41.魔剣開運透視術①

 かって、一定の思考を鍛錬しそれを語りの芸と組合わせて見せる大道芸がありました。派手ではありませんが、今では観られなくなった繊細な「技の芸」を動画でご覧ください。。
(1) 概要
  ご覧になったこの動画は、戦前(明治・大正・昭和前半)千里眼ともいわれ、当時、よく見られた大道芸ですが、今ではほとんど演じる人のいない演目です。この芸の構成は、前半の見えないものを言い当てる透視の実演による「人寄せ」、後半で透視能力で将来も見通せるとして「辻占い」へと展開します。戦前の芸では、前半で巧みな話術でお客の持ち物、例えば財布の色、形を言い当て客寄せをしました。ここで言い当てる技芸(テクニック)が符牒です。後半は透視を巧妙なレトリックで予知能力に誘導し、お札、暦の販売、実際の易断のビジネスとなります。この動画では、現代でも観られる演出として前半は妖術とクリスタルのパフォーマンス、後半はショーとしてコミカルな辻占いのお札配りに脚色しました。日本の伝統芸に古くからある妖しい憑き物の世界とお札配りの盛り上げをお楽しみ下さい。
 
(2)憑依信仰をオドロオドロしい大道芸で
現代人は、「ツイタ」と言うと口紅が「付いた」、家に「着いた」をイメージしやすいですが、昔は憑き物が「憑いた」もよく使われていました。人は憑き物に憑かれると幸福になったりその逆になったりすると信じられていました。憑き物は死者の霊だったり、神であったりする縄文時代のシャーマニズムの信仰が元と言われ、平安時代に陰陽道、修験道に取り込まれ、上は菅原道真の霊に怯えた藤原氏から、下は江戸の町の多くの拝み屋で病気・厄払いに深く信奉されました。今でも沖縄・奄美や恐山に神憑り、口寄せとして残っています。この古くからの祝詞、御幣の所作を大道芸の祈祷として再現してみました。     つづく


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