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バイクに乗っている人はもてるのか?問題【NORAオートバイ2】

はるか昔、「バイクに乗っている人はもてる」と思っていました。仲間うちでもそういう説がまことしやかに囁かれていました。
では実際のところ、はるか昔から現在までバイクに乗ってきた自分がもてたのかどうかというと、「それはわからない」のが現実です。

バイクがきっかけで女性と知り合いになったことはありませんでした。なので、あくまで四半世紀の経験とそこから得られた感覚値にすぎませんが、

・もてる人はバイクに乗っても乗らなくてももてる
・もてない人はバイクに乗ってももてない

という結論にいたっています。これを見てお怒りになる方もいらっしゃるかもしれませんが、この話には続きがあります。

ここ1年くらいの間に、私はどういうわけか急速にもてるようになったのです。
その一部をここで紹介してみたいと思います。

モテ#1 静岡のとある海水浴場で
4月下旬、私は一人で野営の旅をしていました。GWになると混むので、その前に(東京に)帰るスケジュールです。
その朝も夜明けとともにテントを撤収し、手荷物をバイクに括り付けると、もうそれだけで大仕事をした気分になりました。
と、チワワを散歩させている高齢男性がバイクを見ています。
「おはようございます」私は県外ナンバー。不審者と思われないようにできるだけ快活に言いました。
「東京からきたの?」と男性はチワワと一緒に私を見て言いました。
「ええ」
「いつきたの」
「昨日の夜です」
「ああ、今朝早く出てやってきたのね」
「……?」
「これからどこいくの」
「東京に帰ります」
「まだ遠くへいくのね」
 おじいちゃんは、どうやら耳が遠いようです。
「そうですね、九州へ行こうと」と私は適当なことを言いました。
「大阪?」
「……はい」
「今はいいよね、昔は東名なんかなかったから、全部下道で、苦労して旅行していたよ」私はやたらと人懐っこいチワワの頭をなでながら、おじいちゃんの昔語りを聞いていました。バックには波の音。
「ここは静かなところだよ」
「そうですね、のんびりしてていいところですねえ」
「じゃあ、気を付けて」
「はい」

モテ#2 春日部のセブンにいたナンシーいくらおじさん
田んぼの真ん中のセブンで飲み物を買って戻ると、高齢の男性がバイクを見ていました。
「こんにちは」と私は言いました。
「いいバイクだね」
「ありがとうございます」
「俺が若いころもね、バイクで仲間と湘南まで行ったりしていたよ」
「へえ、ここからですか」
「そう」
「いまは?」
「いやあ、もう車しか」
「そうですか」
「これなんCC?」
「400です」
「いくらくらいするの?」
「さあ、絶版モデルですから」
「100万くらい?」
「そうかもしれないですね」
「事故には気を付けてね、じゃあ」
「どうも」

モテ#3 新宿・甲州街道で
渋滞した道で信号待ちをしていると、「きれいですね」と突然言われました。もちろん私のことではなく、乗っているSR400のことです。
改造しまくった赤いSRが横に並んでいました。乗っているのは30代くらいの男性。
「すごいですね。何年式なんですか」と私は聞きました。
「84年です」
「じゃあフロントはディスクブレーキ?」
「そうです」
「大切に乗ってるんですね」
「いえ……。それはFIですか」
「はい。おじさんなんで楽してます」
信号が青になると彼は手を上げて挨拶し、明治通りを曲がって消えました。
多分この男性は、もてるんじゃないかと思いました。

◇◇
実際にはこのほかにもいくつか例があるのですが、声をかけてくる人はたいてい高齢の男性でした。
残念なことに、まだバイクをきっかけに女性に声をかけられたことはありません。

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