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【前半振り返り】コーラス・エクスポin鹿児島2023


コンサート前半振り返り

 全19団体が熱演を繰り広げた「コーラス・エクスポin鹿児島2023『沸る薩摩合唱団たち』」。プログラム順にコンサート前半を振り返ってみます。この記録が各合唱団の広報の一助になれば幸いです。

合唱愛に溢れた名司会

司会・影アナをお願いした浜本麗歌さん

 この日の司会は、朗読家として県内外で広くご活躍の浜本麗歌さんにお願いしました。実は彼女、中学時代に合唱部に所属していて今でも合唱が大好きなのです。ステキなお声で、しかも合唱愛に溢れる方に紹介して頂けるなら最高じゃないか!と思い立ちご相談。喜んで引き受けて下さったのでした。たった1回の打合せなのに私と息ピッタリだったのは、きっとお互いが持つ合唱愛の成せる技なのです。

コールたにきた

コールたにきた(指揮/曽木時人、ピアノ/黒木沙織)

 谷山北公民館の自主クラブ「コールたにきた」は、信長貴富作曲の合唱曲「雑草(ななし)」と「ジグザグな屋根の下で」を演奏。公民館講座の受講生たちで発足したこの団はメンバーの仲が良く、私の細かい要求にもめげず、励まし合って支え合ってこの日を迎えました。実はこの演奏会が開催されるきっかけを作ったのがこの団だったので、トップバッターに抜擢。「ジグザグな屋根の下で」は、まだまだ不揃いな彼らだからこそ味のある演奏になったような気がしています。鮮やか緑のポロシャツを揃えてますます合唱団らしくなってきたところ。初めて公民館の枠から外に出て歌った、記念日になりましたね。

合唱団うたおり

合唱団うたおり(指揮/今村裕紀)

 合唱団うたおりは、発足間もない若い女声合唱団。高校を卒業した人が合唱を続けられる場であるようにと、松陽高校や武岡台高校の卒業生を中心に結成されたのだそう(この発足の経緯がもうステキ)。木下牧子「いっしょに」と上田真樹「見えない風の中で」を披露。今村先生の「体温を感じる」音楽づくりが私はとても好きです。直向きな歌声を響かせながら、これからどんどん活動の場を広げてゆくでしょう。うたおりさん、注目です。

鹿児島市立和田中学校合唱部

鹿児島市立和田中学校合唱部(指揮/松崎めぐみ)

 3番目に登場したのは、鹿児島市立和田中学校合唱部。ここ数年で部員も増えサウンドも充実、ご自身も歌い手としてご活躍の松崎先生のご指導のもと、福島雄次郎作曲「南島歌遊び(I、II)」より「戯れ」と「野茶坊」を演奏。この名曲を中学生が歌うなんて…!すごい時代になったものです。さらには難曲をしっかりと捌くだけでなく、息遣いや音色にもたくさんの工夫が見られ、おじさんは感心しきりでした。素晴らしい取り組みをされている皆さんです。圧巻の演奏でした。

コーラス松元

コーラス松元(指揮/松崎節子、ピアノ/谷川真実)

 松元公民館に所属するシニア混声合唱団。のどかなお茶どころ・松元地域にまでエクスポの話が届いたこと、喜んで出演してくださったことがとてもとても嬉しかったです。混声3部合唱の名曲「夢の世界を」「マイバラード」を披露。小規模な合唱団ですが、皆さんとても豊かで若々しいお声!堂々と歌い上げたエネルギッシュな演奏にとても元気をもらいました。いわゆるクラス合唱曲をシニアが歌い上げるとどうなるんだろうと興味津々でしたが、大変に味わいがあり魅力的でした!

コア・シュテルン

コア・シュテルン(ピアノ/山口紀子)

 私の声楽アンサンブル仲間で頼れる姐さん・声楽家の手塚洋子さんが率いる女声合唱団。バッチリ華やかドレスに身を包み、快活で爽やかに木下牧子「きんいろの太陽がもえる朝に」と、情感豊かに坂本九の名曲「心の瞳」を歌い上げました。
 少人数で指揮者もいないスタイルながら、これこそが最適と思わせるほど「息の合った」演奏でした。それはタイミングだけでなく、息のスピードや温度や湿度まで共有しているかのよう。メンバー同士にある信頼感と音楽への愛情が溢れたステキな演奏でした。もっともっといろんな場で歌って聴かせてほしいと思う合唱団です。

鹿児島市立谷山北中学校合唱部

鹿児島市立谷山北中学校合唱部(指揮/前田愛美)

 谷山北中学校は私の母校。ありがたいことに数年前から合唱部の外部講師としてお手伝いさせて頂いています。演奏したのは信長貴富作曲「なみだうた」より器楽的でにぎやかな「なみだ」、金子みすゞの素朴な詩が染みる「雨のあと」。たった6人の中学生がアカペラで堂々と歌い上げた演奏に、会場がざわめいたほどでした。応援メッセージカードもたくさん寄せられ、彼女たち自身も反響の大きさに驚き喜んでいました。合唱部の活動は「コンクール形式」の演奏が主になりがちですが、競争でない演奏会でこの日あたたかい拍手をいっぱいに浴びた経験は、彼女たちのこれからを豊かに育んでくれることでしょう。

鹿児島大学混声合唱団ポリフォニー・コール

鹿児島大学混声合唱団ポリフォニー・コール

 通称、ポリ。鹿児島の合唱指導者を多く輩出している伝統と歴史ある大学合唱団。全国的に見ても、コロナ禍で大学合唱団は本当に深刻なダメージを受けました。活動できない、新歓もできない、時期になれば卒団はしなければならない…と人数減に歯止めが掛からなかった近年、彼らもとても小規模になりました。
 しかし、合唱を愛し研究し続ける熱き大学生たちが確かにいるのです。そのことを思い切りPRして欲しいとラブコールを送り続け、念願叶ったのでした。演奏したのは千原英喜「夜もすがら」。大学生らしい若さと思慮深さを併せ持った演奏を披露してくれました。実は私もOB。合唱指揮の喜びを教えてくれたポリに僅かでも恩返しができたのなら、こんなに嬉しいことはありません。2024年2月に第70回記念定期演奏会を迎える彼ら。OBとして合唱指揮者としてこれからも全力で応援する思いです。

コールひまわり

コールひまわり(指揮/阿潟浜健一、ピアノ/田中智暎子)

 この日の最少人数、4人で立派に演奏してくださった「コールひまわり」。伊敷の高台の上で長年活動しているというおかあさんコーラス。少人数だと、どうしても緊張や不安がふくらんで萎縮してしてしまいがちですが、ひまわりの皆さんはそんな様子を微塵も感じさせない、一人ひとりがしっかりと堂々と歌い上げる熱演でした。なかにしあかね「花」と相澤直人「きもち」の2曲を披露し、長年歌い続けてきた積み重ねとともに、表現への飽くなき追求心も感じさせる熱演でした。またひとつステキな合唱団と出会いました。

鹿児島メサイア合唱団

鹿児島メサイア合唱団(指揮/曽木時人、ピアノ/井手口希歩)

 師である田丸寛から引き継いで11年、直向きに「メサイア」だけを歌い続けてきた合唱団。団の性質上、頻繁に演奏機会を持ちにくい上にコロナ禍で、2019年12月以来、約3年半ぶりのステージとなりました。やっと立てましたね。苦しい日々を本当によく耐え抜きました。
 ヘンデル作曲オラトリオ「メサイア」より、唯一の二重合唱曲「Lift up your heads, o ye gates」、そして誰もが知る代表曲「Hallelujah」を披露。大好きな楽曲を高らかに歌える喜びを胸に、皆さんいい顔で歌っていました。この日を迎えられたことに、皆さんの歌声が気持ちよくホールに響いていることに感無量だった私。田丸先生にも届いたかな。
 こうして、名曲で華やかにコンサート前半を締めくくったのでした。

後半へつづく。

 なんとか書き終わった前半の部。少しでも熱演の様子、各団の様子が伝われば幸いです。
 後半の部もお楽しみに。気長にお待ちください。(残るは10団体…!)

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