ときり

短編やら思い出やらエッセイやら ほむほむと書きたいことを書きます。

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最近の記事

あなたへ

あなたの第一印象は「なんて元気で明るい子なんだ。」でした。その時は、今みたいにあなたの事を想ってはいませんでした。これが’’恋’’だと気付いたのはいつの事でしょうか。 人として好きであり、異性として好きだ。と思うには十分なほど、あなたの良いところばかりが目に写り、私はあなたに惹かれて行きました。 鬱屈とした人生の中で、あなたと過ごせる本当に短い時間の中で明日もあなたに会いたい。会って話をしたい。話を聞きたいと何度も思いました。 しかし、これはあくまでも私の自己満足であ

    • ヒトリノ夜

      ダイエットと称し晩飯を抜いたものの、深夜3時。 空腹で眠れず、泊りに来ていた友達の寝顔を横目にこっそりとパーカーをはおった。ポケットに入れていた鍵とライターがカチャカチャと音をたてヒヤッとする。 こっそりとドアを開け外に出る。 目指すは24時間営業のマクドナルド。車のエンジンをかけた。 お気に入り(最近聴き始めた)のポルノグラフィティをかける。 深夜の道路は空いていて、2曲目のイントロが流れ始めたところでマクドナルドに着いた。勿論ドライブスルー。オーディオのボリュームを絞る。

      • 【短編】夜は短し恋せよ男子?

        時刻は午前0時。 「あんたはいつも自分のことばっかり!もっと私を見てよ!!」 彼女が出ていく直前最後に聞いた言葉だった。 「見てるよ…」とダルそうに言ったのが聞こえていたのかは知らない。 彼女は天真爛漫な子だった。 明るく、賑やかで「この子を将来必ず幸せにしてみせる」と思ったものだ。 別れた理由は明白だった。 ココ最近というもの僕は仕事に追われ、ろくな休みも取れず、帰ったら明日の仕事の準備を済ませ死んだように眠った。 彼女との連絡は3日に1回。彼女は毎日、「お疲れー!!」

        • 【ショートショート】スナイパー

          弾を1発放った。私の放つ弾は必ずに的に命中する。 標的が次元を超えた別宇宙に居ても、時を超えた未来や過去何処に居てもだ。 私はこの能力で様々な功績を残してきた。 宇宙光を密かに盗み、他次元へ売りつける密売人、未来の技術を現代に持ち込もうとした軍事国家Aの将軍。たくさんの悪をこの手で裁いてきた。 この現代社会において私の名前を聞いて震え上がらないものはいない。 標的にされたものは、最後の時を神に祈りながら待つのだ。 標的は依頼を受けて決める。依頼主は世界王族から時空警察

          短編 「サザエさん」

          鉄骨の錆びた階段がコツコツと音を鳴らす。 今日も来てしまった。 あれはいつも通る帰り道、鼻で感じたいい匂いに釣られ裏路地に入ったのがきっかけだった。 人がやっと1人通れるであろうビルとビルの間を少し行くとその店はある。 ’’お食事 はなざわ’’ 縦書きのネオン看板が目を引く匂いの正体はそこだった。 古びた雑居ビルの2階に構えるその店にはこれまた古びたボロボロの非常階段を登って行くのだが 毎度毎度崩れてしまわないか心配になる。 店に入ると大将の「いらっしゃい!」と元気な

          短編 「サザエさん」

          仮想世界

          「この世は仮想世界か否か」 という趣旨の動画をYouTubeで見た。 簡単に説明すると 今現在、毎日過ごしている世界は本当は仮想空間で、 本当の自分は溶液の入ったポッドの中で仮想空間を見ているという話だ。 私はこれについて「あぁ…!そうかもしれない!」と思ってしまったタチなのだが 恐らく、現状の自分の生活に満足しておらず 手の届かない何かに憧れているからだろう 本当はこれは仮想世界だ!こんなに現実がつらいはずがない!と となると本当の自分は何故こんなにもしょうもない仮想

          仮想世界

          あなたとわたしの目玉焼き

          目玉焼き 黄身の硬さはどれくらいがお好みですか? 半熟?それとも中までしっかり? 私はトロッと半熟派です。 実家を飛び出して早1年半。 時々は帰るものの、母が毎朝焼いてくれた目玉焼きをもう何年も食べていない。 かと言って、急に「母さん。目玉焼き焼いてくれない?」ともなんだか恥ずかしくて言いづらい。 1人暮らしの我が城で、1人フライパンに向かって卵を落とす。 母の作る目玉焼きとやっぱりどこか味が違う気がして、困り果てる。 「目玉焼き1つで何をそんなに」と思うだろう。 私

          あなたとわたしの目玉焼き

          日記がかけない!!

          私は日記を書けない。 一時期日記をつけていた時もあった。 が、しかし 言ってしまえば三日坊主。 最初の2日間は楽しく日記を書くことが出来るのだが 3日目で「日記を書かなきゃ」と急かすように自分で自分に追われるのが嫌になり、そこで日記が途絶えてしまう。 必ず毎日書かなくても良いのでは?という意見もありそうだが 個人の見解として 日記は毎日書くから日記なのだ。 毎日書かないのならばそれは日記ではない、と。 ただ、日記をつけていて毎日書かない人が悪いとは言わない。 そこは個

          日記がかけない!!

          残夏

          去年の春、高校時代の同級生が事故で亡くなった。 それを知ったのは少し暑さの残る9月頃だった。 連絡が取れなくなり、彼の家族に連絡をした友人からだった。 同じ時を過ごし、意見を交わし時にはぶつかることもあっただろう。 そんな青春を共にした彼が 私を含めた同級生、誰にも、何も言えずにこの世を去った。 初めて聞いた時は本当に実感が無く 涙も出なかった。ただただ驚いた。 しかし、先週やっと同級生皆の時間が合いお墓参りに行くことになった。 お墓に行く前に、彼の家を尋ねた。 彼の最

          【短編】「私とカツ丼」

          休みの日のお昼時。私は午後からの用事に備え、腹ごしらえをしよう。と前々から通りがかるが入りはしない定食屋に目をつけた。物は試しだ。と定食屋の引き戸を開く。年季の入った椅子とテーブルとなんだかとても食欲を唆る匂いがした。 私がカウンターに座ると「人気ナンバーワン かつ丼!」「お冷はセルフサービスです」と書いた張り紙が目に入った。 とりあえず注文しようと、直感的にかつ丼を注文しお冷を取って席に戻る。 数分待って到着したのは、あの食欲を唆る匂いの元であろう出汁がたっぷりのかつ

          【短編】「私とカツ丼」