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新任紹介/田村寿浩 自分の「発露」から語る力を

この4月に東経大に着任しました特命講師の田村寿浩です。3月まで博報堂という広告会社にいました。博報堂では営業職、研究職を経験し、40代になって人事・人材育成の仕事、主に新入社員からミドルシニアまで全社員のキャリア自律:その人ならではの働き方を作っていく支援をしていました。また臨床心理士、1級キャリアコンサルティング技能士として活動をしており、これまで広く、人の「こころ」と「こころが生み出すもの」について向き合い、研究をしてきています。

なぜ大学教員になったのか

約10年にわたる人事・人材育成、心理臨床の業務の中で、組織と人の関係が大きく変わってきたと実感しています。世の中が複雑な要因で絡み合い一筋縄には原因と結果が結びつかないVUCA:Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の時代になってきており、企業は生き残りをかけて、業態を変えよう、イノベーションを起こそうと必死に戦っています。そして変化の中でより柔軟に対応していくために、終身雇用を前提にしつつも、社員がより自律的に変化に対応し成果を発揮してもらうべく、会社と社員の両方の「成長」を目指した人事制度へと変化させてきています。これは、実は企業にとっては短期的な成果だけにとらわれずに社員の「成長」を促し評価していくという相当の覚悟が求められる一方で、社員のほうも、自分はこの会社で成長して貢献できるのかを問われる、つまり会社にぶら下がることが許されないということを指します。つまり、自分で自分の働き方を考えて覚悟を持って会社と向き合っていく必要がある。まさにキャリア自律が必要な時代になったと感じています。このあたりについて、2017年にリクルートワークス研究所のHPに以下の寄稿をさせていただきました。

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もう何かの指標に向かって、皆が同じゴールに走る時代ではなくなってきている中、自分にちゃんと判断軸を持つ人が増えて欲しい。会社という枠を越えてもっと若い世代にアプローチできないかと考え、ご縁もあって東経大での活動を本務とすることにしました。

何を教え/研究しているのか

これまで、アイデア発想/グループダイナミズム、臨床心理、キャリア自律と3つの領域を研究してきました。もともとは広告会社のコア・コンピタンスである「クリエイティビティ」開発を目的に、ディスカッションを通したアイデア発想の研究とナレッジ開発を行っていました。その過程で、人の気持ちが変化していく機序に興味を持ち、臨床心理の世界に入り、その研究・知見をもとに、働く人のキャリア自律のあり方を研究するに至りました。3つに通底しているのは、自分の「発露」の大事さです。創造性も自分らしい生き方も、その人が自分の言葉で対象や自分を語ることから始まります。もちろん人は関係性の生き物であり、一人では生きていけません。なので他者の考えや発露を受け止め、それを熟慮していく柔軟性や協業の姿勢は求められます。でも、変化が激しく正解がないこれからの時代、最後は、「自分はこう思う」と自分の言葉で語ることが、新しい価値を生み出すことにつながり、また他に人に左右されない生き方を作っていく基礎になると思っています。それを、担当しているワークショップ科目でみなさんと一緒に探求できればと思っています。

1期に行った「社会分析ワークショップ」は、対面⇔オンラインと環境がころころ変わる中でも、学生のみんなが必死で付いてきてくれて、とても充実した授業となりました。個人の発露を、クラウド上のホワイトボードを使いながらグループでアイデアに昇華させていく。負荷のかかる環境で学生のみんなも教員も必死にトライしながら授業を作っていったことで、どんな環境でも共創しながらアイデアが生み出せる醍醐味を味わうことができたと感じています。私にとってもすばらしい時間でした。

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オンラインホワイトボードを使ったグループディスカッションの様子

2期は、こうした各人の発露を自分のキャリア開発に活かしていく「キャリア基礎講座(文章表現)」という授業にトライしていきます。またきっと対面⇔オンラインという変化のある環境になるかと思いますが、また新しい経験を生み出せるはず、と期待しかありません。受講生それぞれが自分の発露から「自分の物語」を作っていくことのチャレンジに、楽しみながら伴走していきたいと思います。

(田村寿浩)


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