18周年の記念パレードなのだそう。

いったいどこにこんなに人が隠れていたんだと思ってしまうほどの人口密度、熱気でちょっと怖かった。終着地のキングスタウン広場にはライブ会場が設営してあって、夜の10時過ぎくらいまで爆音でライブが行われていた。（当日の様子はこちらのライブ映像を英文ニュースの最後に動画があります）

断水も停電もまだましだなんて言うなよ

今日は朝、シャワー浴びなかった時点で結構やる気削がれた。

こんなこと言うと、停電とか断水は普通やでーとか主にアフリカ方面の隊員から言われそうだけれど、そんなことが言いたいんじゃない。

セントビンセントは所得レベルでは準先進国レベルにある。準先進国レベルやぞ。準先進国レベルなのに、そういう生活インフラ整ってないってどういうことやねんって思わない？

しっかりしろよって。

できるはずのことができてないって怒りがくるでしょ。

当たり前じゃないよって。

当たり前のレベルを引き上げないと発展なんてありえないでしょ。

なんというか、そういうところなんだよね。

フィリピンいたときも感じたけど、何か改善すべき点があると、じゃあそれは今度の日本の援助でやってもらおう、みたいなスタンス。

お前の国だろ？って思うんだけど他人任せというか自分事でないというか。

たぶんそういうのが、一応生活インフラは整ってるけど、不具合が頻発する主な要因なんだろう。直し方知らないとか、外面だけは外資で整えてもらったけど、それらをほんとに理解している人が少ない（いない）から、応急処置程度のことしかできない。使えなくなったら放置、新しいのがくるのを待つ、みたいな。

人材育成とか教育ってほんとに大事だよなぁ。

ちなみに、夜遅くまで鳴り響く爆音は慣れた。

というか気にしていない。たまにまじで寝れないけど。

イスラム圏で早朝のアザーンで目覚めることを経験してるから、異文化だなぁと受け流せている。

首絞めたろかと思うときはあるけれど。