美術館デートはできない
最近、周りの人の影響で美術館に興味を持つようになり、中之島美術館へ"モネ展"を見に行った。展示会のようなものは何度か行ったことがあるけど、ちゃんとした美術館に行くのはおそらく2回目。ビギナーである。
チケットを購入し、中に入る。
まず驚いたのが、モネが男性であるということ。名前の雰囲気から勝手に女性だと思い込んでいた。
平日なのに思ったよりも人が多かった。
「この色きれいだな、上手だな」とは思うけど、絵に関してはよく分からないのが本音。それよりも"見にきている人たち"に興味がわく。
(おそらく)10代女子2人組がめっちゃ笑ってる。何話してるんやろう?なんでモネ展に来ようと思ったんやろう?美大生かな?
黒縁メガネでシックな服装の女性、みんなよりだいぶ遠いところから絵をじっくり見てはる。絵に詳しいんかなー。
あれ、さっきまで近くにいた男性がいなくなった。と思ったらイスで休憩してる。みんな足疲れてるんやな。
そわそわしながら次の絵に行くタイミングを図ってそうなカップル。付き合いたてかな?
写真OKゾーンで一生懸命写真を撮る人たち。ここで撮った写真SNSに載せるんかな?
絵と同じくらい、いや、絵以上にわたしは周りの人を見ていた。メモをとっていたわけでもないのに周囲の人たちの詳細を結構覚えていた。
わたしにとって美術館の面白さは、ここにあるのかも知れない。
最初はよく分からなかった絵も、ずっと見ているとだんだん面白くなってくる。住む場所や結婚など、モネさん自身の変化によって絵のテイストが変わっていくのが面白い。
連作・印象派などの用語解説も書いてくれていた。非常にありがたい。
展示を見終わりグッズ売り場へ。人の密度がものすごい。ほとんどが女性だ。
魅力的な絵を見せられた後に、そのグッズを見せつけられる。欲しくなるに決まっている。バケハを試着しちゃったりなんかして。Tシャツやカバンなどを全部揃えてモネファッションしようかな♪と言うと、夫に「やめとけ」と言われた。
帰り道に思ったのは、美術館デートはできないということ。(美大生や、美術関係の仕事をしている人同士を除く)
まだあまり仲が深くない場合、次の絵に行くタイミングが難しすぎる。さっき実際にいたカップルのように。
あれ、彼、まだ絵をじっくり見てるな。わたしはもういいんだけどな。でも次に行こうと言うと「全然見てないやん、この絵の良さが分からないのかな」と思われそうだしな。
こんなことを考えてしまいそう。(結構な確率で相手も同じようなことを考えているような気がするが。)
その後のカフェで絵の感想を言い合うなんて高尚なことはできない。
お互いあまり絵に詳しくない場合、「きれいだったね」「そうだね」くらいで多分会話は終わる。
相手が絵に詳しい人だったとして、無理に捻り出した感想を言うと「こいつ浅いな」と思われそうだし。
「美術館に行き慣れてないからやっぱり難しかったな〜」と言える相手が一番いい。自分がポンコツであることを共有できる相手が一番いい。
実際に見ているときはよく分からなかったけど、わたしはたぶんモネさんの絵が好きだ。帰り道や寝る前に"きれいだったな"と思い出したから。
街でモネさんの絵を見つけて「あ、モネだ。」と分かったとき、自分を少し好きになった。
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