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CEOから始めてください!

過去にも何度か書いたので繰り返しになりますが、日本の働く人々のエンゲージメントが先進国中、最下位レベルだというGallupの調査結果があります。

エンゲージして働くというのは「仕事や組織に熱意をもって自律的にかかわっている」という状態で、世界平均で従業員の20%、日本はわずかに5%だったという調査結果です。
(State of the Global Workplace 2022 Report)

 多くの企業で、従業員満足度調査やエンゲージメント調査のような調査が日常的に行われているようですが、よく聞く話しが「結果だけ送られてきて、今後何をすべきなのかわからない」とか「そもそもこの調査は、マネージャーの評価のためにやっているのではないか」といったマネージャーさんたちの声です。

 この点に関するGallupの調査は興味深く、こうした会社のエンゲージメント調査について「私の組織は、私が回答した調査結果に基づいて行動している」という質問に「強く同意する」と答えた場合、従業員のエンゲージメントは約3倍高くなる、という結果を導いています。
(「ザ・マネージャー」(日本経済新聞出版))

つまり多くの企業において、従業員調査で収集したデータに基づいて戦略を立てていなかったり、具体的に行動に移していなかったりするので、却って悪い結果を生み出しているということです。

 確かにそうですよね。

 調査される側の一般社員は、まじめに自分の意見を書いて提出したのに、のれんに腕押し、糠に釘状態で、マネージャーもその上も、いっこうに何一つ変えようとしないというのでは益々やる気が覚めていき、却ってエンゲージメントが低下してしまいます。

 従業員満足度調査やエンゲージメント調査自体が、従業員のエンゲージメントを著しく下げる原因になっているという皮肉な実態があります。

そしてもう一つのよくない点は、エンゲージメントを「意欲的で、熱意を持って働く従業員」ではなく「会社に満足している従業員」だと誤って解釈している雇用主がかなりいるということです。

 Gallupの研究結果では、ミレニアル世代とZ世代が望んでいるのは「満足ではなく成長」であって、魅力的に感じていることは「能力開発を重視する組織文化」です。

決して見晴らしのいいオフィスや無料のコーヒーメーカー、美味しい社員食堂なんかではありません。

では、「能力開発を重視する組織文化」をつくるには何が必要なのか。

「ザ・マネージャー」にはこう書いてあります。

1.CEOや取締役会が取り組みを開始している
2.マネージャーに新しいマネジメント方法を教えている
3.全社的なコミュニケーションが行われている
4.マネージャーにアカウンタビリティ(説明責任・説明義務)を持たせて  
  いる

 また出てきました。

つまり、トップから行動を始めなさいということです。

 以前、ドラッカー塾の講師に私が勤めていた会社での研修をお願いしたときに

「トップがドラッカーを学んでいない企業の研修はしません」

と断られたと書きましたが、Gallupでもまったく同じ趣旨のことを言っています。

トップから学び、トップから行動を開始する。

 いい会社作りの鉄則ですね。

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