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いずれにしろ答えはもうすぐ出る?―森永卓郎『ザイム真理教』【ほんの雑感】

最近までこの本の存在を知りませんでしたが、財務省を批判していることを理由に大手に軒並み出版を断られた、という話が気になり、遅ればせながら読んでみました。

◇カルト化した財務官僚が日本をだめにした?

本書の内容を一言でいうと、経済に疎い財務官僚がカルト化してこの国をむしばんでいるというもの。

この先はネタバレですが、
財務省が「財政均衡」にこだわり続けた結果それが教義化し、自分たちだけでなく政治家をも巻き込んでマインドコントロールし、過酷な増税+歳出削減という最もやってはいけない施策をつづけ、その結果、景気は回復するどころか格差は広がり国民の多くは貧しくなり、さらに国も傾くなか、自分たちだけはほぼ無税+各種優遇政策によってのうのうと生きている。

というのが、なんとなく右脳だけで書いた本書の概要です。
そして2019年の消費税10%増税がデフレ脱却の機会を奪いアベノミクスをつぶし、「財務省のポチ」岸田政権のもとでさらなる増税が課せられることに…。つまりは失われた30年の主犯格がこの集団だということです。

まあ、読んでいて腹は立ちます。書かれていることが本当に正しいのかどうかは正直わかりませんが、一応はデータを示しながら理路整然と話を進めていますので、経済にそんなに詳しくない自分が読んでもすっと内容が頭に入ってきました。

◇ついでにマスコミ批判

で、財務省批判(財政均衡批判)を封じようとする?大手マスコミ。
マスコミの怖さって、報じることよりも黙殺することだと思っています。つまり、示し合わせて報じないことで、事件をなかったことにできる。

ジャニ性加害にしろ旧統一教会にしろ、日本のマスコミはBBCに報じられたりテロが起きたりしたことでようやくしぶしぶ報道を始めたわけで、それまではなかったことにされていたはずです。
MMT(現代貨幣理論)には賛否両論あるみたいですが、気味が悪いのはさっさとタブーにしてしまって議論の機会を封じてしまう姿勢でしょう。…この辺のことはあまり踏み込むと話が逸脱してしまうのでやめておきますが。

◇じゃあどうすればいいの?

しかし、読んでいてちょっと腑に落ちなかったのは、そもそもなぜ財務省は国民を貧しくして喜んでいるのか、という点。いったいこの人たちは何をしたいのか?
想像してみるに…自分だけいい思いをして、タワマンの上層階から労苦にあえぐ庶民を見下ろして「ふふ」とサディスティックな満足感にふけりたい…のか? それでは陳腐すぎるような。森永氏の記述を読む限りでは、官僚に対する皮膚感覚の嫌悪感が伝わってきますが。

あと、本書で残念なところは理論的な解決策がちょっと物足りないところでした。
岸田政権だけでなく、野党の連中もこのカルト協議に洗脳されている中、平凡な一国民としては、なすすべがない、そんなことを感じて、いまこんなものを書くに至っています。

救いは、本書がかなり売れているらしいということと、これを機に自分たちを覆っているザイムについて考える人が増えるかもしれない、ということでしょうか。いずれにしろ答えはわりとすぐに出るのでは。


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