途上の土

初めまして。途上の土です。 カクヨムとアルファポリスで小説書いてます。 あとイラストも…

途上の土

初めまして。途上の土です。 カクヨムとアルファポリスで小説書いてます。 あとイラストも描くので描いたら載っけます。 よろしくお願いします! https://kakuyomu.jp/works/16818023212482086328

最近の記事

【小説③】今更戻って来いって言われてももう婿です

 金貨を革袋に入れてマリアに支払う報酬を用意していると、唐突に横に押し飛ばされた。持っていた金貨が何枚か床に散り、踊る。 「おっと悪いな。無能過ぎて空気かと思ったぜ」  ルイワーツが机上に残る金貨を横取りする形で、自分の革袋に詰め始めた。  ハルトの先輩にあたるルイワーツは、同じ受付課なのだが、事ある毎にハルトに絡み、嫌がらせを繰り返していた。 「ルイワーツさん、それ僕が出してきた金貨—— 「——バーカ。知るかよ。お前がもう一度出して来いよ」  どこにでも、こういう

    • 【小説②】今更戻って来いって言われてももう婿です

         チートはない、と言ったがこれは正確ではなかった。  正しくは『チートはないが、まぁまぁ便利なスキルはあった』である。  スキルが発覚してから既に3週間が経過し、ハルトもスキル『サーチ』を使いこなし始めていた。 「ねぇ、ハルトくん。君、最近やけに大人びてきてない?」  依頼受付の朝一ラッシュが終わった平和な午前中、受付カウンター越しにそう尋ねて来たのは、かの有名なS級冒険者『聖剣のマリア』、その人であった。  光を吸って発光しているかのようなプラチナブロンドの髪は、

      • 【小説①】今更戻って来いって言われてももう婿です

           ハルトが前世を思い出したのは会議室でのことだった。  冒険者ギルド受付課長ダゲハが生活魔法『スクリーン』で壁に映し出したグラフを長い木棒で指し示そうとして、誤って木棒を落とした。  おっと、と言いながらダゲハは木棒を拾う。  冒険者ギルドの退屈な定例会議における、変わり映えのしない日常の一コマだ。  だが、ハルトはこれに違和感を覚えた。  前にも似たような事あったな、と思った瞬間、スーツ——何故かそれが『スーツ』と呼ばれる服だと理解できた——を着た男とダゲハ課長とが

        • 【小説執筆講座①】基礎の基礎

          1 はじめに 以前、僕はNoteで他作者のWEB小説を紹介したいと書いたと思うけれど、実際やってみようとしたところ、いきなり手が止まってしまいました。 「え、ネタバレ避けて感想ってむずくね?」 「作者に許可とるの、だるくね?」 「作者に許可とる関係上、『褒める』しかできなくね?」  いろいろ考えた結果、『面倒を乗り越えた上で、忖度記事しか書けないなんて嫌だ』と思い至って、止めた。笑  忖度なしで「これ面白い」「是非みんなに読んでほしい」という小説が見つかり、なおかつ作

        【小説③】今更戻って来いって言われてももう婿です

          【自己紹介②】夢、という名の下ネタ

          1 掌編小説『夢』 6年2組は今日も賑やかだった。  朝の教室は、家用の自分から学校用の自分に切り替わる瞬間だからだろうか、みんないつもの2割増しくらいに元気が良い。ランドセルを背負った同級生がひっきりなしに教室に入って来ていた。  湯千葉くんもその中の一人だった。 「やぁ、田中くん、おはよう」と湯千葉くんが僕に手を挙げて言った。 「あ、おはよう。湯千葉くん」 僕は湯千葉くんに声を掛けられて少し気持ちが昂る。なぜなら湯千葉くんはたくさんの登録者を抱えた現役小学生 Yo

          【自己紹介②】夢、という名の下ネタ

          【自己紹介①】自己紹介という名の下ネタ 〜稲川淳二を添えて〜

          途上の土ってどんな人? 1 自己紹介   「そうだなぁ、強いて言うなら——」  トジョーが視線を上に向け考え込むと、ドクシヤは「——あ、別に強いてまで言わなくても大丈夫です」と制止した。聞くのが面倒になったのだろう。  しかし、トジョーは無視して答えた。「トイレでチューチュートレイン……だな」 「いや全然意味わからないんだけど。自己紹介の体を成してねー」 ドクシヤのツッコみが気にくわなかったのか、トジョーは声をひそめて話し出す。 「この前ね、う◯こしたいなー、って

          【自己紹介①】自己紹介という名の下ネタ 〜稲川淳二を添えて〜