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【福島のにぎわい】地域の資源に一工夫 工場を楽しむ場所に

東京電力福島第1原発事故で全町避難となり、昨年8月に一部地域で避難指示が解除された福島県双葉町にある工場が憩いの場となっている。今年4月に開所した「浅野撚糸(ねんし)双葉事業所」は、糸をより合わせた撚糸を製造する工場にカフェや双葉ブランドのタオル直売店が併設され、帰還した町民や観光客らが訪れている。
 避難指示が出た県内12市町村のうち、最も遅く避難指示が解除された双葉町内の居住者は約90人(今年8月1日現在)で、原発事故前の人口約7千人の約1・3%にとどまる。事業所は町民が働く場所となる以外に、新たな観光スポットになることも目指しており、関係者の期待は大きい。
 社長の浅野雅己さん(63)は「双葉の再生を進めるには、まずは交流人口を増やすしかない」とにぎわい復活への思いを語る。事業所では優れた吸水性などで国内外から注目される同社の撚糸を使ったタオル「ダキシメテフタバ」が販売され、カフェで休みながら工場見学できるようになっている。
 本社がある岐阜県安八町から進出し、新拠点を始動した浅野さんは「双葉での成功が町民の喜びにつながる。ここでしっかり利益を出し、双葉から世界に羽ばたきたい」と語る。(福島民友新聞社)



工場に併設されたタオル直販売所で双葉ブランドのタオルを持つ浅野さん=2023年7月、双葉町


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