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40代から変わる人生「記憶の道具」24

金の価格高騰が続く、その意味は⁉

 先週の日経新聞に気になるフィナンシャル・タイムズのコラムが掲載されました。著者はラナ・フォルーハー。私のお気に入りのビジネス・コラムニストの一人です。
 金に興味はないのですが、このコラムを読んで少し意識が変わりました。しばらく上昇を続けている金価格。ぼんやりと、そろそろピークかなと思っていたのですが、さらに大きく高騰中! その4つの理由が注目点です。
1.長引く米国のインフレ。この原因には、新型コロナ禍対策で行った財政刺激策、リスク回避のためにサプライチェーンの再編投資、クリーンエネルギーへの設備投資、製造業の国内回帰の投資。さらに裕福で時間のあるベビーブーマー世代の旺盛な消費意欲がある、とラナは言います。これらによるインフレ圧力は根強く、そう簡単には収まらない。このインフレをヘッジするために金が買われているというのが一つ目です。
2.世界が大きな転換点にあると投資家や国家が感じて金を買っていること。金価格は何十年も低迷した後、急上昇するという歴史的事実を指摘されると説得力があります。要するに何十年ぶりかの国際情勢不安。インフレや金利の動向だけでなく、迫りくる新たな世界に対して投資家だけでなく国もヘッジしている。たとえば、中国が大量に米国債を売って金を買っている。それは1960年代後半にブレトンウッズ体制が崩壊し始めたころ、欧州の中央銀行がドルを金に替えはじめたのと似ているというわけです。
3.米国の輸入関税アップ! これは意外でした。米大統領選挙戦では、もしトラかバイデンかに注目が集まっていますが、どちらになっても米国は雇用を守るために輸入関税を上げる! それは一種の隠れドル切り下げになるのでドル安になる。つまり金価格は上昇する。円高にもなるのでしょうね。
4.最後にラナは、米国の公的債務と財政赤字が上昇して持続不能な状態に陥りつつあるため、金融政策と市場は大混乱に陥り、金価格が上昇すると予想します。この混乱を回避する政策手段は限られています。その限られた中の一つが金利の引き下げ。しかし、そうなるとこれでまた金価格は上昇すると! 

三菱マテリアルGoldPark  https://gold.mmc.co.jp/market/gold-price/#gold_5year

 う~む。世界の動きをシステムとして捉えるために、たくさん記憶に留めておきたいこと ― 事実とそれらの連関 ー があります。とりあえず、「キオクの達人」の表に、「金価格高騰が続く4つの理由」、裏に「長引くインフレ」「国際情勢不安」「米輸入関税Up」「米公的債務と財政赤字上昇」の4つを入れて7日後に出てくるようにしました。2~3日は覚えていますからね。7日後にリマインドしてくれれば十分です。

 さて、ラナの予想が当たるかどうか。とりあえず金価格ウォッチですね。現状の価格は1トロイオンス2,400ドル程度です。まずは3,000ドルを超えて、さらに高みを目指すかどうか。オッと、この数字も忘れないように「達人」に入れておかないと。もしそうなれば、それは世界情勢悪化の兆候ということでもありますね。株の暴落も視野に入れないといけない。

 このブログを読んで金を買おうと思いました? それはご自身の判断で。私は買いません。あくまで世界情勢の指標としてみているだけなので。


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