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子供が苦手な理由。

私は子供が苦手だ。

ネットで可愛らしい子供の動画を観たり、
育児エッセイを読む事は好きだ。

しかし、
生身の子供はどうも苦手だ。
遠巻きに見る分には可愛いけど、
実際に自分に関わる事があると
どう接したらいいか分からない。
「動物は好きだけど触るのは苦手」
みたいな感覚に似ている。

こんな歳になって、
子供に対する接し方が分からないなんて
大人としてどうかと思うので、
どうしても子供と接しなくてはならなくなった場合は、
子供好きの女性のように振る舞うことにしている。
しかし、そんな私を子供たちは
「こいつ演技してんな〜」
と見透かしているような気がして 
私は気が気ではない。

赤ん坊がおぎゃぁと泣くのは仕方ないが、
わざと奇声を発して暴れる子供は
正直、ぶん殴りたくなる。
以前、木造のアパートに住んでいた時、
アパートの塀に子供がわざとボールをぶつけ
奇声を発していた事があった。
昼間寝ている私はイライラして
「うるせえ!(自主規制)ぞ!!」
と怒鳴り散らしたいのを
必死で抑えていた。
(本当に怒鳴ったら、通報されかねないので…)
恋人の家の隣に保育園があったのも苦痛だった。
感覚過敏の私に、
子供の声は刺激が強すぎるのだ。

そして、私が子供が苦手な理由の
根源について考えている事がある。

私は、とても保守的というか
田舎特有の厳しい家で育った。
私の家では、
父親の意見が絶対であり、
この世の全てであった。
父親から見たら、母親は自分より下の存在で
主人に従うのは、妻として当たり前の事
というような家庭だったので、
常に緊張感のある家だった。
子供の私は1番下っ端なので、
大人の言う事は絶対である。
テレビは、NHKか親が決めた番組しか
見せてもらえなかったし、
お菓子も身体に良くないと言われ、
買って貰えなかった。
私がなにか甘えたような事を言うと
「もう子供じゃないでしょ」
と決まって言われた。
そして、父親の逆鱗に触れれば
容赦なく叩かれた。
でも、おもちゃは最低限買って貰えたし、
セーラームーンと
どうぶつ奇想天外だけは、見せてもらえた。

母親曰く、私は
「活発で素直で育てやすい、いい子」
だったそうだ。
当たり前である。
私が、そうなるように努力していたからだ。
姉と17歳も離れていた事や、
親戚は皆大人だったという事もあり、
身近に子供がいなかった。
私は早く大人になって、
皆の会話に混ざりたかった。
家族だけど、私だけ子供だから、
親は遠い存在に思えた。

幼稚園に入り、わがままな子や泣き虫な子、
言葉が上手く話せない子を見ると、
私はイライラしていたし、
内心バカにしていた。
「私だったらちゃんとしてるのに、
なんでこんな事も出来ないの?」
そう思って、
実際に友達に
「○ちゃんと話すとイライラする。」
と言ってしまった事もある。
私はまだ5歳だったのに、
周りの同級生が子供に見えて仕方なかった。

しかし、親にとってよい娘を演じ続けられるのは
時間の問題だった。
高校生になり、私は
鬱病になり、
同級生から何千歩も遠くに放り出された。
私はそんな気持ちを引きずったまま、
大人になってしまった。

子供を見ていると、
「私はあんな事しなかったのに」
「私はあんな事許してもらえなかったのに」
という思いが潜在的にあるせいで、
苦手だと感じるように思う。

現在、私のパートナーは、
私が甘えた事を言っても、
それに優しく付き合ってくれる。
彼といる時の私は、
猫なで声を出して腕にすがりついたり
抱っこ!と言ってハグをしたりする。
疲れちゃった、とか、眠い、とか
おしっこ!とも言う。
31歳、
傍からみたら完全にグロテスクなババアである。

私も、最初は彼に対しては
そんな態度は取らなかったのだが、
彼は私が子供の頃に
周りの大人に子供扱いされなかった事を
見抜いていたらしく、
わざと甘えさせてくれたようだ。
私は、初めて心から安心して
誰かに抱きしめてもらったように思う。

しかし、
私の中の少女の私は
まだまだ甘え足りなさそうだし、
わがままばかり言う。
急に子供の私が
「私はずっと我慢してたのに、なんで!」
と言って暴れ出す事もある。

いつか、私の中の少女の私が
「もういいよ、私は十分に愛されたよ」
と言って私から居なくなってくれたら、
子供に対して、
苦手意識が無くなるかもしれない。
でも、それはずっと先かもしれないし、
死ぬまでこの子を抱えて生きるかもしれない。

だから、私は子供が欲しくないし、
産みたくない。
もし、自分の子供に夜泣きでもされたら
少女の私が怒り狂い、
感覚過敏で更にヒートアップして
間違ったことをしそうで怖いのだ。

私は自分の子供が転んだ拍子に
何かを壊してしまっても
「何やってんだ!!!」と怒鳴って叩かずに
「大丈夫?」と抱きしめてあげたい。
自分がされなかった事をしてあげたい。 

しかし、私は
自分がされなかった事を 
してあげられる自信が無い。
もしかしたら、
もっと酷いことをしてしまうかもしれない。
そんなリスクを背負っているような
未熟な人間なので、
私に、人間を産み出す資格は無いと思っている。
鬱病を治すまでは、
そんな重大な責任も持てないしね。

今の私は、
少女の頃の自分を愛してあげている途中だ。
子供好きのパートナーには申し訳ないが、
今はとりあえず、
私はとことん、子供時代の私と付き合う。 
「頑張ってたよね」
「偉かったよね」
と、毎日褒めてあげたいし
抱きしめてあげたい。

いつか 
何も考えずに
子供に対して、
対等に接してあげられる
優しい女性になれたらいいな…と思うし
そんな日が来ることを願っている。

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