マガジンのカバー画像

40代から変わる人生 「記憶の道具」

26
歳とともに人の名前が出てこなくなり、新しい情報も頭に残りにくくなってきた。60代になって一念発起し、この問題を解決するためのiPhone アプリを自作し、ムダにしていた1, 2分… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

40代から変わる人生「記憶の道具」26

難しい本を読むコツ  いまキッシンジャーの「国際秩序」という本を読んでいます。難解、というわけではありませんが、力の均衡(balance of power)という考え方に至る歴史的な経緯が縷々述べられている大著です。  権謀と混乱、戦いと血と疲弊の長い歴史の中で鍛えられた、実用的な手段としての「力の均衡」という考え方。いま大きな変局点を迎えている世界秩序を俯瞰的に理解する上でとても力になります。  ということで、この本について「人に語れるように」したいと思いながら読んでいる

40代から変わる人生「記憶の道具」25

人に語れるようにしておく  人生を変える上で大切なことを3つ挙げよといわれれば、 – まぁ、そんなことを私に訊く人はあまりいないのでここに書いているのですが – その1つとして「人に語れるようにしておく」を挙げたいと思います。  たとえば、営業のコツ。大失敗した経験。失恋や困難を乗り越えた体験。感動した映画や本について。座右の銘。得意分野のウンチク。なんでもいいので、人がちょっと面白いと思ってくれることを固有名詞や数字を交えて具体的に語れるようにしておく。するとその物語と一

40代から変わる人生「記憶の道具」24

金の価格高騰が続く、その意味は⁉  先週の日経新聞に気になるフィナンシャル・タイムズのコラムが掲載されました。著者はラナ・フォルーハー。私のお気に入りのビジネス・コラムニストの一人です。  金に興味はないのですが、このコラムを読んで少し意識が変わりました。しばらく上昇を続けている金価格。ぼんやりと、そろそろピークかなと思っていたのですが、さらに大きく高騰中! その4つの理由が注目点です。 1.長引く米国のインフレ。この原因には、新型コロナ禍対策で行った財政刺激策、リスク回避

40代から変わる人生「記憶の道具」23

反転学習的生活  先週、ある会社で新組織の発表がありました。新しく営業部隊を11の部門に分けて、それぞれにリーダーが任命されました。その11人のリーダーたちが次々に登壇して、5分ずつ抱負を語ったのですが、これ、1時間かかります。当然5人目位になると初めの人のことは忘れてしまいます。  この時間をただ聞いているのはタイパが悪い。ということで、アプリ「キオクの達人」を開いて、表に新組織名、裏にリーダー名と抱負の中のキーワードを書き留めていきました。一件5分もあるのでラクラクです

40代から変わる人生「記憶の道具」22

過去は変えられない。でも過去の物語は変えられる  先週、久しぶりに「『よみうり大手町スクール』著者と語るサイエンス読書カフェ」に行ってきました。題材は「宇宙思考」(かんき出版)2023。著者の天文物理学者BossB こと藤田あき美さんは、フォロワー25万人超のSNSで異常な熱を発する。この人を生で観てみたいと思ったのですね。  ハイ、想像を超えていました。まず声の大きさが半端じゃないです。年齢相応に衰えている私の耳をつんざくほどの大音声。これで1時間話し続けるって異常! 

40代から変わる人生「記憶の道具」21

AI翻訳時代になぜ英語を習得すべきなのか? AI翻訳は、飛躍的によくなっています。これからもますますよくなっていくでしょう。そういう時代に、なぜ英語の勉強する必要があるのでしょうか? 私も、これだけAI翻訳が進んできたので、もはや他の外国語の勉強をしようとは思わなくなりました。でも、英語だけは別です。  なぜ英語は別なのか? その理由は2つあります。  1つは、ほぼすべての分野で英語がグローバル言語になっているからです。つまり、世界の多くの人が英語で高等教育を受け、あ

40代から変わる人生「記憶の道具」20

英語上達法 2  同時通訳者の記憶術  知人に同時通訳をしている人がいるので、どうやって覚えているのか訊いたことがあります。 答えは、知らない単語が出てきたら「ムッと睨んで覚える」のだそうです。試してみました。確かに覚えられます。 そこでどのぐらい覚えているか、「キオクの達人」に入れておきました。普通だと2~3日もすると思い出せなくなるのにムッと睨むと、1週間以上たっても覚えているのです。さすがプロのノウハウ、効果あります。  でもね、3か月ほどして「キオクの達人」か

40代から変わる人生「記憶の道具」19

英語上達法 1  5回目に紹介した英語を勉強しているという編集者の方と再会しました。「キオクの達人」で、勉強が進んでいると嬉しそうでした。  ということで、今回は英語上達法です。  英語勉強法と銘打った本や教材はたくさんありますが、私の勉強法は極めてシンプル。ポイントは次の3つです。   ① 使いたい!と心に響くフレーズを覚える   ② スキマ時間を使って忘れないようにする   ③ 恥をかいても使ってみる  1つ目は、言い換えると「使いたい!」と感じないものは覚えないとい

40代から変わる人生「記憶の道具」18

恐竜絶滅  今週、iPhoneアプリ「キオクの達人」からおもしろいカードが出てきました。「恐竜絶滅」です。230日前に登録したことになっていますが、私の記憶は鮮明でした。66百万年間前に、巨大隕石(直径10km程度)がメキシコ湾岸に落下したことが原因で恐竜が絶滅したとするアルバレス仮説。これ凄く面白い物語なので忘れないようにしているのですが、それについては別の機会に書くことにします。  今回はアプリの話。このカード、裏面をみると、なんと66,000年前と書いてあります。そん

40代から変わる人生「記憶の道具」17

エビングハウスの誤解  自作のiPhoneアプリ「キオクの達人」を使い始めてから、1年ほど経ちました。この間にどのくらい覚えたかというと、ざっと700件。このアプリを使っていなければ、そのほとんどが記憶にとどまっていなかったはずです。    さて、その700件がアプリの中でどのように分布しているのか。ちょっと調べてみました。横軸に日をとり、縦軸にその日に復習する件数を取ると下図のようになりました。1から始まっているように見えますが、0が作図の関係で表示されていません。0日、

40代から変わる人生「記憶の道具」16

「独学力」を身につけよう!  独学を勧める本がたくさん出回っています。流行っているようですね。かの野口悠紀雄先生までお出しになっています。  しかし、私はお勧めしません。独学は我流に通ず。独りよがりの理解に落ち込んだり、遠回りをしたり、途中で挫折することも多いからです。およそ良いことはありません。かくいう私も、独学で済ませようとして、ずいぶんと痛い目にあってきました。 でもね、独学力は重要です。  独学力と独学、何が違うのか?  独学力とは、独学でも学べるぐらいの学習力の

40代から変わる人生「記憶の道具」15

新たな金融危機の予兆?  今月のはじめ、三井住友カードとGMO系2社が、クレジットカードを使わない後払い決済「バイ・ナウ・ペイ・レイター(BNPL)」サービスを始めるという報道がありました。三井住友が乗り出すということは、いよいよ日本でも BNPL が本格的な普及期に入ったということなのでしょう。  この記事を見て、3年前のニュースを思い出しました。BNPLを手掛けている日本の未上場企業 ペイディという会社をアメリカの決済大手ペイパルが買収したというニュースです。みなさんこ

40代から変わる人生「記憶の道具」14

こんな偉人も記憶術を使っていた(2)! 古代に端を発する記憶術は、その後キリスト教の中で受け継がれ、神学者アウグスティヌス(354~430)をはじめ、多くの記憶術の大家を生み出しています。  中でも「神学大全」を著したことで知られる神学者トマス・アクィナス(1225~1274)。高校の歴史の時間に習いましたよね。名前に聞き覚えがあります。実はこの人、神懸かり的な記憶力の持ち主として知られていて、記憶術に関する著作もあるようです。  マテオ・リッチ(1552~1610)。

40代から変わる人生「記憶の道具」13

こんな偉人も記憶術を使っていた(1)!  先週、尊敬する2人の友人に会って、久しぶりに会話を楽しむ機会がありました。ひとりはジャーナリスト、もう一人は経産省OBで今は民間企業に勤めています。二人とも知識が豊富で、ウクライナや中東情勢はもちろん、中国の技術開発動向、アメリカのメディアの苦悩、STEAM教育の現状と課題、などなど多彩な話題で、固有名詞や数字がバンバン出てきます。なんでこんなことまで知っているのか、なんでこんなに興味の範囲が広いのだろうといつも刺激を受けます。