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あれは、赤い花。

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個人誌『離婚した時、もうセックスは終わりだなと思っていた。』に続く、傷つきと回復の約2年間の記録。わたしたちの未来に、つつましやかだけれど鮮やかな、赤い花がありますように。 ※1… もっと読む
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まえがき

 ひとつ前の個人誌『離婚した時、もうセックスは終わりだなと思っていた。』を書き上げた頃、…

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目次

2019年 生き延びる。(7月) どうか、憎むことのできない敵を、殺さないでいいように。(9月)…

生き延びる。

 普段はまだましに健やかなので脳の容量も大きく支障なく演算をこなすが、体調が悪くなると途…

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どうか、憎むことのできない敵を、殺さないでいいように。

 歌で、泣いてしまう。聴くだけでも泣いてしまうが、歌うと猶更泣いてしまう。「歌う」という…

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君はただ、コーヒー!って怒鳴ればいいんだ。

 別れた元彼氏とまだ付き合っていた頃の話。彼の家のデッキで朝のコーヒーを飲んでいた。もう…

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彼女とのこと。

 遠方に暮らす友人が亡くなり、お通夜に参列した。こんなに突然死ぬとは思わなくて、でもなん…

ひとにゆだねることの安心感とおちつかなさ。

 鍼に通い始めて1か月くらい経つ。鍼は今までにない興味深い体験だった。体に鍼を打って置いておくと、体の内部にぐんぐんと変化が起こる。  初めに、体のどちらかに痛みが集まる。沈殿して、重たくなっていく感じ。別の経穴に鍼を移すと、沈殿した痛みが体の一方向に向かって寄せられて行く。そして最終的に寄せられた一点から、つるんと抜けて行く。体の表面薄皮いちまい、徐々に剥がして引いていって、脱皮するみたいだと思った。ほんとに、蛇が脱皮するみたいに、体が自然に捩れて動く。  大きな変化が

台風の夜に。

 失踪した元夫が訪ねてきた。目が覚めて、よくよく思い返してみたら、夢だったなとわかった。

ババア・アンド・ババア。

 大分体調が回復してきて右背中の痛みも薄まり、外れた軌道がまた視野に入るようになってきて…

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日記。冬虫夏草。

 鍼の先生によると満月だったという水曜日、夜、というか深夜、というか朝、に仕事を終えて寝…

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猫の集会あるいは月夜に跳ねる兎、は魂の彷徨い子。

 だいぶ体調が回復して、夜はお風呂に入った後、体の歪みをほぐすヨガと肩まわりと背中をほぐ…

わりとすぐにしにたくなる。

 体調が悪くなると、そして体調は自分でも掴めないタイミングでふいに悪くなるのだが、わりと…

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ひとの悪意の直撃。

 だいぶ調子が良かったのに今はとても痛い。原因ははっきり自覚していて、ひとの悪意をもろに…

傷つく権利。

 わたしは、今通っている鍼灸院のことを、とても静かで安心できる場所だと思う。清潔な、隔離病棟みたいな。静かな場所はこころ落ち着く。  先日起こったこととその衝撃は、4日かけて徐々に落ち着き鎮静化して、仕事もできるようになったし、そこそこ元気になった。でも診療台の上で前回からの状態経過を訊かれたときには、あまり歯切れのいい整理した話を語れなかった。詳細は語らず、精神的に衝撃を受けることがあって、でも痛みはその直後がピークで徐々に漸減した気がする、というようなことを言った。わた