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#6 孵化のヘビ話

孵化待ちなので予習がてら孵化のお話を。

◆日数
 産卵から55~60日程度で孵化を迎えます。
日数にバラツキが出るのは「積算温度」にもよるので、積算温度とは?という方の為にざっくり解説。
卵が孵化するまでに必要な合計の温度が基本的に決まっており、温度が高いほど孵化日数が短くなる…という事。
例えば積算温度1680℃(28℃×60日)とすると、
29℃管理したら27.93日、30℃管理では56日になる…と。
実際には1日の中でも温度が一定では無いので計算通りには行きませんが。なんとなく温度と孵化日数の関係は分かっていただけるかと。

◆孵化の手順
 
孵化が近づくと卵に内側から切り込みが入り、そこから顔を出して12~24時間掛けて孵化します。顔を出してから暫くは肺呼吸に慣れるのと孵化するための最後の栄養を吸収する時間の様です。

切り込み卵と頭を出した卵

 小学校の時にメダカの飼育をされた方はヨークサックという名をご存知かもしれません。鶏卵でいう所の卵黄ですね。
生まれてしばらくの間、餌を食べなくても生きられる様に栄養が入った卵嚢部分とパイプの様な物で繋がっており、全て吸い尽くしたら卵が孵る

……ものだと思っておりました。勝手に。
でもヘビの場合は卵に切れ目が入って顔を出す方が速い様です。
(ヒヨコでも同じならすみません。知らなくて。)

 なかなか外に出て来ない個体をそっと出してみるとヨークサックと繋がったままになっています。吸収速度に個体差が有り、外に出られるまでの時間が変わるのかなといった感じです。
が、あまりのんびりとしていると先に出た兄弟達に卵を転がされたり、卵に踏み込まれたり…強制的にヘソの緒がぶった斬られる事故が発生します。
幸いにも顔を出した時点で、ある程度の体は出来ているので
「最後まで栄養が吸収出来なかったから死ぬ!」という物でもないですが…生まれた後に体重測定すれば多少影響があるのかも?
気が向いたら今年の計測時に気を付けて見てみる事にします。

頭の右横にピンクの塊がヨークサック

◆ヘソの様なもの
 人間は母の胎内で育つ際、ヘソの緒で繋がり栄養を受け取り育ちます。
ヘビは卵で育つのでヘソも無ければヘソの緒も存在しないのですが、産まれたばかりのヘビに少しの期間だけヨークサックと繋がっていた跡の「ヘソの様なもの」が存在します。
その後の脱皮で消えてしまうので、生後少しの間だけ見られるレア品。
…わざわざそれだけ目当てに見る事も無いかと思いますけれど、生まれたての腹側も面白いでしょ?ちなみにボア系の方がわかりやすい。

矢印部分。右側はなんかデベソ。

 しかし、人間とヘビで全然体は違うのにヨークサックと繋がっていた跡が有る場所が人間のヘソの位置とだいたい同じ辺りになるので生物って不思議だなーと思うわけです。
収斂進化的な、体を作るのに一番効率が良い場所って事なんでしょうか?

◆出産する種
 ところで、自分の好きなレインボーボアという種類は産卵をしません。ある日突然、ケージの中にチビヘビ達がワラワラと蠢きます。
ボア科と呼ばれる種類には「卵胎生」という、胎内で卵を育てる種類がおり、見た目上にはある日突然ヘビが産まれてくる…出産の様な状態になります。

卵型の薄膜から鼻先を出した

 産まれた直後は、薄い膜を張った白身の様なゼリーに覆われており、しばらくすると膜を内側から突き破り肺呼吸を始めます。
生まれても静かなので、フといつも通りにケージを覗き込むと「何じゃこりゃぁぁ!?」と困惑の光景が広がっている、という事になるのです。
チビヘビが這いずり回り血とゼリーがごった混ぜになったケージはお世辞にも綺麗とは言えず嬉しさ半分、グロッキーさ半分の素敵な出産光景となります。

卵!

 無精卵の場合はオレンジ色の卵、そのままの形で体内から排出されますが、出産後のメスはこの無精卵を食べてしまいます。産卵後の空腹対策を兼ねた栄養補給食品。
なんというSDGs!(違)

さて、今季の孵化はどうなる事やら?

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