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長いトンネルを抜けて

今回のテーマ:ニューヨークときどきDIARY1周年
by 福島 千里

ニューヨークにゆかりのあるライター3人による徒然日記プロジェクト「ニューヨーク、ときどきDiary」がこの7月で開始から1周年を迎える。

もともとは、らうす・こんぶさん運営の情報サイト「New York no Asagohan」のサブ・プロジェクトととして始動したものだが、コロナ禍で世界の動向が読めない中、「楽しいことをやりたいね」という思いでゆる〜くスタートしたという側面もある。そうか、あれからもう一年が経つのか。何よりも三日坊主の私がnoteを1年も継続できたこと自体が本当に奇跡だ。

①勧められた買ったサプリメント→飲みきれず賞味期限切れのものが棚に並ぶ
②満を辞して買ったギター→部屋の万年インテリア
③スペイン語教材→あれ、どこやったっけ?
④ダイエット→数字がぜっんぜん変わらないんですけど

他、多数。いつもこんな感じ。

こんな私がここまで1つのことを継続できたのも、チームメイトの河野洋さんとらうすこんぶさんがいたから。ただでさえだらしない私がコロナ禍で日々の暮らしと健全な心を保つのは容易ではなかった。けれども、たとえささやかでも目的があれば気持ちは前を向くものだ。

「次の締め切り、よろしく」

先輩方の一言に、毎度妙な快感を覚えながら仕事の合間にエッセイを書き上げる。2週間毎にやってくるこの小さな締め切りとチームメイトの存在は、長引く自粛生活の中ですっかり内向的になっていた私の生活に良い刺激を与えてくれた。

そして一年はあっという間に過ぎ、今、ニューヨークは夏の真っ只中にある。

当時の重苦しい空気はいつの間にか消え、街を歩けば世界各地からやってきた旅行者たちのエネルギーで満ち溢れている。マスクを着けている人も既に少数派で、仕事で人と合えば名刺交換もするし、普通に握手もする。会話が弾み、心からの笑顔を行く先々で目にするようになった。まるでパンデミックは夢だったと思わせるほどだ。

もちろん、コロナが消滅したわけではない。今も市中感染は一定数確認されているし、私自身、手洗いもうがいも欠かさない。マスクだって場所や状況に応じて今もきっちりと着用する。それでも、ニューヨークは長く暗いトンネルを確実に抜けつつあることを強く実感している。

それぞれのバックナンバーを振り返ってみると、この一年で自分たちを取り巻く環境が様変わりしたように、エッセイの内容や言葉もより明るいものへと移り変わってきている。そして次の1年は私たち3人にとってどんなものになるのか。頼もしい先輩方の背を追いつつ、日記継続の自己記録更新に向け、次の一年もゆっくり進んでいこうと思う。


◆◆福島千里(ふくしま・ちさと)◆◆
1998年渡米。ライター&フォトグラファー。ニューヨーク州立大学写真科卒業後、「地球の歩き方ニューヨーク」など、ガイドブック各種で活動中。10年間のニューヨーク生活の後、都市とのほどよい距離感を求め燐州ニュージャージーへ。趣味は旅と料理と食べ歩き。園芸好きの夫と猫2匹暮らし

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